男子セブンズ日本代表
HSBCセブンズワールドシリーズ2014-2015 第6戦香港大会
「香港セブンズ」プレビュー

厳しいセレクションを経て、チーム力は上向きに
プール戦でフランス、南ア、アルゼンチンと対戦

27日、HSBCセブンズワールドシリーズ(SWS)2014-2015第6戦「香港セブンズ」が開幕する。

(text by Kenji Demura)

プール戦では因縁のアルゼンチンとも対戦(写真はNZ大会時)。目標のカップ戦進出へ鍵と握る試合となりそうだ
photo by RJP Kenji Demura
2月のアメリカ大会は参加できなかった桑水流もメンバー入り。キックオフの精度に加え、ボールキャリーの部分などでの手応えも
photo by RJP Kenji Demura

1年前に同じ香港スタジアムで行われた昇格決定大会でウルグアイ、トリニダード・トバゴ、クック諸島、チュニジア、ロシア、イタリアを倒し、見事今季コアチームとしてSWS全9戦に参加する権利を勝ち取った男子セブンズ日本代表。

昨年10月の豪州大会(ゴールドコーストセブンズ)から始まったSWS2014-2015はすでに先月13-15日のアメリカ大会(ラスべガス)までに5大会が終了。
今季のSWSがリオデジャネイロ五輪の予選を兼ねることになったこともあり(SWS14~15のシーズンポイント上位1-4位に出場権)、進化の流れを止めようとしないトップ国との対戦で苦闘が続く日本は、5大会ともに参加チームの中で最低の1ポイントずつしか挙げられていないのが現状だ。

SWS14~15のシーズンポイントで最下位(=計5ポイント)に甘んじる日本とっては、来年度の降格を避けるため、一気にカップトーナメント進出を果たすなど、可能な限り多くのポイントを獲得することが香港大会での絶対目標となる(現在、シーズンポイントで日本のひとつ上の14位につけているポルトガルのシーズンポイントは21)。

1年ぶりに帰ってきた香港のプール戦で日本が戦うのはフランス、南アフリカ、アルゼンチン(対戦順)。

自身5年連続、香港セブンズでプレーすることになる坂井克行主将はプールCでのライバル3カ国に関する印象と、それぞれの試合のポイントを以下のように語る。

「フランス戦はポゼッションが大事になる。どちらかというと波があるチーム。ただ、向こうのペースでアタックをされると相手がイケイケになる可能性もある。
守りに関してはフランスは割と待ちのディフェンス。ゆっくり流してくる。日本としては積極的に自分たちでまずボール動かしていきたい。アングルを変える動きだったり、一回後ろに下げたり。違うスペースにボールを動かしていくことができるか。
南アフリカはプレッシャーをかけてくるチーム。ポイントはサポートの部分。向こうより速く走らないと厳しい。ディフェンスでも相手のゲームメーカーに走られるとツラい。プレッシャーをかけられる部分はかけて、向こうが余ったシチュエーションでも慌てずディフェンスできるか。
アルゼンチン戦のテーマはリベンジ。ラスベガスではあと一歩で勝ちを逃しているので。フランス同様、ディフェンスは個でくる傾向がある。日本としてはやはりボールを動かしたい。ディフェンスの向きが変わったところにボールどんどん運んで、仕掛けていきたい」

日本国籍をとったトゥキリもメンバー入り

ラスベガスまでの5大会では、国内シーズンとの兼ね合いもあり、なかなか思うようなメンバーが組めなかった面もあった男子セブンズ代表。
すでに国内シーズンが完全に終了していることもあって、今回の香港セブンズに対するアプローチは過去の5ラウンドまでとは異なるものとなった。

2月22-27日に熊谷、3月2-10日に鹿児島、3月16-19日に成田と国内合宿を続けた後、大会開幕8日前には香港入り。しかも、その時点で香港入りしたのは計17人。
現地で2日間に渡って香港代表との練習マッチが組まれるなど、実戦も意識した直前現地合宿は最終セレクションの意味も持つ厳しいものとなり、実際24日には17人中5人が香港大会のメンバーから外れるかたちで日本に帰国した。

勝ち残った12人の顔触れをラスベガス大会と比較すると8人が同じ(吉田大樹、坂井主将、レメキ ロマノ ラヴァ、後藤駿弥、彦坂匡克、合谷和弘、松井千士、ヒーナン ダニエル)。
そこに、この3月16日に日本国籍を取得したばかりのトゥキリ ロテ ダウラアコと、いずれも米国大会時点では所属チームの国内日程が終了していなかった鈴木貴士、桑水流裕策、山下楽平が加わっている。
「やはり、ロテは別格。ただ、ロテだったり、レメキだったり、ヒーナンだったりというところに頼り切るのではなく、7人が同じビジョンを持ってアタックできるか。ディフェンスの判断が重要になってくる」と坂井主将が指摘するように、実績十分の外国出身プレーヤーとどうリンクしていくかもポイントになる。
ラスベガスでは、国内シーズンが終わったばかりだったレメキ、そして日本代表として初お目見えだったヒーナンのセブンズへのフィットという点でも格段と良くなっていることも容易に想像がつく。

また、南ア大会(12月13、14日)以来の鈴木、アジア競技大会以来の山下、そしてラスベガスからサバイバルした松井と言った走り屋たちのイキいい韋駄天ぶりにも注目だ。

「香港との最初の試合ではブレイクダウンに固執しすぎて、ディフェンスラインが乱れたが、2戦目では修正できた。日本がボール持てば、アタックはよくなっているのでチャンスはある。だからディフェンスでいかにボールを取るかも大事」(桑水流)

「緊張感のある合宿を過ごしてきた。仕上がり具合としてもいい方向にある」(坂井主将)
過去5戦とは比べられないほど、求心力を高めた状態でゲンのいい香港セブンズを迎えるセブンズ代表。

まずは27日の金曜日に唯一予定されている初戦でフランスを倒して、一気に勢いに乗りたいところだ。

尚、SWS2014-2015第6戦「香港セブンズ」に先行するかたちで、26、27日には香港女子セブンズも開催。
女子セブンズ日本選抜チームは初日のプール戦でパプアニューギニア、チュニジア、オランダと対戦する予定となっている。

抜群のスピードを誇る松井とがむしゃらなプレーでチームに勢いを与える後藤駿(左から2人目)も厳しい競争を勝ち抜いてメンバー入り
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ベテランの鈴木は12月のドバイ大会以来の復帰。トリッキーな動きも交えながらチャンスを作っていく能力に期待がかかる
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2月のNZ大会終了後の集合写真に映るメンバーからは桑水流、合谷、吉田、坂井主将、レメキ、後藤駿、彦坂が香港でもメンバー入り
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男子に先行するかたちで香港女子セブンズも開催。女子セブンズ日本選抜が参加する(写真は昨年10月の中国セブンズでのサクラセブンズ)
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