マッチリポート 第50回 全国大学選手権大会

東海大学 26-27 明治大学
【セカンドステージ 2013年12月8日(日) /東京都・秩父宮ラグビー場】
両チーム共に秋シーズンは、負傷者続出で不本意な成績での選手権での対戦となりましたが、秋の最終戦で本来の姿に戻りつつあり、なによりも出場校の中では屈指の大型FWと俊足BK陣を要し、戦前の予想は略互角とみられる期待の一戦となりました。
定刻にて東海大キックオフでスタート。両軍とも慎重な序盤戦でしたが、10分に左タッチ・ライン際を東海大(11)石井が好走、タックラー3人を振り切って左中間にトライ。ゴール不成功。(5-0)均衡が破れ、15分に明大(10)茂木によるPGが成功(5-3)すると俄然明大BK陣の猛攻が続き、特に深いラインにダブル・センターのアタックが効果的にゲインラインを越える。ここまでの地域占有率及びボール保持率ともに明大が7、8割支配。残りの少ないチャンスを活かして27分に東海大(12)林がトライ、野口(10)のゴールも成功(12-3)。明大が優位にゲーム支配する中で35分東海大ゴール前のラックより明大(2)牛原が東海大サードローのデフェンスが薄くなったサイドを縦に走り込んでポスト下にトライ、(10)茂木のゴールも成功(12-10)し、場内もヒート・アップ。40分に明大陣25m付近のスクラムより右オープンに展開、東海大(12)林がトライ。(10)野口のゴールも成功して東海大19-10明大で前半終了。
後半戦も明大の猛攻が続く中10分に明大入替((6)→(20)、(10)→(22)、(12)→(23))と一気に戦線投入。これが効果的に作用、11分東海大ゴール前のモールより明大(8)松橋がトライ、(22)田村のゴール成功(19-17)。16分東海大25m内でのキックを明大(14)田中がチャージしトライ、(22)田村のゴールも成功して逆転(19-22)。この頃より「一進一退」の攻防戦となるも、若干東海大サードロー陣の走力が落ちてきた様に見える。26分明大陣の25m付近のラックより東海大が左オープンに展開し、サイド・ライン際にて(2)北出が左スミにトライ、(10)野口のゴール成功し再逆転(26-22)。31分東海大陣10m付近のラインアウトより右に展開、明大(14)成田がライン際を好走してトライ。ゴール不成功(26-27)。再々逆転となる。残りの時間内での攻防戦も明大側に勝利への執着心が勝っていた様に感じたが、他会場での同クラス対戦を見ると四校の「差」が拮抗していて目が離せない、楽しみなゲームが続きそうです。

(武田守久)
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会見リポート
 

監督・キャプテン
東海大学の木村監督と三坂ゲームキャプテン

東海大学

○木村季由監督

「本日はありがとうございました。チームも良い状態で、強い明治さんに持てる力をすべてぶつけようと臨みました。最後までもつれる試合でしたが、後半は明治さんの圧力になかなか持ち味を出せずに終わりました。1試合終わって、残り2試合ありますので、次に勝てるようしっかり修正したいと思います」

──セットプレーの良い部分と悪い部分は?

「スクラムに関しては、前半はスカウティングどおりの相手の組み方で、比較的対応できていたと思います。後半は組んでいなかったプレーヤーが入り、難しかったと思います。ラインアウトは、何かバタバタして、やることを焦ってしまったように見えました」

──最後の5分はゲームが動かなかったが?

「その前のボールを動かせないところに課題があります。こちらはボールを動かしたいチームなのに、動かす術がなかったと思います。(ずっと明治がキープし続けたのは)ルールですから仕方がないです」

○三坂幸生ゲームキャプテン

「ありがとうございました。前半はゲームプランどおりにゲームを進めることができましたが、後半、自分たちは中盤でのペナルティやミスからリズムを失って、明治さんの強い圧力に自分たちの思ったようにゲームができなくなりました。勝ち点1を取ったことは良かったので、来週以降2試合に勝ちたいと思います」

──前半は前へのディフェンスができていたが?

「はい。後半は2次、3次のフェイズでミスがあって、波に乗れませんでした」

──スタメンに4年生が少なかったが?

「前半はプランどおりできていたので、ハーフタイムにはこのまま落ち着いて確実にいこうと言いました。後半、自分たちがリズムを失ったとき、まず、基本に返ろう、切り替えてと言って、ワンチームになるようまとめようとしましたが、ちょっと慌てた部分があったかと思います」

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監督・キャプテン
明治大学の丹羽監督と小澤ゲームリーダー

明治大学

○丹羽政彦監督

「お疲れ様です。今日の目標は勝って勝ち点6を取ることでしたので、それは評価したいと思います。前半は東海さんのディフェンスの意識が高いので、さらにその上をと思っていましたが、身体が張れず、ボールコントロールができず、最悪の出足でした。後半はボールキャリアの精度が上がり、タックルもしっかりと意識させて最終的には1点差で勝利することができました。この3試合は1戦も負けられないので、ゴール前の精度、ブレイクダウンを取り切る精度を早稲田戦より上げていこうと思います」

──次の1週間でどう修正するのか?

「これまではFWの近場をサポートが突破してリモールつくろうとやってきましたが、モールの芯になる選手がいませんので、今日はモールサイドを突きました。早稲田戦では獲り切れませんでしたが、オプションを一つ作り、近場一辺倒でなく、動きながら少しずつ進歩させて1試合1試合を戦っていきたいと思います」

──次は慶應戦だが?

「慶應戦までにさらに上げて行かなくてはいけません。落とし込みも必要です。是が非でも、対抗戦のリベンジを果たしたいと思います」

○小澤和人ゲームリーダー

「お疲れ様です。前半の入りで東海さんの圧力を受けてしまい、ブレイクダウンを越えられ、ターンオーバーしてもBKのミスでボールを取られるなど良くなかったです。後半はしっかり敵陣に入ってから、FWで押せる、獲れるということでゲームプランどおりにできたと思います」

──前半は?

「FW戦で獲りきる自信があったのですが、前半はこっちのミスでターンオーバーされました。ハーフタイムでも、FWが固く行けば獲れると言って、獲りきってくれました」

──かなりFWまで声を掛けに行っていたが?
「FWに4年生がいなくて、3年生がまとめていましたが、そこは4年生がしっかり声を掛けて落ち着かせることが大事だと思って行きました。FW自身も今日の試合では絶対獲れる、モールは押せると言っていました」

──山口ゲームキャプテンが早々に退いたが?
「ハーフタイムにヘッドコーチから喝を入れられ、選手全員が集まって、負けたら終わりなんだ、身体を張らないと明治の代表じゃないと確認しました。同期として山口の分もしっかり勝たなくてはいけないと思って、ゲームプランを話しました。山口の怪我もあるし、このままだとダメと分かっていたので、選手は円陣でしっかり気持ちが入っていたと思います」