王者に対して80分間勇敢にチャレンジするも67失点

大敗の中、自分たちのラグビーが通用する手応えあり

フランス時間の30日(日本時間31日未明)、「ワールドラグビーU20チャンピオンシップ2018」が開幕し、初戦でU20ニュージーランド代表と対戦したU20日本代表は、開始50秒で奪われたノーホイッスルトライを皮切りに前年覇者から前半6本、後半5本の計11トライを奪われて、0−67で敗戦。
昨季、下部大会であるワールドラグビーU20トロフィーで優勝し、チャンピオンシップへの再昇格を果たしたばかりの日本にとっては、世界のトップレベルの圧倒的実力を痛感させられる厳しいスタートになったが、自分たちのラグビーが王者に対しても通用した部分もあり、チームが大会期間中にさらなる成長を遂げる可能性も感じさせるスタートとなった。
日本の第2戦は3日、対U20オーストラリア代表と対戦する。

2年ぶりの大舞台でいきなり王者との対戦となったU20日本代表。世界で戦える可能性は示した photo by Kenji Demura

「初めて、世界一のオールブラックスのプレーを体感して、本当にリスペクトすべきチームだなと感じた。オフロード、サポート、ディフェンスもしっかり帰っている。チームで戦わなければいけない僕らがチームで負けている。自分たちがやりたいことをすべてやられた。さすがやな、と」

まさに脱帽するしかなかった。
U20日本代表として2年ぶりに戻ってきたU20チャンピオンシップの舞台。
王者と並んでの入場。国家斉唱。そしてベイビーブラックスによるハカへの対峙。
興奮冷めやらぬまま迎えたキックオフからわずかに50秒。
日本のキックをキープしたニュージーランドのカウンターアタックに対して日本も磨いてきた前に出るディフェンスからの決死のタックルで止めにかかるが、ボールキャリアーに手が届いても次々に湧いてくるフォロワーたちにオフロードパスをつながれ、ノーホイッスルトライを献上した。

2人がかりのタックルで相手WTBを止めるFL岡山主将(右下)とCTB森。DFでも通用した面はあった photo by Kenji Demura

このあとのキックオフを日本がミスした3分には、中央スクラムから相手SHのブレイクを起点に一気にトライまで。

試合開始からわずか数分で、08年に今大会創設以来計6度世界一に輝いてきたニュージーランドのラグビーが、一瞬でも隙を見せたなら一気にトライまでもっていかれてしまう危険なものであることが明らかになった。

それでも、この後、日本も果敢チャンレンジを続けた。
「アグレッシブなアタッキングラグビーを仕掛けて、アンストラクチャーのところで勝負。ニュージーランドは世界一のスピードでやっていると思うが、その上をいく」
試合前日に遠藤哲ヘッドコーチが強調していたチャンレンジ姿勢を前面に出して果敢にアタック。
ただし、精度という意味では本家ニュージーランドのディフェンスを完全に崩すまでには至らず、アタックの過程でミスが出て、逆にターンオーバーからトライを重ねられてしまう。
27分にはモールにこだわってチャンスをつかみ、NO8アシペリ・モアラがニュージーランドゴールに飛び込むが、TMOの結果、トライは認められず、途中、激しい雷雨にも見舞われた試合は、38—0とニュージーランドがリードして折り返しへ。

前半、NO8モアラが飛び込むシーンもあったがトライは認められず。無得点での敗戦となった photo by Kenji Demura

「一瞬たりとも諦めたプレーはなかった。

挑む姿勢は持ち続けていた」

「前半はすでに過去。後半だけで勝ちにいこう」(遠藤HC)というハーフタイムで指示を受けた後、後半は試合開始直後のような浮ついた場面もなく、日本が自分たちのペースで戦えた時間も増えた印象だったが、それでも世界一のチームからトライを奪うことはできず、最終的には一方的に計11トライを重ねられた。

「僕らがプランしていたことをやられた。まさに王国のラグビー。それでも、ジャパンとしても一瞬たりとも諦めたプレーはなかった。挑む姿勢は持ち続けていた」
遠藤HCが試合後そう振り返ったとおり、80分間、若きサクラ戦士たちが自分たちのラグビーを王者相手にぶつけ続けたのは確かだろう。

「自分たちよりレベルが高い相手だと分かっていたが、チーム力で負けたり、ミスが多かったり、セットプレーが安定しなかったりしていた。そういった部分で勝っていかないと、勝つことはできない。それでも、ニュージーランド相手に、アタックもディフェスも自分たちのプレーができた時間帯もあった。それを、次に戦うオーストラリア戦、ウェールズ戦に対して活かしていく。向こうのミスを自分たちがセーブして、ボールを取れた場面があったので、相手のミスボールを拾うというのを継続していきたい。泥臭くいくことが勝ちに繋がる」(岡山 仙治キャプテン)

あるいは、自分たちが目指すラグビーをしてくれたニュージーランドと最初の試合で対戦できたのはラッキーかもしれない。
U20という性質上、大会期間中にチームとしてどれだけ成長できるかも、いい成績を残せるかどうかのポイントであることも確か。
王者に対してチャンレンジすることで得られた自信生かし、課題を修正して、オーストラリア、そしてウェールズと続く、強豪国に対するチャレンジを続けていくことになる。

text by Kenji Demura

世界一のチームとの対戦で得た自信と課題の修正を生かして豪州戦に臨む photo by Kenji Demura