大槻 卓
日本協会公認 A級レフリー

1 はじめに

7月25日より8月8日までコロンビア・カリで行われました標記大会の7人制ラグビー競技にマッチオフィシャルとして参加しましたので、簡単ではありますが報告させていただきます。

ワールドゲームズとは「第2のオリンピック」ともいわれる国際的トップアスリートによる総合競技大会です。国際ワールドゲームズ協会主催、国際オリンピック委員会後援で4年に1度、夏季オリンピック競技大会の翌年に開催されています。国際スポーツ団体総連合と国際ワールドゲームズ協会加盟競技の中で、オリンピック競技種目に採用されてない種目で、世界の4大陸40カ国以上に協会があり、かつ、3回以上の世界選手権等が行われていることが条件となっています。カリ大会では公式・公開合わせて30競技が実施され、120の国・地域から4,000名を超すアスリートたちが参加して行われました。
ご存じの通り7人制ラグビーは2016年オリンピック・リオデジャネイロ大会で採用される事がきまっていますので、ワールドゲームズでの7人制ラグビー競技はとりあえずのところ今大会が最後ということになりました。

2 日程

7月28日 中部国際空港より仁川、ニューヨーク経由にてカリへ
7月29日 夕刻到着
7月30日 会場視察、ミーティング
7月31日 マッチオフィシャルミーティング
8月1日 大会一日目
8月2日 大会二日目
8月3日 カリよりニューヨーク、仁川経由にて中部国際空港へ
8月4日 移動
8月5日 帰国

試合会場:PASCUAL GUERRERO OLYMPIC STADIUM
宿泊先:The Dann Carlton Hotel Cali

大会開幕前のマッチオフィシャルミーティングでは映像を使いながらレフリー間の基準の統一をはかりました。とりわけ『タックルエリア』、『不正なプレー』については時間をかけて議論し、大会を通して基準を下げることなく高い基準をもって臨むことを皆で確認しました。実際、皆が基準に則って一貫性をもったレフリングをおこない、規律の高いトーナメントにすることができたと思います。

3 参加国

・南アフリカ
・アルゼンチン
・フランス
・カナダ

・香港
・ブラジル

・ウルグアイ
・コロンビア

4 マッチオフィシャル

Taku Otsuki (Japan)
Federico Anselmi (Argentina)
Felipe Balbontin (Chile)
Henrique Platais(Brasil)

Carlos Poggi (Argentina)
Viviana Garat(Argentina) 女子
Victor Silvelo(Paraguay)
Rodrigo Puelma(Chile)
Claudio Cattivelli(Uruguay)
Francisco Gonzalez(Uruguay)

レフリーマネージャー
Carlos Molinari (Argentina)

今回は見ての通り私以外は南米各国からの参加でした。彼らの公用語は皆スペイン語ということでミーティングやその他、身の回りの事に至るまでがスペイン語で行われ、私にとってはなかなか大変な環境ではありましたが、先の大会(7月中旬に参加したユニバーシアード)で出た課題をクリアすべく準備を行い、割り当てられたゲームに対してポジティブな状態で臨むことができたと思います。

担当した試合の直後には短い1 on 1ミーティングがおこなわれ、ゲームのパフォーマンスについてのフィードバックと次の試合に向けた修正点について話合いを持ちました。このサイクルは大会期間の中でのパフォーマンスの維持・向上に有効であったと思います。

5 担当試合

レフリー担当試合
レフリー担当試合
プール戦
・ アルゼンチン 26-14 ウルグアイ
・ アルゼンチン 31-7 ブラジル
・ 香港 38-0 コロンビア
順位決定戦
・ ブラジル 7-26 カナダ
・ ウルグアイ 7-17 香港
・ 香港 22-7 ブラジル

6 おわりに

コロンビア・カリで開催されたワールドゲームズの7人制ラグビー競技に日本のレフリーとして参加し、ピッチでパフォーマンスできたことを大変嬉しく思います。7人制ラグビー競技の会場には15,000人を超える観衆が訪れ、南米特有の熱気ある応援で大会、試合を盛り上げていました。今回、幸運にも身体の空いた時間に他競技の観戦・応援にいくこともできたのですが、あらためてスポーツの持つ素晴らしさに触れることができたと思います。スポーツを教える人、プレーする人、支える人、見る人、評価する(判定する)人等々、まさにいろいろな立場の人たちが一体となって一つの大会をつくりあげているんだということを肌で感じることができました。最終的に7人制ラグビー競技は南アフリカの優勝で幕を閉じたのですが、初めて訪れたコロンビアで目の当たりにした南米での根づきなど、ラグビーの世界的な広がり、そして2016年のオリンピック開催に向けた取り組みが着々と進行していることを強く感じました。このような機会をいただかなければなかなか足を運ぶことのできなかったであろうコロンビアでの大会参加と生活はピッチの内外で私にまた新たな発見と課題を与えてくれました。この経験を今後のレフリー活動に活かしていきたいと思います。

最後になりましたが、今回の派遣に対しても快く送り出していただいた勤務先であります(株)豊田自動織機をはじめとして、現地で大変お世話になったコロンビアラグビー協会、多数のボランティアスタッフのみなさん等、今回も多くの方々に支えていただきこの実り多き遠征を無事に終える事ができましたと思います。今大会に関わられた全ての皆様にこの場をお借りいたしまして感謝申し上げたいと思います。