マッチリポート
トーナメント表


明治大学 60-7 流通経済大学

【二回戦/2010年12月26日(日) at 東京・秩父宮ラグビー場】

対抗戦グループ上位4校を苦しめた筑波を破って、初の2回戦進出で勢いに乗る流経大。
一方、全勝で迎えた早稲田戦に苦杯を喫したものの、強力FWの復活で久々の王座奪回を目指す明治。ゲームは、激しい当たり合いのFW戦の予想に反し、意外な展開となった。
前半5分、先手を取ったのは明治。流経ゴール前のラインアウトからボールを大外まで回すと、タッチライン際からWTB居迫が鋭く内に切り込み中央にトライ(G成功:7-0)。12分、今度は自陣内10メートル付近のスクラムから右へ展開すると、WTB居迫が余り、右ライン際を40メートルの独走トライ(G成功:14-0)。

BKの連続トライでリードを広げる明治だが、流経のスクラム・ラックでの奮闘もありボール支配率ではほぼイーブンと主導権は奪えない。流経の反撃を期待したいところだが、ノックオン・ペナルティが多くチャンスをつかめず、明治SO田村の好キックもあり自陣内での攻防を強いられる状況が続いていた。しかしながら、前半終了間際、流経陣22メートル付近のラックから出たボールを受けた明治CTB大澤に、ディフェンスラインの一瞬の迷いを突かれゴールポスト真下へトライ(G成功:21-0)を許すと、前半終了直前にも確実にPGを決められてしまう(24-0)。

後半も先手を取ったのは明治だった。流経ゴール前に迫るとBKで左右へボールを動かし、最後は右隅のモールから出たボールをSO田村が3~4人飛ばしてWTB佳久へロングパスしそのままトライ(G成功:31-0)。11分、さらに明治は流経ゴール前ラインアウトからLO古屋が左サイドを突きトライ(G成功:38-0)。

明治のワンサイドゲームになりつつあった後半20分流経の反撃が始まった。FB長谷川が自陣内で明治のキックを受けると絶妙なカウンターアタックを展開した。明治FWの密集を巧みなステップですり抜け、大きくゲインし味方FWに繋ぐ。細かくパスを繋いだFWから出たボールは、SO宮脇から再びFB長谷川へ渡り流経の初トライ。CTB八次のゴールも成功(明治38-7流経)。

初トライで意気の上がる流経は自陣からも積極的に攻撃を仕掛けるが、逆に明治の堅い守りに阻まれターンオーバーされ、23分には判断良く前に上がってきたFB小泉に走られトライを奪われてしまう(G成功:45-7)。その後は、明治が28分NO8杉本、32分WTB山口、40分LO古屋と3連続トライを決めノーサイド(明治60-7流経)。
細かなミスとペナルティでチャンスを逃し、最後までリズムをつかめなかった流経。FWで流経の強さを抑え、BK勝負のゲームプランが成功した明治。両チームの実力以上の大差がついた印象の試合結果だった。(堀口 孝)

明治 60-7 流通経済 明治 60-7 流通経済 明治 60-7 流通経済 明治 60-7 流通経済 明治 60-7 流通経済
会見リポート
 

流通経済大学の内山監督(右)と山崎キャプテン
流通経済大学の内山監督(右)と山崎キャプテン

流通経済大学

○内山達二監督
「前半からうちのラグビーをやらせてもらえませんでした。ミスも多く、最初から最後までテンポが悪かったです。しかし、1回戦の壁を破った山崎をはじめとする選手を誇りに思います。負けましたが、選手は本当によくやったと思います」

──攻め切れなかったが?
「相手のディフェンスの良さは予想通りでしたが、思った以上に相手のフィットネスがありました」

──明治はBKに展開してきたが?
「今年の明治さんは強いFWもありますが、フルバック、ウィングに走力のある子がいると警戒していた通りでした」

○山崎基生キャプテン
「プレーの面では、監督がおっしゃったとおりです。波に乗れなかったのが敗因です。FWの押しやスクラムは決して負けていないと感じました。この強いFWを来年も再来年も続けてほしいと願っています」

──明治の強さは?
「スクラムの面では特に不利とは感じませんでした。ラック周辺のディフェンスもこちらは良く止めていましたが、ボールを取り返させない相手のしぶとさを感じました。簡単に取り返させない明治さんの集中力は見事だったと思います」

──攻め切れなかったが?
「相手のBKは低く良いタックルだったと思います」

明治 60-7 流通経済 明治 60-7 流通経済 明治 60-7 流通経済 明治 60-7 流通経済 明治 60-7 流通経済
 

明治大学の吉田監督(右)と杉本キャプテン
明治大学の吉田監督(右)と杉本キャプテン

明治大学

○吉田義人監督
「大学選手権は負ければ終わりですので、早明戦の敗戦をきっかけに一つ一つのプレーの精度を高めようと臨みました。流通経済さんの強いFWに真っ向勝負して、強みを消すべくハーフから仕掛けてラグビーをやらせないでいこう、チャレンジスピリットを出そうと言ってきました。結果、60点を取り、1トライを獲られましたが、ほぼ我々のやってきたラグビーを披露することができたと思います。その1トライは代わって出た選手の1対1のタックルが緩んだもので、良いパフォーマンスができなかったのが反省材料です。しかし、準決勝の国立の切符を実力でつかんだ選手たちを誇りに思います。次はおそらく今シーズンの力から考えると早稲田さんが出てくると思います。しっかり明治はリベンジするべく来週も練習していきます」

──前半は?
「1対1のタックルをしっかり踏み込んで入ることと、次のプレーヤーのワークレートを上げて、一人で二人分の仕事をしようと指示を出していました。ラグビーの本質の部分で勝負しようということです。そして低く、鋭く入って、春からやってきたブレイクダウンを地道に選手がやってくれたために前半は良い形でトライが獲れたと思います。FWでしっかりチャレンジして、BKで仕留めていく、勝ち抜くための総合的なラグビーは大学選手権の戦い方です」

──明治のプライドを取り戻せたのか?
「昨年は、最終的にベスト4には入りました。なぜ明治がここまで低迷したのか分析し、非常に有意義でしたが、時間が足りませんでした。今年は4年生の杉本、衛藤がしっかり日本一になるという目標を示し、覚悟を決めて、早明戦でもどんどん仕掛けて、がっぷり四つ相撲で逃げも隠れもせず真っ向勝負をして、プライドを取り戻してきました。選手権でも、やろうとしていることがしっかりできています。自分たちの誇りを取り戻してきたし、自分たちのラグビーをやれば勝てるんだと常々言ってきましたが、学生たちもそれを信じているので、明治は戻ってきたと言って良いと思います」

○杉本博昭キャプテン
「流通経済さんもとても大きいFWで、こちらも大きなFWで戦って、イーブンもしくは圧倒し、BKで獲り切るのが今日のゲームプランでした。流れをしっかりつかむことができて良かったと思います。後半、相手に1トライ獲られたところは1対1のタックルミスですので改善しなければなりません。来週、しっかり練習していきます」

──FWの明治は?
「前半は相手FWも元気でどんどん来ましたが、イーブンにすればワークレートは我々のほうが高いと声を掛けていました。流通経済さんは筑波さん相手にとても良い試合をしていましたので、やっていて修正しながら行こうとしました」

──明治のプライドを取り戻せたのか?
「去年の良いところを取り、悪いところは省くという形でやってきています。僕はベスト4で満足していないので、次の準決勝で勝つことが優勝への一歩だと思うし、僕は優勝を目指しているので、しっかり頑張ります」