2009 IRBパ
シフィック・ネーションズカップ 6月23日(火)、フィジーのラウトカ・チャーチルパークで行われた「2009 IRBパシフィック・ネーションズカップ 日本代表 対 ジュニア・オールブラックス」戦。これで日本は0勝2敗となりました。

日本代表 21-52 ジュニア・オールブラックス

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若いメンバーが中心となってから、80分間集中力を維持できるケースが少ないカーワン・ジャパン。
パシィフィック・ネーションズカップ(PNC)優勝候補筆頭と目されるジュニア・オールブラックスとの一戦でも、その典型と言えるような戦いぶりを披露するかたちとなってしまった。

前半 0-40
後半 21-12

もう少し細かく見て行くなら、前半10分以降の30分間で0-40、後半開始からの30分間なら21-0。ここまで、前後半で180度異なる様相を見せた試合もそうはないだろう。
前半と後半ではまるで違うチーム。それが、フィジー西端のラウトカで、スーパー14のスターたちが勢揃のJABに対峙したヤングジャパンの姿だった。

「ちょっと、みんなビビッてたんじゃないかという気がする」とは、あるリザーブメンバーの証言だが、試合開始10分間ほどはむしろ日本が優勢に試合を進めた。
3分にJABのSOスレイドがPG失敗。4分には、自陣でNO.8菊谷主将が蹴り出したボールにHO青木が素早く反応して相手をつぶして、ブレイクダウンでターンオーバー。LO大野がタテに突破してチャンスを広げた後、SOアレジが左サイドにキックパス。WTB冨岡がキャッチしてFB五郎丸が相手ゴールに迫るが、2人がかりのタックルを浴びて吹き飛ばされ、トライには至らない。

直後にも、青木、FLリーチの突破でチャンスをつかむが、ラックからボールを持ち出したSH吉田朋が相手の激しいタックルを受けてノックオンでチャンスをつぶした。11分にも敵陣22m付近でマイボール・ラインアウトのチャンスをつかむが、クリーンキャッチできず、こぼれたボールを吉田朋が何とか処理してアレジにパスを渡したものの、プレッシャーを受けたアレジがノックオン。こぼれ球を拾ったJABのFLヴィトからWTBギアにつながれて、先制トライを許してしまう。

自分たちが攻め込みながら、ミスから相手にトライを与えてしまったことで浮き足立ったのか、この後、ジャパンは完全にペースを失う。16分。センターライン付近のラインアウトから、JABのSOスレイドに次々に6人がタックルを外され、そのままインゴールを明け渡してしまう。さらに、21分にはCTBニコラスのパスをインターセプトされて失3トライ目。直後の22分にはキックオフからボールをつながれてノーホイッスルトライ。33分、36分にも、やはり自分たちのミスからトライを奪われ、とうとうスコアは0-40まで開いてしまうことになった。

前半終了間際、相手の反則から積極的に攻めて、ようやく敵陣深くまで攻め込んだ日本は、菊谷主将がタックルをうけながらもボールを持ったままJABゴールになだれ込んだが、ダウンボールできずにノートライ。そのプレーで前半が終了した。「今までで一番キツい前半だった」多くの選手がそう語ったとおり、ハーフタイムでロッカールームに引き上げる選手たちの表情は、憔悴し切っているように見えた。

立ち上がりの10分間で証明してみせたとおり、日本が組織で戦えている間は、個々の能力で上回るJABにも間違いなく対抗できていた。ところが、プレーの精度が落ち、ミスが出て、組織プレーに綻びが生じると、そこをJABの猛者たちに突かれて太刀打ちできなくなる。前半10分以降の30分間は、まさしく、そんなプレーの連続となってしまったのだ。

「ジャパンのプライドを持って戦え。0-0からのスタートだと思って、後半だけでも勝ってみろ」カーワンHCからの激しいゲキを受けたことも影響したのか、後半の日本は前半とはまるで違う顔を見せる。"ネバー・セイ・ダイ・アティチュード"試合後、地元紙メディアでそう賞賛された、信じられないようなファイトバックを披露してみせたのだ。

5分に相手ゴール前のラインアウトからモールを押し込んで初トライ。17分には敵陣深くの相手ボールのスクラムでプレッシャーをかけた後、相手キックを拾ったWTBタラントがカウンター。いったん左にワイドに振った後、ラックから今度は右展開して、アレジ-ニコラスとつないだ後、攻撃の起点となったタラントに再びボールが戻り、左隅に飛び込んだ。そして、20分にはラインアウトからのサインプレーでPR平嶋が相手DFを突破してゲインした後、ラックからの素早い球出しでCTB平が悠々相手BKを振り切って3連続トライ。ハーフタイムで40点あった点差は一気に19点にまで縮んだ。

終盤JABに2トライを加えられたものの、後半だけならスコアは21-12。結果的に、日本はハーフタイムでカーワンHCが求めた、「後半は勝て」というミニマムな目標は達成できたことになる。「後半は日本がどういうふうにプレーできるかを証明できたと思う」(SOアレジ)
もちろん、それでも80分間では31点差での大敗という事実に変わりはない。この日プレーした22人中、昨年のPNCを経験しているのは、わずかに9人。若い選手たちにとっては、オールブラックスまであと一歩というスーパー14のスター選手たちが並ぶJABが「雲の上の存在」(FL豊田)だったことも確かだろう。「ジュニア・オールブラックスの選手たちに名前負けしたのが、前半、思うように戦えなかった原因」というのがカーワンHCの分析でもある。実際、40分間体を合わせた後の後半は、対等以上に戦ってみせたのだから、前半思いどおりにプレーできなかった要因に「気持ち」の部分が大きかったのも確かだろう。

「サモア戦に続いて、自分たちのミスで相手に点数を与えてしまっている。ここをしっかり反省してトンガ戦に臨む」(菊谷主将)
昨秋の米国戦、アジア五カ国対抗、そしてPNCと、11年W杯を見据えた若いメンバーで戦ってきたカーワンジャパン。若い選手たちが成長していることに疑いの余地はないが、その一方で本当に11年W杯でいい成績を残すためには、そろそろPNCで結果を出さなくてはいけないのも事実だろう。

"ノーエクスキューズ。マストウィン"
27日のトンガ戦は、本当の意味でカーワンHCが就任以来、繰り返してきたフレーズを実行に移さなくてはならない試合となる。

日本代表 21-52 ジュニア・オールブラックス   日本代表 21-52 ジュニア・オールブラックス   日本代表 21-52 ジュニア・オールブラックス   日本代表 21-52 ジュニア・オールブラックス

◎日本代表 ジョン・カーワン ヘッドコーチ
「前半と後半で2つのチームを見ているようだった。前半は、自分たちのミスから相手に得点を与え自滅。メンタルの部分の弱さも出てしまった。しかし、後半の結果は自信を持っていい。選手たちもどんな相手であろうと日本の目指すラグビーを実践すれば通用することが分かったと思う」

◎日本代表 菊谷崇キャプテン
「前半自分たちのミスから崩れて受けに回ってしまった。パスミスからのインターセプトなど、簡単にトライを与えてしまってチーム全体のテンションが下がってしまった。ハーフタイムで気持ちを切り替えて臨んだ後半は、自分たちのペースで試合を進めることができた。受けに回るのではなく、キックオフから積極的に仕掛けていきたい。
トンガ戦は結果。どんな形でもいいので結果を出したい。グラウンドに立つ15人だけではなく、チーム全員で戦う」

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