攻め込みながらのミスが響き大敗も
アタックし続けたのは大きな収穫

「リポビタンDツアー2013」で欧州滞在中の日本代表が、12日夜(日本時間13日早朝)イングランド西部グロスターで、遠征2戦目となる対グロスター戦を戦い、5-40 で敗れた(ノンキャップ戦のためジャパンXVとして対戦)。

(text by Kenji Demura)

photo by RJP Kenji Demura
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「いい準備ができて、いい立ち上がりになった。その点はこのチーム課題だったので良かった」

ゲームキャプテンを務めたNO8菊谷崇がそう語ったとおり、試合の入りは完璧だった。

キックオフから敵陣に攻め込んだ日本は、22m付近のグロスターボールのラックから出たボールにLO伊藤鐘史が反応してターンオーバー。

テンポよく左サイドをアタックして、最後はFLジャスティン・アイブスが左隅に飛び込んで先制する。

この日の試合会場であるグロスターの本拠地キングスホルムは2015年のラグビーワールドカップでアジア代表が2試合を戦う場所。

2年後にやってくるであろう日本はどんなラグビーをするチームなのか。あるいは、地理的に6月に日本が倒したウェールズに近いことも、関心を集めた理由かもしれない。

平日の夜にもかかわらず、通常のプレミアシップのゲームの3分の2近くに当たる約7000人が見つめる中、いきなり先制トライでグロスターファンのド肝を抜くかたちとなったジャパンXV。

その後も、単純なアタック時間なら、SHジミー・カウワン(元NZ代表51キャップ)、CTBマイク・ティンドル(元イングランド代表75キャップ)、WTBジェームズ・シンプソン・ダニエル(同代表10キャップ)といった真のインターナショナルプレーヤーが揃ったプレミアシップの強豪チームであるグロスターと対等以上に戦ってみせた。

photo by RJP Kenji Demura
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「全体としてはポジティブに受け止めている」(ワイズマンテルHC代行)

試合前に「テストスポットにチャレンジしてほしい」との期待感を表明していたスコット・ワイズマンテルヘッドコーチ代行も「全体としてはポジティブに受け止めている。ボールを保持して、攻めることができた」と、選手たちのアタックする姿勢には一定の評価を与えた。

それでも、80分間での日本の得点は先制トライの5点のみ。

ジャパンウェイを貫くテンポのいいアタックでフェイズを重ね、何度も敵陣深く攻め込んだものの、とうとう追加トライを取ることはできなかった。

今村雄太、山田章仁、藤田慶和のバックスリーがビッグゲインする場面、あるいは後半9分に途中出場した松島幸太朗が密集近くでボールを受け取り、ラインブレイクを試みたりもした。

日本がテンポよくアタックする攻撃的なチームで、魅力的なランナーも揃っていることはグロスターのファンにも十分伝わっただろうが、残念ながらトライまであと数mの地点で自分たちのミスやペナルティでチャンスを逃すことがほとんどだった。

「攻めている中で、ゲインライン越えていくことも何度もあったので、勝てておかしくない試合だった。最後にパスをどうつなぐか、どうボールキープを続けるか。個人のファンダメンタルに関しては反省する必要がある」というのが、数々の修羅場をくぐり抜けてきた菊谷ゲームキャプテンの見解。

自らもスコットランド戦直前に合流したばかりだったCTB林泰基は、新たに加わったメンバーの戦術理解がまだ足りていないことの影響を以下のように語る。

「まだ、全体の理解力度が低い。シェイプがうまく行かずに、無駄走りして、チャンスというところで足が止まった」

攻めながらトライが取れず、逆にターンオーバーから一気にグロスターにトライを重ねられる展開となり、最終的には5―40というスコットランド戦以上の点差での敗戦。

6トライを重ねられたDFに関するワイズマンテルHC代行の総括は以下のとおり。

「現時点ではアタックを重視している。相手にボールを渡した時にスペースができてしまった。もっと早いリアクションが必要。それでも、DFのラインスピードは良かった。スクラムから大きくゲインされた場面は、システムの問題」

U20南アフリカ代表候補になりながらも、日本代表になりたい意向のため、スプリングボクスへの道を自ら絶った松島は「ジャパンで試合に出られたので第1歩。次につながる。やれることはやった。緊張せず、リラックスしてプレーできたし、ワールドカップのスタジアムでできたのはいい経験になった」と、20分足らずの時間だったとはいえ、初のジャパンXVでの試合を終えて、リラックスした表情でそう語った。

一方、やはり初のジャパンXVの試合ながら、こちらはいきなりフル出場のFL堀江恭佑は「試合も久々で不安なところもあったけど、思い切り、楽しくできた。フィジカル面では勝負できた」と、収穫の多いデビュー戦になったことを強調していた。

この日、スタンドから試合を見つめた廣瀬俊朗キャプテンは「シェイプのところでアタックできているなというのは感じた。ただ最後取り切れないのは、このところずっとそう」と、収穫と課題を口にする。

もちろん、残り2試合のテストマッチでは、課題を克服した上での快勝が求められることになる。

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