スクラムでもモールでも低く固まって主導権を握り

強力FWジョージアを撃破しチャンピオンシップ残留を目指す

 

「ワールドラグビーU20チャンピオンシップ2018」参加のためフランスに滞在中のU20日本代表は、現地時間の12日(日本時間13日)、ノックアウトステージ初戦のU20ジョージア代表戦を迎える。

プール最終戦のU20ウェールズ代表戦ではトライ数で上回りながら17—18で敗れるという悔しい経験も経て、9~12位決定トーナメントに回ることになった日本は、強力FWのジョージアに対して、速さ、低さ、細部へのこだわりという自分たちのラグビーを貫いて、チャンピオンシップ残留を決めるつもりだ。

 

世界一とも言われるスクラムの強さを誇るジョージア。

日本としては当然、FW戦でいかに戦うかがジョージア戦勝利のポイントとなる。

「相手のプレッシャーがくるということなので、こっちも最初から一歩も引かずにバインドでプレッシャーかけてから、ヒットで相手にインパクト与えて、そこから一気にローに持っていく。相手は個々で組んでくるので、自分たちの低さと塊りを意識していきたい」(PR津嘉山廉人)

一戦、一戦、自身をつけるFW陣。強力ジョージアFWに対しても低さを生かして真っ向勝負

ここまでの3試合、必ずしも日本のスクラムが安定する場面ばかりではないが、

「それも結局、問題だったのは低さの部分。日本の低さをどう出せるか。途中で相手に合わせてしまうこともある」というのが、遠藤哲ヘッドコーチの分析。

ウェールズ戦では「16 、17、18のプレーヤーがインパクトを与えてくれた」(同HC)と、終盤メンバーが変わったあと、再び日本がスクラムで優勢になる場面もあっただけに、80分間、低さで相手の最大の武器を消し去ることを期待する。

 

ウェールズ戦では前半23分に「自信を持っている」(FL山本凱)というモールを押し込んでトライを奪ったものの、後半のトライチャンスでは思うようにモールが組めず、「アタックで取るべきところで取れなかった。時間かけすぎた。早めにもっといい選択をしていけばよかった」(LO森勇登)と、結果的に1点届かなかった要因のひとつとなった。

 

「押せてはいたが、高くなってその分、相手に入られているところがあった。もっと低く意識すれば、もっと日本の武器になる」

LO箸本龍雅がそう語るとおり、ここでもポイントは低さ。

「いくら相手が大きくて強いと言ってもかたまったモールでいけば、ジョージアに対しても押せる」

 

フル代表での対戦でもそうであるように、ジョージアは間違いなくFWを中心としたパワープレーで主導権を握りにくるだろう。

日本としては、ウェールズ戦の立ち上がりの時間帯で見せたような粘りのディフェンスで対抗して得点を与えず、主導権を握るような展開に持ち込みたい。

前に出る低いDFはウェールズ戦でも完全に機能。自信を持ってジョージア戦に臨む

「僕の中ではここがあかんかったというのはない」

ウェールズ戦での惜敗の後、FL岡山仙治キャプテンは悔しさを押し殺すように、そう胸を張った。

「自分たちは1試合、1試合成長していくチーム。まだ完成していない。ウェールズ戦でも気づくのがあと一歩遅かった。まだ、成長が足りなかった。

チーム全体で、ほんとに勝ちにいった試合で負けてしまった悔しさをみんな味わって、次の試合では勝ちにこだわるというのをさらに出せる」

 

岡山キャプテンも指摘するとおり、最初の2試合ではうまくいかなかった試合の入りをウェールズ戦ではしっかり修正するなど、若いチームは大会に入ってから大きく成長し続けている。

 

プール戦で出た課題をいかに修正できるかもノックアウトステージで勝利を収めるためのポイントになる。

「中盤の支配」(遠藤HC)を掲げて臨んだウェールズ戦でも、決して効果的とは言えなかったキックによるゲームコントロール力を高めることも重要になる。

 

「キックを蹴っても、ハイパントなどで距離稼いでなかった。前に出るディフェンスには自信があるので、もっと遠くに蹴ればよかった」(CTB森)

 

1試合、1試合、課題を修正しながら、世界での勝利に近づいてきたU20日本代表。

6月23日に日本でのテストマッチが予定されている日本代表よりもひと足先にジョージアに対する勝利を収め、念願のチャンピオンシップ残留を決める。

ウェールズ戦ではペルピニャンの観衆を完全に味方につけた。再び日本らしいラグビーを披露できるか

photo and text by Kenji Demura