マッチリポート 第50回 全国大学選手権大会

早稲田大学 10-14 東海大学
【セカンドステージ 2014年12月27日(土) /東京・秩父宮ラグビー場】
Dグループのファイナルステージ進出チームを決める早稲田大学と東海大学との大事な一戦、やや強風の吹く秩父宮ラグビー場において、東海大のキックオフで開始した。

序盤、風上の東海大が重量FWによるモールやワイドなパス攻撃を交えながらやや優勢に試合を進めるが、早稲田大も鋭い出足と粘り強い防御で対抗する。
7分、東海大は相手ゴール前10mでのラインアウトモールから、LOテトゥヒ・ロバーツが勢いよくサイドを突き、フォローしたFL藤田貴大が先制のトライ(ゴール成功0-7)。11分、早稲田大は約40mのPGを外してしまうが、蹴られたボールをキャッチしようとした相手がノックオン。相手ゴール前10mでの味方スクラムから再び攻め込むチャンスを得るも、東海大の固いディフェンスによりトライまでは至らない。23分、東海大も相手ゴール前約20mの絶好のPGチャンスを得るが、外してしまう。互いに相手の強いプレッシャーにより攻撃のリズムが作れない時間がしばらく続いたが、30分、早稲田はモールからSH岡田一平が判断よく右サイドを突き、鋭くフォローしたCTB小倉順平が右隅にトライ、点差を詰める(5-7)。

後半、風上となった早稲田大は相手陣内で攻める機会が増える。7分、約25mのPGを狙うが再び外してしまう。さらに早稲田大は、19分にも約45mのPGチャンスを得るが、惜しくもゴールポストに当たり決まらない。しかし20分、早稲田大は相手ゴール前約20mでの味方ラインアウトからスルーパスを交えてBKで右に素早く展開。CTB小倉順平からWTB荻野岳志にボールが渡り、待望の逆転トライ(10-7)。ここで点差を広げたい早稲田大だが、東海大の強固なディフェンスは最後まで衰えない。33分、東海大は味方スクラムから攻め、最後はLOテトゥヒ・ロバーツ、LOダラス・タタナ、WTB石井魁と繋いでトライ。ゴールも成功して10-14と逆転し、PGでは追いつけない4点差を確保する。

残り試合時間は僅か。早稲田大はトライを目指して反撃するも味方ラインアウトを相手に奪われ万事休す---と思われたが、相手ペナルティにより相手陣内で得たラインアウトから最後の力を振り絞って必死の連続攻撃を仕掛ける。しかし、東海大の捨て身の好タックルにより痛恨のペナルティ、そして無情のノーサイド。最後まで緊迫した試合ではあったものの、ラインアウトやゴールキックが安定せず勝利を逃した早稲田大の今季は終了。強みのあるセットプレーなど最後まで自分たちのラグビーを貫き、僅差での勝利をものにした東海大は、早稲田大に対して公式戦初勝利を達成、1月2日のファイナルステージ準決勝で筑波大と対戦する。

(小林吉文)

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(c) JRFU 2014, photo by A.Nagao
会見リポート
 

監督・キャプテン
早稲田大学の後藤監督と大峯キャプテン

早稲田大学

○後藤禎和監督

「前半は風下であったので互角かそれ以上の試合を、後半は風上になったので概ね敵陣でのプレーを増やすことを目指しました。しかし、ゴール前でスコアする部分、PG、ラインアウトの課題を最後まで克服できず、勝ちきれませんでした」

──小倉選手のパフォーマンスについては?

「ケガから良い状態で回復し、パフォーマンスは普段と変わりませんでした。途中、小倉選手の判断で、いざというときは彼がゴールキックを蹴っても良いとハーフタイムに話をしました」

──このように正月前にシーズンが終わったことについては?

「細かいミスをしないようプレーの精度を高めていく努力などが必要です。一朝一夕にはいきませんが、環境面や組織的改善を含めた構造改革を進めていきたい」

○大峯功三キャプテン

「悔しい気持ちです。結果を残せませんでしたが、来年は後輩が必ずやってくれると思います」

──何故、課題のラインアウトがうまくいかなかったのか?

「相手に対し、強気のプレーができませんでした」

──後輩に、来季はどのようなチームになってほしいと願うか?

「ミスをしない精度の高いチームを目指してほしいです」

──ミスで大きかったものは?

「ペナルティを得た後のチョイス、マイボールラインアウトでのプレーです」

──東海大学の印象は?

「FWの強いチームで、バックスリーの足が速く、選手一人ひとりが重かった」

──スクラムでめくりあげられることがあったが、スクラムについては?

「押されるケースはあったが、高橋、清水、佐藤の3人でまとまっていたので、マイボールは出せていました」

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(c) JRFU 2014, photo by A.Nagao
 

監督・キャプテン
東海大学の木村監督と林キャプテン

東海大学

○木村季由監督

「セカンドステージで、同志社大学や立命館大学と戦って、チームとしてやるべきことが徹底され、チーム力がまとまってきました。早稲田大学という素晴らしい相手に恵まれましたが、その相手にしっかりタックルでき、レベルが上がってきたと思います。目標はまだ先なので、次に向けて頑張りたいと思います」

──公式戦で早稲田大学に初めて勝利し、ファイナルステージ準決勝進出を決めたことについての感想は?

「特別な感情は持たない方が良いとキャプテンからたしなめられました。早稲田大学は色々な意味で大きな目標で特別な存在でしたが、過大過小評価することなく力を出せました」

──前半遅かったブレイクダウンについて、後半は良くなったが?

「その部分での相手の圧力は想定していました。SHにプレッシャーがかかる場面は、SHの問題ではなく、ブレイクダウンの質の問題です」

──リーグ戦後半から調子が上がってこれまで勝ってきたが、今後に向けては?

「大学選手権にチームのピークを持っていくことができました。リーグ戦では課題がありましたが、後半にピークを出せ、選手たちの取り組みが良かった。プレッシャーの中で自分たちの強みを相手にぶつけられるかが課題ですが、共通認識を高めながら徹底してやっていきたいです」

○林 大成キャプテン

「試合の80分間を通してアタックできる時間はほとんどありませんでしたが、早稲田大学という素晴らしい相手にロースコアで勝利を得ることができました」

──早稲田大学のFB藤田慶和選手を走らせませんでした。4年生のCTB2人で、どのような意識だったのか?
「早稲田大学は、ワイドに走らせてきますが、見極めよくディフェンスし、集中力があったので大きくずらされることがありませんでした。また、フィジカルには自信を持っていました」

──今後に向けては?
「自分たちの形が出せるよう、短い準備期間内でやっていきたいです」

──公式戦で初めて早稲田大学に勝った印象は?
「出場選手23人が、早稲田大学に勝ったことを部の歴史に刻むことができました。小さい頃から強いイメージがありますが、それ以上にあまり意識しないように努めました。皆と初勝利の喜びを共にできるという嬉しさよりも、勝ってまた先に進めるという気持ちが強いです」

──後半リードしてからの最後の5分間は、どのように臨んだか?
「攻めの気持ちを忘れず、自陣ではリスクのあるプレーはしないよう臨みました」