フィジカル制しジャパンウェイで3トライ
A5N後のパシフィックとの鬼門で快勝

30日、リポビタンDチャレンジカップ2014、日本代表対サモア代表の一戦が行われ、開始6分に先制トライを許した日本だったが、前半11分、同25分のWTB藤田慶和の2トライなどで逆転した後、後半もアウトサイドCTBとしてプレーした松島幸太朗のトライなどで加点して33-14で快勝。
対サモア戦としては10年6月以来となる勝利を収めた。
この試合で先発して後半27分までプレーしたLO大野均は日本代表キャップ対象試合出場82試合目なり、WTB小野澤宏時の81キャップを抑えて、日本代表最多キャップホルダーとなった。
昨秋のロシア戦以来、テストマッチ7連勝として、チームとしての連勝記録も更新した日本代表は、31日夕刻IRBパシフィック・ネーションズカップ(PNC)2014でカナダ代表、アメリカ代表と対戦するため、北米遠征に旅立つ。

(text by Kenji Demura)

photo by RJP H.Nagaoka
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昨年はトンガに立ち上がり受けに回って17-27。一昨年もフィジーにカウンターから3トライを決められて19-25。
毎年、それまでの相手とのフィジカルレベルの差もあり苦戦が続いてきたアジア五カ国対抗(A5N)直後のパシフィックアイランダーたちとの対戦。

今年、来日したサモア代表は2年前に26-27と惜敗した時と比べても「若く、経験の少ないスコッド」(サモア代表スティーブン・ベイサム監督)であることは間違いなかったが、日本代表最多キャッパーとなったLO大野が「コンタクトに関してはやっぱりサモアだなと感じた」という通り、個々の当たりに関してはアジアレベルとは違うものを日本代表に対して突きつけてきたのも間違いなかった。

開始6分に、日本のミスに乗じて両WTBが大きくゲインしてサモアが先制。
またもパシフィックの洗礼を受けるかたちとなった日本代表だったが、過去2年と同じ轍を踏むことはなかった。
「準備とスキルとフィットネスは相手よりも上回っている。今日の試合は人間性のテスト。一番、大事なのは気持ちという話をみんなにした試合に臨んだ」(FLリーチ マイケルキャプテン)という日本はすぐに反撃に移る。

11分に「アウトサイドCTBで使うことにしたのは直感。いいランングスキルを持っていて、低いタックルも得意。テストマッチレベルで13番ができるかテストしたい」とエディー・ジョーンズヘッドコーチがその起用意図を説明していたCTB松島幸太朗のラインブレイクからFB五郎丸バイスキャプテン、WTB藤田慶和とつないで日本が初トライ。

15分の五郎丸のPGでリードした後、25分にはラインアウトからFWがモールを押し込み、最後は右サイドを駆け抜けた藤田が連続トライ。
前半のラストプレーで、ターンオーバーから得たPGチャンスを五郎丸バイスキャプテンが確実に決めて、20-7とリードして前半を折り返した。

photo by RJP H.Nagaoka
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13番の松島がダメ押しトライ

「この1週間、過去2年間の苦い経験生かして、ボディポジション低くすることなどを徹底してきたし、リーダー陣も良く声を出していた。今日は勝つこと目標だったし、前半スコア勝って折り返したことが今日の最大の勝因。ミスが起きても切り替えられた部分は成長したのかなと思う」(FB五郎丸歩バイスキャプテン)

後半のキックオフから攻め込んだ日本が五郎丸バイスキャプテンのPGで加点したものの、直後のキックオフからサモアに近場を攻められてトライを奪われ、追い上げられる展開に。
「相手が近場、近場で来たら、後手後手になってトライ決められた。強い相手にああいうプレーしていたら早い時間帯で試合を決められてしまう。そこは反省点」
日本代表最多キャップホルダーとなったLO大野は試合後、冷静にそう振り返ったが、この日の日本代表はかつてのように試合の中でパニックを起こすようなことはなかった。

「前は試合中に悪い状況になった時にみんな静かだったのが、今日はみんなしゃべって良くなった」(リーチキャプテン)

「今日はDFでもいいコミュニケーションが取れていた」(藤田)

後半12分には同8分に途中出場したばかりのLOトンプソン ルークが反則の繰り返しで10分間のシンビン退場となるが、数的不利な状況をほとんど感じさせずに状況も落ち着いて守り切って、結局、後半のサモアの得点は最初の7点のみ。
逆に、日本は「相手がデカいので相手と相手の間にステップして、そこを突いていくことを心がけた」という松島が30分にダメ押しトライを奪うなど、最終的には33-14まで点差を広げて、鬼門だったA5N空けのパシフィックアイランダーとの対戦をものにした。

「一番進歩したのは、選手たちのアティチュード。セットピースもディフェンスも良かった。なかなかフィニッシュまえ持っていけなかったとはいえ、たくさんのチャンスをつくったことは素晴らしいし、パフォーマンスに関してはハッピーだ」

ジョーンズHCも一定の評価を与えた戦いぶりを披露した日本代表。
「世界ベスト10に一歩一歩近づいている」(五郎丸バイスキャプテン)ことを証明するためにも、北米でのアウェー戦でさらなる真価が問われることになる。

photo by RJP H.Nagaoka
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