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先発12人を入れ替えての“ベストメンバー”
ウィング―霜村のCTB陣。小野澤はFBで出場


とうとう代表復帰を果たす、ミスターパーフェクトことCTB霜村
photo by Kenji Demura (RJP)
代表通算トライ数で世界歴代3位にあと6と迫っている小野澤はFBで先発出場
photo by Kenji Demura (RJP)

10日、HSBCアジア五カ国対抗2013(A5N)第3節、UAE - 日本戦がドバイで行われる。

ここまで3戦3勝の日本の6年連続となるA5N優勝はすでに確定。

優勝を決めた韓国戦から中5日、かつ約8,000km離れたドバイでのアウェー戦ということもあり、先週の土曜日に東京・秩父宮ラグビ―場のピッチに立った先発15人からは12人が入れ替わったメンバー構成でUAE戦に臨む。

「若いメンバーが多いが、あくまでもこの試合でプレーするのがベストな23人をピックアップした。ここまでチャンスのなかった選手がプレーするのが最良だろうと考えたからだ」(エディー・ジョーンズ ヘッドコーチ)

確かに、特にBK陣はここまで3戦とは全く異なる顔ぶれとなったが、それは現時点では「最初の目標だったA5Nで優勝するということは達成できたので、PNC(パシフィック・ネーションズカップ)に向けてのいい準備にするということが重要」(同HC)という認識があるからでもある。

韓国戦に続いて、WTB廣瀬俊朗キャプテンに代わって、ゲームキャプテンを務める菊谷崇バイスキャプテンは「PNCはタフな戦いが続く総力戦となるので、チームのボトムアップをはかる必要がある。ここまで試合に出られていないメンバーもみんなポテンシャルは高いので、1ヵ月練習してきた成果を試合で確認する機会があってもいい」と、チーム全体の底上げを訴える。

なんと、19歳のWTB藤田慶和以外は総入れ替えとなったBKメンバーから細かくみていきたい。

ここまでの3試合、日和佐篤のフル出場が続いていたSHは大学生の内田啓介が初先発。

昨季のA5Nのカザフスタン戦とUAE戦で途中出場した2キャップを持つ内田は「自信を持って、しっかりしゃべりながらFWを動かしていきたい」と抱負を語る。

内田とハーフ団を形成するのは、3試合連続でリザーブからの途中出場を果たしてきたSO田村優。

韓国戦では太ももを痛めた小野晃征に代わって後半6分から指令塔のポジションに入った田村に関して、ジョーンズHCは「少しレイジーなところがまだあるが、才能はもの凄い。どれだけ伸びシロがあるのかわからないくらい」と評価。

田村本人は先発起用されるUAE戦に関して「ランニングで仕掛けたい。でも、外のことが心配だったら、仕掛けられないので、まわりとしっかりコミュニケーションをとっていくことが重要なる」との認識でいる。

ジョーンズHCは若手に共通する欠点として、「コミュニケーション能力の欠如」を指摘。

実際に、ドバイ出発前の東京でのトレーニングでは、あえて全くしゃべらない練習を強要して、逆説的にコミュニケーションの重要性を改めて認識させる、一種のショック療法とも言える方法を取り入れたりもした。
内田―田村の若いハーフ団が「コミュニケーション」という共通課題に対して、どんな答えを出すのか。それは、2人が日本代表でサバイブしていくためのキーポイントであることも確かだろう。

安井、中村のノンキャップ組もリザーブ入り

CTB陣は共に十分な経験を持ちながら、ジョーンズHCが指揮を執る日本代表でのプレーは初の機会となるクレイグ・ウィングと霜村誠一が並ぶ。
2人の実績に関しては、説明不要かもしれない。
「ウィングはハル(=立川理道)のようにランニングもパスも両方できる。霜村は攻守に安定していて、いいコミュニケーターでもある」(ジョーンズHC)
 
元13人制ラグビーリーグ豪州代表でもあるウィングの、攻守にソリッドなプレーは10-12年のNTTコミュニケーションズ、そして昨季の神戸製鋼でのプレーで実証済み。
 
一方、現在スーパーラグビーのハイランダーズでプレーするSH田中史朗をして、「ミスター・パーフェクト」と言わしめる霜村は、長らくNO1日本人アウトサイドCTBとしての評価を受けてきたが、日本代表としては07年の香港戦以来のプレーとなる。

「少しナーバスになっているが、エキサイティングな気分。とても速く、ハイテンポでプレーするスタイルにも慣れてきた。アタッキングラグビ―に貢献する一方で、強いDFも必要。タックルミスは絶対しない」(ウィング)

「(代表復帰しても)昔みたいにソワソワしたりしないで、割と普通。合流して1週間経って、イメージみたいなものがようやく見えつつある。先週、練習して、試合を見て、ああこういうふうにやってたんだというのが少しわかって、今週また練習して、自分の中でリンクと修正ができた。迷惑かけないくらいにはできるんじゃないかと(笑)。コミュニケーションとりながら、経験を積んできてわかっていることを出していけたらいい」(霜村)

年齢差はあるとはいえ、新顔ばかりと言っていいBK陣を最後列から締める役割が与えられたのは、この試合が代表78キャップ目となる小野澤宏時。

A5N初戦のフィリピン戦でトライを記録したものの、右足を痛めてそのまま退場。その後、福岡堅樹、藤田慶和というイキのWTBが台頭。だからというわけではないが、今回はFBでのプレーとなる。
「五郎丸(歩バイスキャプテン)がリフレッシュが必要な状況では、FBとしては小野澤がベスト」というのがジョーンズHCの見解だ。

日本代表最多キャップ記録(現在の最多キャップホルダーは元木由記雄氏=79個)にあと2まで迫っているベテランBKは、「合流するまでは、できるかできないかわからない部分が大きかったのが、実際に一緒に練習してみて、途中から頭じゃなく、先に体が動くようになったので、良かった」と、明るい表情でドバイに向かった。

骨格自体が大きく変わることになるBKに比べて、FWに関しては先発が6人入れ替わるものの、UAE戦が今季のA5Nで初スターディングとなるのはLO伊藤鐘史のみ。

その伊藤も3試合連続して途中出場を果たしており、まわりとのリンクに関して不安はないだろう。
「ラインアウトをリードしていくポジションなので、ここまで獲得率のいいラインアウトが、自分が入ってもいいかたちを続けられるようにするのと、ひたむきに、低くという自分らしいプレーを長い時間でも続けられるところを見せたい」(伊藤)

FW全体としては、「韓国戦で後半トライが取れなかった時にも、もうひとつオプションがあれば取れてたと感じている部分があるので、PNCに向けてアタックオプションを増やしていく」(NO8菊谷ゲームキャプテン)こともUAE戦での課題のひとつとなる。

尚、ノンキャップ組のFL安井龍太、SO中村亮土の2人がリザーブ入りし、ドバイでの初キャップ獲得に一歩近づいた格好だ。

ジョーンズHCが「進歩している」と語るSH内田も代表初先発で存在感をアピールしたいところ
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ここまでの3試合、リザーブからの途中出場で貢献してきたLO伊藤も今季初先発
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元13人制ラグビーリーグ豪州代表のウィングも霜村とのCTBコンビで初キャップ獲得へ
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韓国戦に続き、WTB廣瀬主将に代わってNO8菊谷副将(右端)がゲームキャプテンを務める
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