世界一フィジカルなチームを攻守ともに圧倒

サモア倒し、歴史塗り替えるRWC20152勝目

キックオフ直前、サモア代表のシヴァ・タウに対峙する日本代表。歴史的なRWC2015での2勝目を挙げた

キックオフ直前、サモア代表のシヴァ・タウに対峙する日本代表。歴史的なRWC2015での2勝目を挙げた
photo by Kenji Demura

 

3日、イングランド中部ミルトンキーンズでラグビーワールドカップ(RWC)2015プールB、サモア対日本戦が行われ、前半24分のスクラムでのペナルティトライと同・終了間際のWTB山田章仁のトライで20—0で折り返した日本は、後のサモアの反撃を1トライに抑えて26—5で快勝。

過去のRWCでは7大会でわずかに1勝しかしていなかったチームが1大会だけで2勝を挙げるという快挙を成し遂げた。

 

 

「1週間しっかり準備してきたことがグラウンドで出せた。南アフリカ戦で国民の期待をこちらに向けることができるようになった後、スコットランド戦は不甲斐ない戦いをしてしまっていたのが、今回のサモア戦ではしっかり我々の力を国民にアピールできた」

 

試合後、落ち着いた表情でそう振り返ったのは、前半5分過ぎにいきなりサモアゴール左隅に飛び込んだプレーこそ、その前のパスがスローフォワードの判定となり“幻のトライ”に終わったものの、4PG、2ゴールの16点を叩き出し、守りでもトライセービングタックルを決めるなど、見事にマン・オブ・ザ・マッチに選ばれたFB五郎丸歩。

16得点を叩き出し、マンオブザマッチに輝いたFB五郎丸の落ち着いたプレーぶりも相変わらず光った

16得点を叩き出し、マンオブザマッチに輝いたFB五郎丸の落ち着いたプレーぶりも相変わらず光った
photo by Kenji Demura

ラグビーワールドカップ(RWC)史上最大のアップセットを実現した初戦の対南アフリカ戦から第2戦のスコットランド戦までは中3日の準備期間しかなかったのに対して、中9日間という十分な試合間隔で臨むことができたサモア戦。

 

目標である準々決勝進出に向けて、「ワールドカップで一番重要な試合」(エディー・ジョーンズ日本代表ヘッドコーチ)という意識でチーム一丸となった日本は、80分間通して自分たちのペースで試合を進める完璧と言っていいパフォーマンスを見せた。

 

 

「今日も新しい歴史をつくった」(NO8マフィ)

 

 

「タスクは南アフリカ戦と同じ」(ジョーンズHC)

 

「計191回タックルをして9割ほどの成功率を誇った南アフリカ戦と同じような戦いができるか」(リー・ジョーンズディフェンスコーチ)

 

ジョーンズHCが「世界一」とも表現するフィジカルな相手に対して「ディフェンスでも80分プレッシャーかけた」(リーチ マイケルキャプテン)と、これ以上はないようなディフェンスでサモアのアタックを分断。

激しいタックルを受けながらボールを前に運ぶFLリーチ主将。体を張るプレーでチームを引っ張った

激しいタックルを受けながらボールを前に運ぶFLリーチ主将。体を張るプレーでチームを引っ張った
photo by Kenji Demura

自分たちの思い通りにプレーできなかったサモアが規律を失い、前半16分、同19分と連続してシンビン退場者が出た後、相手ゴール前で得たスクラムでは、「前半の1本目、2本目くらいでいい感触あった」(HO堀江翔太)という手応え通りに押し込んでペナルティトライ。

 

前半終了間際には、「FWがスクラム、ラインアウトをドミネートしてくれていたので楽だった」 (CTB立川理道)というBK陣が攻めた結果のサモアのドロップアウトから、SO小野晃征、CTBマレ・サウ、WTB松島幸太朗などが左サイドをアタックした後、FWを絡めながら右サイドへボールを回し、最後はWTB山田がサモアWTBアレサナ・ツイランギとの1対1に勝つかたちで、ゴール右隅にダイブ。

 

「取り切りたかったので、ツイランギが上にヒットしてくるのが見えたので自然と体に任せて回って、いいトライができた」(山田)

前半終了間際、WTB山田が試合の流れを決定づけるトライを奪う

前半終了間際、WTB山田が試合の流れを決定づけるトライを奪う
photo by Kenji Demura

 

20—0というスコアが示しているとおり、圧倒的にゲームを支配して後半へ。

 

サイドが入れ替ってからも、あらゆる局面で日本の優勢は崩れず、8分、19分と五郎丸のPGで着実に加点。

 

サモア戦開始前の時点で日本は勝ち点が4だったのに対して、スコットランドは10で、南アフリカは7。

 

目標である準々決勝進出のためには4トライ以上のボーナスポイントを獲得しての勝利が望ましかったが、「自分たちの足が止まっている感じがあったので、勝つことを優先した」(リーチ主将)という手堅い試合運びで、後半24分にサモアに1トライを許したものの、5−26というスコアが示す通りの快勝ぶりで、過去のRWCで通算1勝しかしていなかったチームが1大会で2勝を挙げるという快挙を成し遂げるかたちとなった。

 

「今日も新しい歴史をつくった」(途中出場のNO8アマナキ・レレイ・マフィ)日本代表は、現地時間11日(日本時間12日早朝)にプール戦最終戦でアメリカ代表と対戦する。

この日も多くのファンが日本をサポート。ホームゲームの雰囲気で戦えたことも大きかった

この日も多くのファンが日本をサポート。ホームゲームの雰囲気で戦えたことも大きかった
photo by Kenji Demura

 

text by Kenji Demura