日本ラグビーフットボール協会は2月7日、今シーズンの日本代表のスケジュール、そして日本代表スコッド56名を発表しました。それをふまえて2月27日、約1ヶ月後に始まるフランス合宿に参加するメンバー34名を発表。当日の会見の模様をご紹介します。

太田治ジェネラルマネージャー
  太田治ジェネラルマネージャー

まず太田治ジェネラルマネージャーより、発表のアウトラインについての説明がありました。
「我々、日本代表チームは、2月7日に2006年度日本代表スコッドを発表させていただき、日本選手権出場チーム以外の選手達にはストレングス講習会などを実施し選手諸君のコンディションやモチベーションの維持に努めてきました。昨日、日本選手権大会決勝が行われ国内シーズンが幕を閉じました。これに伴い、いよいよ3月6日からのメディカルチェックを経て、30日からのフランス合宿より春の日本代表シーズンがスタートいたします。

フランス合宿は、今シーズンのターゲットである11月に行われるラグビーワールドカップ2007アジア地区最終予選を勝ち抜き、本大会の出場権を獲得するため、そして我々の最大の目標であるワールドカップ本大会での2勝を達成するための基盤を構築する場となります。

今合宿の目的は、

  1. 日本代表スコッド全体のボトムアップ
  2. 日本代表のアイデンティティの確立に向けて

以上、2点になります。今合宿で、日本代表の目指すべき方向性、JAPANスタンダードを多くの選手に浸透させ、長きに渡るシーズンを乗り切る力、そしてテストマッチ勝利追求する強い心を植え付けたいと考えています。

また、今シーズンの日本代表チームの始動に合わせ、日本代表のオフィシャルスポンサーである大正製薬株式会社、ソシエテ ジェネラル グループのロゴマークが変更となります。新たな日本代表ジャージを纏い世界を相手に戦う日本代表の姿を通して、日本ラグビーを世界にアピールし、日本ラグビーの素晴らしさを発信していきたいと思っています。

なお前回の会見では、フランス合宿に帯同するメンバーは32名、と発表いたしましたが、日本選手権でのパフォーマンスをチェックした結果、さらに2名を追加し、34名となりました。

我々は、日本協会のビ

ジョンである『ラグビー競技を誰からも愛され、親しまれ、楽しめる人気の高いスポーツにする』という目標の達成のために、ファンはもちろんのこと、トップリーグチームや未来の日本代表を担うジュニア層などを巻き込み、人気・実力共に日本代表を頂点としたピラミッド構築を目指し、様々な施策に取り組んでいきます。また、日本代表はもちろんのこと、ラグビーというスポーツが認知され、さらに多くのファンの方々にご覧いただけるよう、一層の努力と研鑚を重ねていく所存です。引き続き、ご支援の程よろしく御願い申し上げます」

フランス合宿メンバー選出について

◎ジャン-ピエール・エリサルド ヘッドコーチ

エリサルド ヘッドコーチ
  エリサルド ヘッドコーチ

「フランスでの合宿は、日本人としてのアイデンティティの確立。ラグビーの選手としてトータルで一流になること、グラウンドの内外を問わず。選手・スタッフの役割の明確化、といったことを目的に行います。選出した34名で、4月のラグビーワールドカップアジア地区予選(アラビアンガルフ戦、韓国戦)を戦います。その後、パフォーマンスの見直しをはかり、5月のグルジア代表との試合の前に、日本代表を再構築します。その後、再度、評価のし直しを行い、6月のIRBパシフィック・ファイブ・ネーションズなどを戦っていきます。

今回のセレクションでは、まず継続性ということを重視しました。ポジションごとにご説明していきます。

  • 1――左プロップは2名のみ。これは、相馬・笠井を1番でも試してみたいからです。
  • 2――けが人もいますので、3名です。
  • 3――右プロップはクォリティの高い3名です。あとはスクラムへの入りを強く、ルーズボールへの強さ、といったことを求めたい。
  • 4――今回、北川を選ばなかったのですが、現在の調子ではこのふたりが上回っていると考えました。
  • 5――このふたりは、まったく迷いなく選びました。
  • 6――日本人の特徴として、高いパフォーマンスを発揮できるポジションです。渡邊も非常に近いレベルにいましたが、今回はもれました。
  • 7――6番とはかなり違うポジションと捉えています。体重の重さを重視しています。マキリは、大久保よりダイナミックさにおいて優っている。
  • 8――木曽は今シーズン、パフォーマンスは高かった。相もプレゼンスの高さと将来性を評価して選出しました。ここはおそらく質問が多いかと思います(笑)。
  • 9――継続性、そして私が信頼をおける、という観点から選びました。スクラムハーフはグラウンド上でリーダーシップを求められます。後藤はふたり(池田・伊藤)のレベルに近いのですが、今回はもれました。
  • 10――スタンドオフですが、廣瀬が無理になり(トヨタ自動車ヴェルブリッツの廣瀬選手と豊山選手は、日本代表を引退することを表明)、また森田はけがを抱えている。必然的にふたりの若い選手を選びました。若いだけに私のイメージが伝わりやすいのではと思っています。
  • 12・13――継続性を重視するなかで、運動能力の高さで遠藤、モチベーションの高さで今村を選びました。向山もかなり近いレベルにあるが、今回は見送りました。
  • 11・14――ここも日本人が通用するポジションだ。三宅は複数のポジションをこなすことができると思う。
  • 15――けががなければ問題なく立川なのだが、直近のパフォーマンスをみて水野、武井を選びました」

エリサルド ヘッドコーチ、太田ジェネラルマネージャーの間に立つのは、ロゴマークが変更になった新しいジャージのモデルとして登場した佐藤剛選手(三洋電機ワイルドナイツ)。フランス合宿に参加する エリサルド ヘッドコーチ、太田ジェネラルマネージャーの間に立つのは、ロゴマークが変更になった新しいジャージのモデルとして登場した佐藤剛選手(三洋電機ワイルドナイツ)。フランス合宿に参加する

記者からの質問に答えて

――箕内選手がはずれたのは?
◎エリサルド ヘッドコーチ
「箕内になにかが足りなかったということはない。持ちすぎているくらい持っていると考えています。彼とも今回の件に関して話しています。彼に問題はありません。彼は質の高い選手であるし、人間的にも責任感がある。今後、彼が必要になることもあるでしょう」

――フランスでは3試合が予定されていますが、選手の起用方法は。
◎エリサルド ヘッドコーチ
「場合によっては4試合になるかもしれません。すべてのポジションにおいて、すべての選手を試すことになります。それに加えて笠井、相馬を1番で試したり、大西をスタンドオフで起用する、ということも考えています。
今回の合宿では、私も選手たちと寝食を共にするなかで、ラグビーに限らず、選手たちの人柄などを知りたいし、選手たちもいろいろ情報が得られるでしょう。フランスでの12日間を経て、チームは理想的なものとしてまとまっていけるのでは。『今日なにをするかで、明日が決まる』のです」

――先日の会見で大学生の試合は見ないということでしたが、今回、大学生が選ばれていますね。
◎太田ジェネラルマネージャー
「それは、大学生同士の試合のことをいっていたわけです。それが早稲田大学さんの日本選手権での戦い、ということがあり、非常にレベルが高いと感じましたので、今回追加させていただきました」

――前回、56名のスコッドが発表されている一方で、今回、新しく追加の選手がいるのはなぜか。
◎太田ジェネラルマネージャー
「大学生については、トップリーグのチームと対戦した際に、我々の想像していた以上の力をみせてくれました」

――スコッドに選ばれた56名のうち、今回の合宿メンバーからもれた選手について。
◎エリサルド ヘッドコーチ
「まず、今回のフランス合宿メンバー選出が、このまま長く続くわけではありません。現時点での評価の結果なので、今後、新たに選ばれる選手も出てくる可能性はあるのです」
◎太田ジェネラルマネージャー
「フランス合宿のメンバーを主体にして、アラビアンガルフ代表、韓国代表と戦います。その後は、グルジア戦、ファイブネーションズと、選手をその都度選び直していくことになります」

――廣瀬選手の代表引退で、キッカーに不足が出るのでは。
◎エリサルド ヘッドコーチ
「フランス合宿メンバーの選考は、ぎりぎりまで行っていましたので、廣瀬に確認をし、代表を引退ということをききました。まったく想定していませんでした。廣瀬は今季、前年よりもパフォーマンスを高めていたと思いますし、悪いサプライズでした。フランス合宿では、キッカーのためのコーチを招へいしますし、また大西もキッカーとして考えています」
◎太田ジェネラルマネージャー
「廣瀬選手は、今年はトヨタ自動車ヴェルブリッツでプレーするわけですが、体力面を考えると、2007年のワールドカップのときに代表のジャージを着ている自分がイメージできないということです」