第56回全国大学ラグビーフットボール選手権大会 決勝 
2020年1月11日(土)国立競技場
明治大学 35-45 早稲田大学

明治大学
〇田中澄憲監督
「5万7千人という最高の舞台で決勝戦を行えたことを本当に幸せに思います。新・国立競技場で決勝戦を開催するにあたってご尽力いただいた皆さまや早稲田大学に感謝したいと思います。ゲームの方は、負けてしまいましたが、早稲田大学のアタック、ディフェンスすべてが素晴らしくこのようなチームは他にはありません。明治大学も意地は見せましたが、前半の0対31というスコアが、今日の結果に繋がったと思います」

-0対31で前半が終わってしまった最大の原因は?
「間違いなく早稲田大学がしっかりと明治大学に対し準備されてきたためと思います。早稲田大学にはアタックで主導権を握られ、自分たちのアタックに対し粘り強いディフェンスをされたため、明治大学は一時的にパニックに陥ってしまったと思います」

-前半パニックになった原因は?
「前半は、相手のアタックに対しディフェンスがすごく狭く、特にブレークダウンになったときに寄りすぎていたことが多かった。後半は修正できましたが、一人ずつ差し込まれてディフェンスが寄ってしまったと思います」

-相手に差し込まれたことについて、後半に向けての選手たちへのアドバイスは? 
「ファンダメンタルな部分で今までやってきたことをしっかり出そうということをもう一度確認しました。差し込まれたのは、フォワードというよりもバックスの部分が多かったと思います。相手は一人ひとりがボールをもらう前にアングルを変えるなど、きめ細かいアタックをしていたため、自分たちは良いディフェンスができませんでした」

-決勝までの準備で何か気になったことは?
「自分たちとしては良い準備ができたと思っていましたが、そこで勝てなかったのは準備段階で何か足りなかったということであり、結果が出たのでもう一度レビューして次のシーズンに繋げていきたい」

〇武井日向主将
「新・国立競技場で決勝戦ができたこと、多くの観客の皆さまの前でラグビーをしたことを幸せに思います。試合については、結果がすべてであり、キャプテンとしてチームを勝たせられなかったことを申し訳なく思います。前半の立ち上がりの失点から自分たちがパニックしてしまい、あのようなスコアで前半を折り返すことになったのが今日の敗因かなと思います。ただ、後半、苦しい場面でもアタックや体を張り続けたことで、諦めない姿勢を後輩に見せることができ、明治大学の今後に繋げることができたと思います」

-0対31で前半が終わってしまった最大の原因は?
「前半の早稲田大学のアタックに対し、明治大学はディフェンスで我慢しきれずに、一人ひとりにゲインラインを切られるなど相手のアタックが強かったこと、自分たちのディフェンスが整備されないまま相手のアタックが始まるという繰り返しでした。一個一個のフィジカルの部分で負けてしまったことが、今日の結果に繋がったと思います」

-後半、すぐに一本トライを取り返した後の相手トライがTMOで認められず、自陣ゴール前でプレー再開となった味方スクラムをターンオーバーされた理由は?
「あのような場面で守り切ったので、明治大学として流れを掴めると思いました。しかし、スクラムの局面で早稲田大学がプレッシャーをかけてくることはわかっていたのですが、まとまって組むはずが、意思統一できないままスクラムを組んでしまいました」

-前半パニックになった原因は?
「ボールを取り返すことに意識しすぎ、人数をかけすぎて思い描いていた我慢強いディフェンスをしきれなかったことが原因です」

-1対1のコンタクトについて、昨年12月の早明戦での状況と比べての違いは?
「早稲田大学の力強いアッタックは、フィジカル部分でも感じました。明治としては差し込まれたところを抑えきって我慢すれば良かったのですが、早稲田大学が昨年の敗戦から強くなってハングリーに来たと感じました」

-12月の早明戦と比べて誤算だったところは?
「思っていた以上に相手は準備をしていました。明治大学も準備したと思っていましたが、そこを相手に封じ込められてしまいました。12月1日の早明戦では思うようなラグビーができましたが、今回はそのようなラグビーをさせてもらえませんでした。早稲田大学のすごい力だなと思います」

-5万7千人の大観衆での試合が、選手たちの心理状況にどのような影響を与えたか?
「大観衆のもとでコミュニケーションがとりづらい中で、相手に最初に点を取られて劣勢になったときにもう一度意思統一していくことができませんでした。自分の主将としての準備不足かなと感じています」

-前半は差をつけられたが、後半を迎えるときに選手間でどのような確認をしたか?
「勝つことしか考えていませんでした。チームスローガンの『進化』はこのような苦しい状況下で試されることだと話して、チームとして後半の入りから逆転しにいくぞ、という気持ちに統一されたかなと思います」


早稲田大学
〇相良南海夫監督
「6万人近い観衆の中で、新・国立での初めてのラグビーのゲームであり、色々なめぐり合わせの中で相手が明治大学ということで、試合ができたことだけでも幸せな中で勝利でき、11年ぶりに『荒ぶる』を歌うことができて本当に良かったと思っています。選手たちの頑張りに感謝しかありません」

-メンタル面を含めて、前半のアタックが良かった原因は?
「明治大学を分析する中でオプションをある程度絞って準備したこと、CTB中野将伍選手が戻ってきたのが大きかったこと、中野選手を絡める形で準備したプレーがはまりました。メンタル的には、準決勝辺りから、ディフェンスもアタックも『攻め続ける』ことを言ってきたことです。ディフェンスのチームということで去年からフォーカスしてきましたが、今のメンバーをみたときに、ディフェンスを強みにしつつもアタックで攻めることが相手に脅威を与えること、自分たちの勢いを作ることになると思ったので、とにかく攻めることをずっと言い続けてきました」

-12月の早明戦以降の40日間で選手たちが一番変わったところは?
「早明戦ではディフェンスやブレークダウンで受けてしまいました。ノックダウン方式の下でフィジカルを鍛え直すわけにもいかない中で見直したところ、明治大学が当たり前にできていることを我々ができていませんでした。我々のように体が小さいと言われている側は仕掛けなければいけません。その準備さえもできていないと相手を受けてしまいます。早明戦以降の練習でその辺りの選手の意識が変わり高まったことで、今日はディフェンスもアタックもできたと思います」

-久しぶりに早稲田大学として大学選手権に勝利したことについてどのような思いか?
「嬉しいです。勝つか負けるかは相手あってのことで、我々も負ける気でやっていませんし、自分たちがやってきたことをやり切ろうとグラウンドに送り出した選手たちがやり切った結果、手に入れたものです。去年、長らく超えられなかった年越しを果たしたこと、悔しさを経験して今年が始まり先週の準決勝も越えて決勝のステージに立つことができたこと、自分の役目を果たした思いです」

-「荒ぶる」を歌うことができたことについては?
「それは最高でした。自分が卒業したときに歌えなかった『荒ぶる』を歌えることができたのは感無量で、本当にいいものだと思いました」

-息子さんの相良選手のトライを目の当たりにされたことについては?
「良いプレーでした。アタックだけではなく、ボールキャリーも多かったですが、ディフェンスも良くやっていました。このような舞台でトライをとるのもたいしたものだ、との思いもありました」

〇齋藤直人主将
「相良監督同様に、6万人近くのお客さまの中、初めてのラグビーの試合を新・国立競技場でできたことを本当に嬉しく思います。前半あれだけ点が取れ、どこかで気の緩みが出ると思っていたので、ハーフタイムで締めて後半に臨みました。それでも後半追い上げられたのは、どこかに自分たちに気の緩みがあったということで、そこはしっかり反省したいですが、結果として勝つことができて良かったと思います」

-昨年12月の早明戦敗戦以降、チームとして成長したところは?
「ディフェンスの部分、特に1対1のタックルが一番成長した部分です。昨年の早明戦では、相手にゲインされ、テンポを出され、あのようなスコアに終わったので」

-具体的にはどのようなことを?
「タックルの練習を増やすというよりは、タックルに入る前のセットの時点での姿勢、いわゆる『勝ちポジ』と呼んでいる部分を、ディフェンスのみならずアタックについても練習の最初から最後まで意識しようと昨年の早明戦以降やってきました。その意識づけが今日の試合前半の40分は特にできたのかなと思います」

-試合後あまり喜んでいるようには見えなかったようでしたが、試合終了の瞬間の気持ちは?
「自分としては喜んでいたつもりです。試合が終わった瞬間は本当に安心しました。早明戦以降、負けたら終わりの戦いが続く中で、早明戦で敗退してどうにかしてチームが変わらないといけないというプレッシャーをチーム全員が感じて、はねのけて努力してきた40日間でした。出場選手23人が結果を出すことで、支えてくれた多くの人や試合に出られない部員のこれまでの努力を肯定しようという話をしていたので、勝つことができて良かったです。キャプテンとして安心しました」

-相手ゴール前で相手スクラムのボールを取り返した局面での状況は?
「前回の早明戦ではポゼッションを意識しすぎていたので、ボゼッション重視のエリアでもスペースがあればボールを運ぼうという話をしていたことが、前半、特にうまくいったと思います。あのTMOの後のスクラムの場面は、押されてボールがこぼれたので組み直しかなと思って叩いたらそのままプレー続行となりました。あの場面は押してボールを取り返そうというよりは、相手にプレッシャーをしっかりかけていこうと話をしていました」

-マークが厳しかったCTB中野将伍選手の活用プランについては?
「中野選手を使ったサインを特に準備していたわけではありませんでしたが、マークされている中で中野選手は、しっかりゲインしてくれました。後半の布石となり、駆け引きに活かすことができたと思います。前半に、中野選手を混ぜずにトライできたのも大きかったと思います」