日本代表は25日、ヨーロッパ遠征の最終戦をフレンチ・バーバリアンズと戦う。「JAPAN XV」として戦う親善試合であるが、フレンチ・バーバリアンズは「世界ランキング10-11位程度の実力」とエディー・ジョーンズ ヘッドコーチが認めるチーム。6月に東京で対戦した時は2戦2敗の相手だけに、フランスラグビー発祥の地ルアーブルでリベンジを果たしたいところだ。

(text by Kenji Demura)

 「第1にスクラム、第2にスクラム、第3にスクラム、第4もスクラム」。フレンチ・バーバリアンズのゲームプランに関して、ジョーンズ ヘッドコーチはこう語る。6月の来日時に主将を務めたウィリアム・セルバに加えて、フランス代表42キャップを誇るジャンバティスト・プクスもメンバー入り。セットプレー強化を今回の遠征の大きな目的のひとつとする日本代表にとって、最終戦の相手としてまさに相応しい存在だ。遠征中は、元フランス代表フッカーのマルク・ダルマゾ スポットコーチの指導の下、フランス式スクラムに取り組んできた。HO堀江翔太が「試合を重ねる中で、だいぶ良くなってきている」という新しいスクラムの組み方が、本家本元に対してどこまで通用するのかが試合の大きなポイントになる。

 JAPAN XVの先発メンバーは欧州で初のテストマッチ連勝を成し遂げたグルジア代表戦の時からロックがトンプソン ルークから真壁伸弥、インサイドCTBが立川理道から田村優にそれぞれ入れ替わる。共にバスク選抜戦に続いての先発となる真壁と田村は、「ミスなく自分のプレーをして、チームに貢献したい」(真壁)「100%でいこうとして緊張するのは良くないので、8割くらいの力の入れ方で、いつも通りにプレーすることが大事」(田村)と抱負を語った。ジョーンズ ヘッドコーチは「いいキッキングゲームをする能力がある」と、田村のゲームコントロール力に期待する。

 6月にホームの秩父宮ラグビー場で2連敗した相手だけに、リベンジするという思いはチーム全体に行き渡っている。WTB小野澤宏時と並んでチーム最年長のLO大野均は、「日本で2回やられているので、今回はフランスでやり返すという思いは強い」とチーム全員の気持ちを代弁した。

 JAPAN XVとして戦った試合も含め、今回のフレンチ・バーバリアンズ戦はジョーンズ ヘッドコーチ体制になって13試合目。日本代表にとっては、今シーズンの締めくくりの試合でもある。ジョーンズ ヘッドコーチは試合の位置づけについて、「自分たちがどれくらい成長できたかを知る基準となる試合になる。15日間で4試合目の選手もいる。これは自分たちをテストするために組んだスケジュール。精神的にも肉体的にもタフになったところを見せて勝つ。大きな相手を前にすると、『どうやって止めるか』を考えるのが今までの日本ラグビー。今度は、日本代表が自分たちのラグビーをやって、相手に『日本を止めないといけない』と思わせる展開に持ち込みたい」と語った。

 指揮官は遠征を通じてのチームの成長に手応えも感じている。「グルジア代表戦で見せたような自陣5mからでも勇気を持って攻められるチームは世界でもなかなかない」。フランスラグビー界は「世界最強のスクラム」(ジョーンズ ヘッドコーチ)を誇るとともに、バックスの創造力でも秀でている。それはフレンチ・バーバリアンズにおいて、さらに顕著であることは6月に体験した通りだ。その相手に対して、WTB廣瀬俊朗キャプテンは「もっとボールを動かしたい」と、あくまでもジャパンウェイを貫くことを宣言する。

 「非常にタフなスケジュールだが、ワールドカップで勝つめには避けて通れない道。この試合で勝ったらワールドカップでベスト8に入るという気持ちで臨む」とバイスキャプテンのFB五郎丸歩。2015年に世界トップ10入りを目標に掲げて今春スタートしたジョーンズ ヘッドコーチ体制の日本代表。その最初のシーズンの成長ぶりを示す重要な一戦となる。