マッチリポート 第50回 全国大学選手権大会

帝京大学 98-15 法政大学
【セカンドステージ 2014年12月27日(土) /東京・秩父宮ラグビー場】
セカンドステージ、プールA、帝京大学と法政大学の試合が、快晴の東京・青山の秩父宮ラグビー場で行われた。ここまで法政大学は1勝1敗、帝京大学は2勝を挙げ、すでにファイナルステージ進出を決めている。

午後2時、法政のキックオフで始まる。開始から1分。帝京、法政陣中央付近でのモールから5番小瀧が抜けだし先制のトライ。ゴール成功で7対0とする。帝京試合開始から法政陣に攻め入りゴールまで迫るが、法政の執拗なディフェンスにより、また、自らの反則によりチャンスを失い、追加点をあげることができない。
しかし13分。法政のキックを14番尾崎がキャッチしカウンター攻撃。一気に50メートル以上を走りきりゴール下にトライ。ゴールも決まり14対0とする。
15分。またもや帝京。10番松田が法政ディフェンスの後ろにグラバーキック、11番磯田が拾い、好走しトライ。ゴールも決まり21対0と、開始15分で21点差とする。
法政はテンポよく攻撃をするが、帝京の速いディフェンスの前に、なかなか帝京陣内に攻め込むことができない。ようやく反撃し、18分にペナルティーゴールを決め21対3とする。しかし帝京も直ぐに反撃。22分。法政ゴール前5mでのラインアウトからモールを押し込み、8番河口がトライ、26対3とする。
法政は27分、素早い連続攻撃から帝京の自陣ゴール前まで迫る。帝京たまらずオフサイド。ここでサインプレーから8番増田が縦に突進、そのままトライ。ゴールも決まり26対10とする。法政はトライを取ってから、勢いが出てきて早い展開から帝京陣内に攻め入るが、帝京もひたむきなタックルで対抗し、素早い集散により追加点を許さない。逆に帝京は34分、39分にもトライを奪い、40対10と差を広げ前半を終了する。

帝京はよく走り、ディフェンスでの判断もよく、スクラムなどセットプレイでも法政に終始プレッシャーをかけていた。法政も果敢にタックルをしているが、帝京の攻撃の前に徐々に失点を重ねていた。

後半、帝京は1、3、9、10番とフロントロー2人とハーフ団を入れ替える。
2分。帝京、法政ゴール前5mのスクラムから6番マルジーンがサイド攻撃からそのままトライ。45対10とする。さらに7分。法政陣内での法政ボールでのスクラムから出たボールを法政BKがノックオン、これを帝京が拾い、サポートしている11番磯田にパス。磯田がこの日3本目のトライ。50対10とする。
法政もよくタックルしているが、帝京のパワー、スピードに圧倒され防戦一方となる。
その後も帝京は11分、13分にもトライし、62対10と攻撃の手を緩めない。
このままでは終われない法政は、21分にこの日2本目のトライをあげる。帝京陣内に攻め込み、早いテンポでボールをつなぎ、走りこんできた2番小池がディフェンスをはねのけてトライ。62対15とする。しかしその後も帝京の猛攻が続き、帝京は残り20分で6本のトライを奪う。
結局、98対15で終了。帝京は前半に6本、後半に10本のトライと16本の猛攻であった。

帝京はセットプレイが安定しており、全員がよく走り、前に出ていた。ディフェンスでも法政に終始プレッシャーをかけ続け、走り勝っていた。後半には、リザーブの選手がすべて出場したが、それでも10トライをあげている。選手層も厚い。
法政はひたむきにプレイをしていたが、帝京の圧力、フィジカル面でダメージを受け、得意とするスピードある展開、連続攻撃をすることができず防戦一方であった。
勝った帝京大学は、決勝進出をかけて、1月2日に慶応義塾大学と対戦することとなった。

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(c) JRFU 2014, photo by A.Nagao
会見リポート
 

帝京大学

○岩出雅之監督

「今日の試合に臨むにあたって、すでに次のステージに進めることが決まっていたので、気のゆるみが出ないよう、試合の中で少しでも成長できるよう期待して試合に臨みました。ハーフタイムでも気を抜かずにいこうということを話しました。後半も気を抜かず、控えの選手もよく頑張りました」

──イラウア選手のけがはどうか。

「足をけがしたが、回復力に期待します。無理ならば出しません」

──今日出ていない坂手、森谷、権選手の準決勝の見通しはどうか。

「まだ決めていません。行けそうな感じではあります」

──権選手がいけそうな感じとは、具体的にはどのようなことか。長くゲームから離れていても戻ってくれば使いたいか。

「無理するなといっても、すぐに練習をやってしまいます。けがの期間が長いので本人は慎重にしていますが、行きますという気持ちは十分に持っています。使いたいし、使ってやりたい。仲間も待っていると思います。ここまで苦労している選手も頑張っています。それぞれ苦労しながら出てきています。権も苦労した一人であるから、頑張ってくれるとみんなの気持ちも変わると思います。権が周りに信頼されていなければ使いませんが、ラグビーも頑張っているし、ラグビーだけでなく私生活でも4年生としてしっかり示しています」

──準決勝の相手が慶應義塾大学に決まった。それについての感想を聞きたい。また、明日、慶應との練習試合は予定通りにするのか。

「その前に、個人的な感想だが、早稲田と戦うことを楽しみにしていましたので、早稲田が負けたのは残念です。東海大学が云々ということではなく、一緒に目指してきた者として、負けないぞという気持ちでいる者としては少し寂しいです。気持ちは切り替えて、早稲田と引き分けている慶應がここまで来たことには敬意を表しています。明日の試合は、B、Cの混合チームとDと4年生の試合をする。試合に出ることができない選手が、赤いジャージを着て、前哨戦ということだけではなくて今年の総くくりとしていい試合をしました。気合を入れて臨みたいです。ファイナルステージは明日から始まると思っています」

○流 大キャプテン

「この試合には厳しさを出して臨みました。80分間集中力が切れることがなかったですが、要所要所でミスもあり、修正すべきところもあります。1月2日までに修正して臨みたいと思います」

──最終ステージに進むことが決まっていることから、気が緩む可能性があったと思うが、どのようにして備えてきたか。試合ではどの程度できたか。

「法政に全力を注ぐことで一週間準備してきました。帝京のジャージを着ることができるのは23人ですが、他の部員の分もしっかりタックルしてしっかり走ろう。そのためには気を引き締めて臨むことが必要だ、ということを話してきました。それが今日出せたと思います」

──準決勝の相手が慶應に決まった。それについての感想を聞きたい。

「対抗戦では48対0で勝ちましたが、そのことは忘れて、自分たちがやるべきことをしっかり確認して、5日間間いい準備をして全力で臨みたいと思います」

──もう一段レベルアップするとしたら、どのようなことか。

「FWはセットプレイで圧倒すること、BKは細かなミス、ディフェンスでのコミュニケーションをしっかりとやっていきたいです」

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(c) JRFU 2014, photo by A.Nagao
 

法政大学

○谷崎重幸監督

「ここで帝京大学と戦うことができて感謝しています。このチームとしては最後のゲームで、ここのところ帝京大学とは対戦したことがありませんでしたが、80分間全力でぶつかることができて感謝しています。これからのいい目標ができました」

──要所要所ではいい攻めがあったと思うが、フィジカル面でダメージを受けたように思えるが。

「前半のトライはサインプレイでとりました。後半のトライは、今までやってきた早いテンポで突破することによるものです。帝京大学は5連覇している積み重ねか、ちょっとしたミス、ディフェンスの乱れを見逃さず攻めてきます。シンプルだがスピードで後手を踏みました。フィジカル面でも走り負けていました。もう少し前に出ていれば対抗できたかもしれませんが、それをさせてもらえませんでした」

──15得点は帝京からとった得点では最多得点だが、ディフェンスに問題があったのか。

「姿勢が高いということもありますが、ミスからのターンオーバー、それがトライに結びつきます。このダメージが大きかったです。法政の精度の低さもありますが、帝京のタックル後の動きの速さ、2番目の選手の寄りの速さによるものです」

○小池一宏ゲームキャプテン

「負けてはしまいましたが、1年間やってきたことが、全てではないが少しは発揮できたと思います。今シーズンは始まる前からはけが人が多くいました。リザーブのメンバーも普段以上の力を発揮してくれたので、今シーズンを戦うことができました」

──帝京と戦っての感想はどうだったか。
「序盤は自分たちが目指した、一歩でも相手をずらして戦い続けることができましたが、時間が経つにつれて受けてしまい、最後の一歩が出なくなり、体の大きな選手に受け身になってしまいました。そこを来年、後輩たちがやってくれると思います」

──受け身になったのは、体力か、気力か。
「上体が高くなってしまいタックルが下に入ることができませんでした。相手にゲインをされた積み重ねがトライを許したのだと思います」