日 時: 7月26日(金)-28日(日)
会 場: 長野県菅平高原、宿泊先「白樺荘」
参加者: レフリー: 関東 櫻井美江、温井利江、石原益子、住田智子、川崎桜子
関西 大倉さや香、鍵恵子、牧野円
九州 夏目早矢香
スタッフ: 太田始、川口敬子、小野塚隆、御領園昭彦、白井健三、宮崎裕、大瀧史子

【スケジュール】

7月26日(金) 7月27日(土) 7月28日(日)
18:30 集合 7:00 朝食 6:30 朝食
19:00 開講式 9:00 実技研修 7:30 閉講式
19:30 座学 16:00 実技研修終了 9:00 実技研修
21:30 解散 18:00 夕食 15:00 研修後適宜解散
19:30 座学
21:30 懇親会


【第1日目 7月26日(金)】 開講式・講義

19時より開講式がとりおこなわれ、太田部会長よりご挨拶をいただく。受講生たちは緊張した表情ではあるが、しっかりと眼を見開いて話を聴く姿が印象に残り、今回の研修に対する強い決意を感じた。参加者の自己紹介と川口コーチから3日間の概要説明を受けた後、早速講義に入る。

講義は二部構成でおこなわれ、最初に「ブレイクダウンでの判断」と題して小野塚コーチより講義を受ける。ワールドカップ女子セブンズのビデオクリップから、ブレイクダウンの映像15シーンを検証し、それぞれのシチュエーションについて受講生ならどのように判定するか、という内容で実施された。

しばらくは受講生たちも自信の無さと緊張感からか「もう一度映像をみせて欲しい」という声が上がり、さらには他の受講生の回答を気にしながらの展開となり消極的な姿勢が目立った。小野塚コーチから「ゲームになればプレーは一度きり。その瞬間に判断しなければならない」「映像のなかのレフリーに惑わされず、もっと自信を持って発言しよう」という言葉でスイッチが入り、徐々に受講生も個々の考えを発言できるようになってきた。中盤ではグループディスカッションの時間もとり、小野塚コーチの解説を踏まえて多くの議論がなされた。最終的には15シーンすべての現象について受講生全員の見解を統一、明日の担当ゲームにおいて研修の成果を出していこうということで、受講生は気持ちを引き締めていた。

第二部は8月1日より導入される「スクラムエンゲージメントプロセス」について白井コーチから解説を受けた。今回担当する東日本ジュニアラグビー菅平ジャンボリーのゲームでは4段階のコールでスクラムを組むことを義務づけられているが、高校生やシニアなどのゲームにおいて、そのシステム導入の意図とルーリングについて深く理解をしておく必要性があるため、実施された。

特に安全性の確保を求められるプレーであるため、受講生も真剣な表情で解説を聞いていた。

この日の講義は21時30分に終了、明日の担当ゲームの説明を受けた後に解散となった。

【第2日目 7月27日(土)】実技研修・講義
この日は午前から実技研修を実施。前述にあるジャンボリー及びスクールの練習試合を担当した。受講生のレベルに準じた割り当てをおこない、大倉・櫻井・温井・住田・石原組はサニアパークにてジャンボリーのゲームを担当、夏目・川崎組、鍵・牧野組はそれぞれ世田谷ラグビースクール様と高崎ラグビークラブ様の練習試合を担当した。
サニア組は経験値の高いメンバー構成であったが、やはり大会というプレッシャーからか堅さもあったようだ。ペナルティに対して受講生自身がナーバスになり過ぎている場面もあり、プレーヤーのスキルを考慮してプリベントを活用するという課題も見つかった。しかしながら、走力・判断力においては目を見張る場面も多くあり、ブレイクダウンでの判定ではタイミングの良いペナライズ、アドバンテージの適用など昨日の講義の成果が早速あらわれた場面もあった。また、走力に関しては高いレベルにあり、更なるステップアップが期待される内容であった。
練習試合組の4名は経験が乏しく、試合前から不安を口にする受講生も多くいたため、笛の吹き方やシグナルの手順、ランニングコースなどの基礎的なレクチャーを小野塚コーチから受けてからゲームに入った。経験値の低さが露呈する場面も見受けられたが、ゲームが始まると吹っ切れていた様子で懸命にボールを追い、時折的確なペナライズできるなど伸び代を感じさせた。

午前の実技について各コーチよりアドバイスを受け、それぞれの課題を克服すべく午後のゲームに臨みたかったのだが、大雨と雷の影響で全試合が中止となった。

9時より夜の講義が始まり、サニア組は午前中のゲームを検証するため小野塚コーチのもとでそれぞれのゲームについてレビューをおこない、改善点を見つけていく作業をおこなう。さらに受講生共通の課題であるポジショニングとランニングコースについて取り上げ、太田部会長と小野塚コーチのアドバイスを受けながら共通理解を図った。練習試合組は御領園コーチより「レフリングの基礎・基本」を講義形式で実施。午前中のゲームがレフリーとして2試合目という受講生もおり、レフリングの原則から競技規則の説明など、まさにレフリーとしての基礎・基本を学ぶ時間となった。
21時30分の講義終了後に懇親会をおこない、女子レフリー発展についてコーチ、受講生が意見交換し、大いに盛り上がった。

【第3日目 7月28日(日)】実技研修・閉校式
最終日となるこの日は実技研修が中心となった。担当ゲーム終了後に随時解散となるため、朝食後に閉校式をおこない、太田部会長よりご挨拶をいただく。コーチ陣より激励の言葉をもらい閉校式を終了。

昨日同様サニア組と練習試合組に分かれ、研修の成果を発揮すべく、受講生全員がすがすがしい表情でピッチに入っていく。サニア組はゲームコントロールも安定し、最後まで走力は衰えず走り切った。
さらに上のカテゴリーにチャレンジしていけそうだ。

練習試合組もまた研修の成果を十分に発揮し、大きなミスも激減。「短期間でこれほど伸びるのか!」という嬉しい驚きを覚えた。ある受講生が担当したゲームにおいて、スクラムコールの際にチーム関係者から「レフリー、ナイスコール!」という声が上がっていたのが印象に残った。

スクラム練習
試合風景

【総評】
この3日間を通して受講生はたくましく成長した。まだまだ男子レフリーに比べると「フィットネス」「スキル」両面において足りていないが、「メンタル」面はほんの少しだが近づけたのではないか。

今回参加した受講生たちは女子レフリーの礎となっていくのだが、これまでの研修を活かすためにはそれぞれのレフリーが地域に戻ってどこまで経験値を上げていけるかが鍵となる。各都道府県協会での継続的なサポートをお願いしたい。

今回の研修において、受講生はもとよりコーチたちの情報交換の場としても大変有意義な研修となった。今後もこのような研修が継続的に実施され、女子レフリーの裾野が拡大していくことを期待したい。