日本代表 27-6 カナダ代表   日本代表 27-6 カナダ代表   日本代表 27-6 カナダ代表   日本代表 27-6 カナダ代表

マッチリポート
リポビタンDチャレンジ2009


日本代表 27-6 カナダ代表

【2009年11月21日(土) at東京・秩父宮ラグビー場】

日本代表、最終戦もカナダ代表をノートライに完封

外苑前の秋の風物詩、大銀杏並木が黄葉に色づいた快晴の秩父宮ラグビー場、日本代表の東京での勝利を期待する1万人のファンが見守るなか、最終戦(第2戦)を迎えた。試合前には尺八の演奏が、カナダ代表に対して和のおもてなしをもって盛り上げた。

前半、日本のキックオフから開始、仙台での第1戦とは切り替え、カナダはブレイクダウンへの集中は激しく、ラックへのプレッシャーを高めてきた。
日本もオープンワイド、センターからの縦、キックで積極的に攻撃を仕掛け、再三ゴール付近まで攻め込むが、詰めの場面でのミスが起こり、トライには至らない。
前半9分、カナダ陣22m付近のラックで激しい攻防よりボールを獲得し、10番ウェブが左へ展開、13番トゥプアイレイが縦をつき、オープンの15番 有賀に繋ぎゴール左に飛び込み先制トライ。(5-0 12番ゴール不成功)。

前半20分、敵陣22m以内でのエリアでの攻撃を保っていた日本は、敵陣左ゴール前マイボールスクラムを押し込み、モール密集から3番 畠山がインゴールにボールを持ち込みトライ。12番ニコラスがゴール成功(12-0)。
前半23分、日本反則よりカナダ15番プリチャードがペナルティゴール成功(12-3)。
前半終了前、カナダの連続攻撃が続くが、パスミスが出てトライに繋がらず、ハーフタイム、日本リードで前半12-3。

後半カナダのキックオフより再開、後半も日本が攻勢にまわる。
後半8分、日本敵陣10mのラックからのボールを3番 畠山、15番 五郎丸で縦にゲイン、このラックを速攻で右に8番 菊谷が持ち込み、6番リーチに繋ぎトライ。10番ウェブがゴール成功(19-3)。
この後、後半16分、カナダ10番モンロのペナルティゴール成功(19-6)し、カナダはようやく追加点を挙げ追い上げるが、後半21分、日本10番ウェブのペナルティゴール成功(22-6)し、得点差は縮まらない。
このあと、カナダは敵陣22mエリアをキープしての攻撃を仕掛けるが、日本の早いプレッシャーからの前へのディフェンスに阻まれゴールラインを割ることができない。

後半32分、日本自陣ゴール前のカナダボールスクラムからの展開より、日本10番ウェブがインターセプトし、70m独走、ラック形成し、21番アレジが右展開、22番五郎丸がフォローしトライ(27-6)。

カナダはノーサイド寸前まで、日本のゴール前で果敢にFWの縦、BK展開でと連続攻撃にて日本チームを脅かすが、日本が再三激しいタックルで凌ぎノーサイドとなり、日本ゴールラインを割れず、トライは得られなかった。

日本は、この試合で早い前へのプレッシャーからのディフェンスがうまく機能し、カナダをノートライに抑えられた点は非常に好かった。今回ラインアウトの課題等も見え、2011年ワールドカップに向けたさらなる強化のためのステップに繋げてほしい。

またカナダも今回の両センターに若手の起用など育成を進めており、ワールドカップで同じプールでの対戦の場合、手強い相手になってくることが予想される。2019年日本ワールドカップ開催・成功に向け、日本代表の強化が国内外の盛り上げにも非常に重要な要素となる、将来に向けたチーム強化と来年以降の活躍を大いに期待したい。(高野 敬一郎)

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会見リポート

カナダ代表
カナダ代表のクロウリー ヘッドコーチ(右)、リオダン キャプテン
カナダ代表のクロウリー ヘッドコーチ(右)、リオダン キャプテン

◎カナダ代表
○キーラン・クロウリー ヘッドコーチ
「残念です。十分なプレーができませんでした。スクラム、ラインアウトはそこそこだったが、チームとして向かっていく気持ちが前半は不十分でした。力を発揮できず残念です」

──結果として、ノートライだったが?
「戦略がうまく機能しませんでした。日本は予期していた以上に、非常に良かったと思います。その結果として、2週間やってきた得点力を十分に出すことができませんでした」

──2011年ワールドカップの対戦相手として情報収集はうまくいったか?
「今日の対戦は非常によい準備になりました。われわれは今日の経験を学習し、力を蓄えていきたいと思います」

──2011年のターゲットは、ニュージーランドとフランスに善戦か、それともトンガと日本に勝つことか?
「全部勝つ!それぞれのチームは厳しい相手だと思います。力を蓄えていきたい、それだけです」

○パット・リオダン キャプテン
「非常にタフな試合でした。ただ、私としては、チームメイトのプライドは守れたと感じています。日本がよくやったと思いますが、こちらもこれからの選手が活躍してくれました」

──2011年までを考えると?
「長い道のりだが、これから試合を通じて十分に学んでいきたいと思います。日本のラグビーはとても進歩していますが、われわれもさらに2年後を目指して進歩していきたいと思います」

日本代表 27-6 カナダ代表   日本代表 27-6 カナダ代表   日本代表 27-6 カナダ代表

日本代表
日本代表のカーワン ヘッドコーチ(右)、菊谷キャプテン
日本代表のカーワン ヘッドコーチ(右)、菊谷キャプテン

◎日本代表
○ジョン・カーワン ヘッドコーチ
「以前より、だいぶ良いチームになってきたと思います。今日まで、特に新しいことに取り組んだわけではありません。こちらとしては、もう少し、スピード豊かにワイドに攻めたかったけれど、まあ、相手をシャットダウンできましたし、選手たちはあきらめず、ゲームプランをよく全うしてくれました」

──去年と比べて?
「パシフィック(IRBパシフィック・ネーションズカップ)とアジア選手権で選手が基礎力を培ってきたことが大きいと思います。選手はディフェンスシステム、アタックシステムを理解し、去年より進化しています。良い方向に向かっていると思います」

──強化は?
「われわれが目指す速いテンポのラグビーをするには、ワールドクラスのフィットネスに高めていくことが非常に重要です。ラックのテクニックも高めていく必要があります。ラインアウトの精度も上げなくてはなりません。いつもいる選手と今日の眞壁や木津のような若手とのコンビネーションも高めていきたいと思います」

──来年のテストマッチの希望は?
「まずは、アジアカップでワールドカップの予選を通過することです。その後、12位、11位、10位、9位くらいのサモア、スコットランドあたりと日本でできればと思います。だが、まずは、アジアとパシフィックで勝つ、そして予選を通過することです」

──2011年、カナダ戦に向けて?
「2年くらい準備期間があるので、チーム力の向上が重要です。トンガ、カナダ、オールブラックス、フランスがどんなパフォーマンスをして来ようが、やるべきゲームコントロールを今日のようにやっていくことです」

──来年のウィンドウ・マンスではアイルランドなどを招くことはあるのか?
「あまりトップネーションズとやることには興味がありません。イタリアと連絡は取っていますが、トップ10国はすでに調整が終わっていることと思います」

──最後に、今日の勝因は?
「キクが相変わらず、素晴らしいキャプテンシーを発揮してくれたからです。オンのときも、オフのときも、私が厳しく選手に言うことをしっかり理解して、皆に落とし込んでくれました。キク、ありがとうと言いたいですね(笑)」

○菊谷崇キャプテン
「結果としてノートライに抑えて勝ったことにほっとしていますが、前回のラインアウトの修正をしきれなかったことと、プレーの選択をしっかりし、敵陣でプレーできなかったことなど反省ばかりです。来年の春、集まって修正しなくてはと思います。ただ、ワンラインで前で仕掛けてノートライに抑えたことは評価できます。課題が多く残った試合だったと思います」

──カナダのブレイクダウンは物足りなかったのでは?
「先週より、カナダは良くなったと感じました。その点、てこずってしまいましたが、結果には満足しています。この1週間で切り替えてくることは当然覚悟していましたので、予想通りでした。物足りないことはありませんでした。相手どうこうより、日本代表としてのプライドを持って臨めたことが良かったと思います」

──大きくないカナダにブレイクされたラインアウトの修正点は?
「僕の印象ではカナダはかなり大きいです(笑)。それとは別に、新しい堀江、木津、眞壁が入って、春からやってきたことを2週間で埋められなかったと思います。早くセットしようとしてパニックになりかけ、カナダのリアクションも良かったです。しっかりと時間をかけてチームでやろうとすることを体に飲み込ませないといけません」

大正製薬(株)上原明代表取締役会長兼社長と、リポビタンD賞トロフィーを手にする菊谷キャプテン(右)   大正製薬(株)上原明代表取締役会長兼社長より、副賞として、リポビタンD 500本を頂きました。右は大野選手   両チーム入り混じっての記念撮影
大正製薬(株)上原明代表取締役会長兼社長と、リポビタンD賞トロフィーを手にする菊谷キャプテン(右) 大正製薬(株)上原明代表取締役会長兼社長より、副賞として、リポビタンD 500本を頂きました。右は大野選手 両チーム入り混じっての記念撮影