NZ戦から63時間弱。過酷なスケジュールで強豪国と連戦

リカバリーで勝ち、DF、セット、キックを修正し金星狙う

3日、「ワールドラグビーU20チャンピオンシップ2018」参加のためフランスに滞在中のU20日本代表が、大会第2戦となる対U20オーストラリア代表戦を戦う。
初戦で前回覇者のU20ニュージーランド代表に対して0-67で敗れたものの、自分たちのラグビーが通用する手応えもつかんだ若きサクラ戦士たちは、1ヶ月前のオセアニアラグビーU20選手権でニュージーランドと好ゲームを展開するなど、世界トップ国の一角を担っていると言っていい“ジュニア・ワラビーズ”に対して、初戦で出た課題を修正して金星を狙う。

ラグビーワールドカップと比較しても、より厳しいスケジュールで世界のトップ国に対峙しなければいけない過酷な状況での戦いが続くワールドラグビーU20チャンピオンシップ。
2年ぶりに戻ってきた大舞台でいきなり王者からの洗礼を浴びたニュージーランド戦から中3日、正確には第1戦の終了時刻から63時間弱。
U20日本代表は第2戦の対オーストラリア戦を迎える。

「まずはリカバリーで勝つ。そして、修正しなきゃいけないこと、相手を知ること、貫くところ、この3つを2日間でやる」
遠藤哲ヘッドコーチがそう説明する指針のもと、グラウンドでの練習は最低限に抑えながらも、宿舎でのウォークスルーやミーティングを重ね、打倒オーストラリアへの準備を進めてきた。
「ワン・オン・ワンの充実をいいかたちで使えずに終わるケースが多く、勝負事を無駄にした。勿体なかった。不運もあったが、二度とああいうかたちにならないようにしたい」(同HC)

U20ニュージーランド代表戦では、相手のプレッシャーもあり、磨いてきたはずのキッキングゲームはあまり機能しなかった。
「自分たちのキックがプレッシャーに負けて、SOからのキックばかりになった。もっとアクティブに、12からとか、外から回しながら蹴ったりする場面増やしていければ、効果的なアタックができるはず」と、自らの役割も含めたBK陣のキッキングゲームの方向性を語るのはCTB森勇登。
今村友基アシスタントコーチも「キックは蹴りたい。そこは避けて通れない。ニュージーランドに対してはあのレベルのプレッシャーの中で、精度の高いキックが蹴ることができなかった。そこは次への課題」と、いかに主体的に攻撃的なキックを使うことができるかが、ポイントのひとつであることを強調する。

初戦ではあまり機能しなかった攻撃的キックの使い方もポイントになる photo by Kenji Demura

もちろん、BK陣による効果的なキッキングゲーム、そして日本らしいアグレッシブなアタックを生み出すためにも、セットプレーの安定がキーになるのは言うまでもないだろう。
「(ニュージーランド戦では)要所、要所で戦えるところはあったが、甘いところも出て、受けに回った。その反省を生かして、スクラムだったらローネス、低さのところ、ラインアウトだったら速さ、クイックネス、速さのところをしっかり意識していく。FWは『ウィン・ザ・ボール』、ボールをしっかり獲得していくことをテーマに掲げているので、そこはしっかりやっていきたい」(H0新井望友)

厳しい日程の中、セットプレーの精度を上げる努力はギリギリまで重ねられた photo by Kenji Demura

ニュージーランド戦では使うチャンスのなかった

攻撃オプションを披露できる展開に持ち込みたい

前述のとおり、1ヶ月前に行われたオセアニアラグビーU20選手権ではニュージーランドと好ゲームを繰り広げたオーストラリアだが、大会初戦ではウェールズに対して21—26でまさかの敗戦を喫した。
プール戦最後にニュージーランド戦が控えることもあり、日本には絶対に負けられない状況に追い込まれたことになる。
現地時間の1日夕刻にはプールAの4チームが招待され、ペルピニャン市主催の歓迎会が行われたが、オーストラリアチームだけが姿を現さなかったのも、ひたすら日本戦に向けたコンディションづくりを優先したからとも考えられなくもない。

ペルピニャン市主催の歓迎会でNZ、ウェールズとともに写真に収まるU20日本代表。豪州は参加せず photo by Kenji Demura

「アンストラクチャーの初期版といった感じのアタックをしてくる。1個1個ちゃんとディフェンスをする意思があり、人数を揃えられれば絶対止められる。ニュージーランド戦でも止められたシチュエーションのようなアタックだと思う」
遠藤HCはオーストラリアの印象をそう語る。
もちろん、その一方で「相手どうこうというよりも、自分たちがニュージーランド戦でやられたところをどう修正できるか。オーストラリアも当然そこを見ているだろうし、まずは自分たちのシステムをもう一度つくっていく」(今村AC)ことが、ポイントであることもチーム全体に浸透している。

「(ニュージーランド戦は)ディフェンスではFWとBKのラインのつなぎ目や、ラインアウトの段差のところを抜かれた。そこを修正する。アタックではもっとアグレッションを持って継続して、いいかたちで崩しながらアクティブにキックを蹴って、ターンオーバーしてということができればいい」(FL山本凱)

いきなり世界王者と実際にやりあって、67点取られながらも「すべてができた時間があった」(FL岡山仙治キャプテン)と、自分たちのラグビーが世界に通用する感触も体に染み込ませたU20日本代表。

NZ戦で得た「自分たちのラグビーが通用する」感触も生かし、豪州に対してチャレンジする photo by Kenji Demura

ディフェンス、セットプレー、キックなど、自分たちのアタッキングラグビーをするための土台部分を修正した上で、「ニュージーランドに対してはほとんど使わずに終わった」(遠藤HC)という仕留めるオプションも披露し、世界を驚かすアップセットを成就させたい。

text by Kenji Demura