「第52回全国大学ラグビーフットボール選手権大会」セカンドステージ・プールDの第2戦。
第1戦で38-30と流通経済大学(関東大学リーグ戦1部・2位)に逆転負けを喫した立命館大学(関西大学Aリーグ・3位)と、明治大学(関東大学対抗戦A・2位)に53-14と大敗した京都産業大学(関西Aリーグ・5位)の関西勢同士の一戦。
大学選手権では、京産大が前回大会セカンドステージ第3戦の中央大学戦、立命館大は前々回大会セカンドステージ第3戦の明治大戦以来の勝ち星を目指す。今季の関西Aリーグでのこの両チームの対戦は第2節、がっぷり四つの展開からノーサイド寸前ロスタイムに立命館大SO大城海のPGにより、20-17と立命館大が辛くも逃げ切っている。
積極的な展開と粘り強いディフェンスが持ち味の両チームによる熱戦を期待し、小春日和の東大阪市花園ラグビー場に駆けつけた5,000人を超す熱心なラグビーファンの見守る中、立命館大SO大城のキックオフで幕を開けた。

先手を取ったのは京産大。前半7分に立命館大学陣に攻め込み、ハイタックルで得たゴール前10mポスト右のPGをSO高原慎也が決めて0-3と手堅く先制。一方の立命館大学も直後の9分、左FL古川聖人がゴール前で転がしたパントキックを、CTB宮田遼が競り合いながらインゴール左中間に押さえてすかさず5-3と逆転した。さらに13分には22mLポスト右、京産大のオフサイドで得たPGをSO大城が決めて8-3と点差を拡げる。ところが京産大も16分、ゴール前5mのラインアウトから自慢のFWがモールを押し込む。最後はHO中川将弥が左中間に押さえ、SO高原のゴールも決まり8-10と再逆転。リーグ戦同様、シーソーゲームの様相を呈してきたと思われた。しかし立命館大がここから展開力のあるBKが自陣からも大きくボールを動かし始めると、21分、25分にFWラッシュとBK展開から右WTB三島藍伴、左WTB橋川征悟の両高速ランナーがトライを挙げ、222-10として前半を終えた。

後半に入っても立命館大の勢いは衰えない。接点ではFWが京産大に競い勝ち、FW,BK一体となった持ち味の攻撃を繰り返す。後半開始直後の3分には、アドバンテージ中のゴール前でCTB磯田凌平の上げたキックをNo8中村亮介が右中間に押さえトライ。29-10と試合をほぼ決定づけた。その後、京産大も立命館大ゴール前では自慢のFWがスクラム戦を繰り返して意地を見せようとするが、立命館大FW陣が耐えてゴールを割らせない。逆に立命館大は34分、HL付近の京産大ボールのスクラムを奪取、SH高島理久也からボールを受けたNo8中村が左隅にトライを挙げて勝負あり。京産大も終了間際に1トライを返すが及ばなかった。
立命館大が36-15と大差で京産大を退け、関西勢対決を制した。

お互いに手の内を知り尽くした相手との対戦ではあったが、FW戦を制して京産大の圧力を封じ込め、さらにBKが縦横無尽にピッチを駆け抜けた立命館大に軍配が上がった。立命館大学は大勝で勝点6を挙げたが、第1戦の逆転負けが響いてファイナルステージ進出は微妙。また、京産大は何としても勝利がほしいところ。次週の第3戦は再び東西対決となるだけに、関東の雄、明治大学、流通経済大学相手に関西勢の最後の意地を見せてほしい。


 

■京都産業大学

○大西健監督

「勝点制の大会なので、前回の試合結果でもう次のステージには行けないということは学生たちも私たちもわかっており、この一戦をとにかく良いゲームをすることで来季には次のステージに行けるようにと臨んだ。ゲームプランとしてはFWが前に出てBKを動かそうと考えて前半はその通りになったが、何点か詰めのところでミスが出てしまってそれが最後まで響いた。後半は2トライ差があったので最初に点を取りに行こうとしたが、ミスや焦りが出てその通りには行かなかった。残念だがもう1試合あるので、全力でぶつかって来期につながるゲームにしたい」

——ミスからトライをとられる場面がいくつかあったが、選手に気負いがあったのか?

「特にFWがゴール前に攻め込んでのミス、今日はジャッジも非常にフェアであったが、やはり気負いからバランスが崩れた点があった。そこが非常にもったいないところであった」

——FWがスクラムを押し込む場面が何度もあったが、FWのスクラムに関する評価は?

「ずいぶん練習してきてその成果が出つつあったが、最後の詰めのところで安定しなかった。やはり本当の強さには欠けていたのではないか。これを反省点としてさらに強化しないと、来季、打倒関東にはつながらないのでさらに勉強して行きたい」

○下良好純ゲームキャプテン

「立命館大学には関西リーグで悔しい負け方をして、今日はそのリベンジにと臨んだ一戦だった。前半から敵陣に攻め込んでも自分たちのミスでスコアすることができず、最後まで自分たちのペースに持って行けずにこのような結果になってしまった」

——残念ながら2敗で最終戦に臨むわけだが、どのように気持ちを切り替えるか?

「チームとしてもこのままで終わるわけには行かないので、次の試合でこのチームは最後になるわけだが、しっかりとこの1週間で立て直して流通経済大学に挑みたい」

——リーグ戦と比べて立命館大学のアタック、ディフェンスで違った点は?

「関西リーグの時からBKが外で勝負するチームという印象はあり、ハイパントや外の良いランナーは意識していたが、それ以上に今日は自分たちのミスから崩れた試合だった」

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■立命館大学

○中林正一監督

「先週の流通経済大学戦の負けから一週間で、できることをやってきた。京都産業大学とは関西リーグではロスタイムのPGで辛勝、さらに相手も非常にメンタルの強いチームなのでゲームを受けない準備をしてきた。前半からなかなか思う通りの攻守ができず、相手に分析されていることを感じた。思い通りの攻めができない中でも、得点を重ねられたことが大きかった。後半はエリアも確保でき、モールやラインアウトのDFにも対応できていた。スクラムでは少し後手に回ったが、それ以外ではきちんと対応できた。先週は関東のチームに挑むということで意識は高かったが、今週は関西同士ということもあり気持ちを高めることが少し難しかった。その中でも点差を開けて勝てたというところにチームの成長を感じる。強い気持ちを持って戦ってくれた選手を褒めたい。次節の明治大学戦はビッグチャレンジなので、関西勢が関東の強豪校を倒すという構図を何とか作り上げたい。ここから1週間、明治大学のことだけを考えて準備して行きたい」

——前半、思うような攻守ができない中でも得点できたことの要因は?

「立ち上がり3分間で3回のミス、最初の10分を大切にしようというゲームのスタートとしてはあまり良くなかった。今日のトライは自分たちが目指した形ではなかったが、その中で取り切れたゲームへの対応力が関西リーグ終盤から成長できている点であると感じる」

——第一列がとても走っていたようだが、そのあたりの意識は?

「突出してボールを運べる選手が少ないので、フロントローであってもパスやランは求めている」

○小原稜生キャプテン

「立ち上がりは少し受けてしまい、特に京都産業大学のスクラムが強く、反則もとられてしまったが、後半は立て直してしっかり我慢できて流れを引き寄せることができた。セットプレー、特にラインアウトでプレッシャーをかけることができたことが大きな勝因である。先週の流通経済大学戦、関西リーグ最終の摂南大学戦と外国人選手とのマッチアップに苦労したが、そのおかげで大きく強い相手との接点への慣れが全体にあり、消耗なく戦えたことも大きかった。そのあたりを明治大学戦でも生かしていきたい」

——リーグ戦からずっと積み上げて最後に明治大学と戦う上で、チームの完成度、この辺りまで戦えるという感覚は?

「春シーズンからレベルアップしてきて今が一番ピークにある。公式戦を通してしっかり経験を積み、1年生の成長や上級生のリーダーシップが徐々に形になっている。メンタル面でもまず流通経済大学戦を目標に準備してきて惜しくもゲームは落としたが、次の明治大学に挑戦するつもりで皆が一つになれている」

(石川 悟、丸井康充)

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