前半からジャパンウェイ炸裂で6年連続アジア王者に
期待の若手WTB福岡&藤田も揃ってトライを記録

4日、HSBCアジア五カ国対抗2013(A5N)第3節、日本 - 韓国戦が東京・秩父宮ラグビー場で行われ、日本は計10トライを挙げて64-5で快勝。
3戦3勝で勝ち点18とした日本は、最終戦の対UAEを待たずに6年連続優勝を決めた。

(text by Kenji Demura)

photo by RJP Kenji Demura
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初戦のフィリピン戦、2戦目の香港ともに、前半しっかり我慢して、後半テンポを上げて引き離すパターンの試合が続いていた日本のA5N3戦目。
「聖地での今年初の試合、たくさんのお客さんに喜んでもらえるように、自分たちらしいプレーを見せたい」
 
FB五郎丸歩バイスキャプテンが、そう語っていた今年初の秩父宮での一戦はここ2試合とは全く異なる展開となった。
「自分たちのペースに持っていくのにフィリピン戦では20分、香港戦ではもっと時間がかかってしまっていた。もっと早くテンポを上げていくようにしたい」(FL菊谷崇ゲームキャプテン)

前半早い時間帯から“ジャパンウェイ”を前面に出したスタイルでアタックし続けること。それこそ、前2試合を受けての課題のひとつだったが、「ゲームの序盤は本当にタフな戦いになる」(エディー・ジョーンズ ヘッドコーチ)と予想されていた韓国戦で、日本は完璧なまでの答えを出してみせた。

開始1分。敵陣10m付近のラインアウトから左サイドをPR畠山健介、WTB福岡堅樹が攻めた後、マレ・サウ、立川理道のCTB陣がラインブレイクして、最後はゴールラックからSO小野晃征がトライラインを越えて先制。

続く6分には、エディー・ジョーンズHCが「とにかく速いから」と先発での起用理由を説明した若手WTBの“FFコンビ”のうちのひとり、福岡が「早目にボールを渡せばトライを取り切る能力がある」(五郎丸バイスキャプテン)という、そのとてつもないポテンシャルを東京のファンの前で披露してみせた。

福岡自身が「ふたりで若さを出していこうと話していた。うまく相手を引きつけてパスしてくれた」と感謝を語ったWTB藤田慶和からのボールを受け取り、ディフェンダーを外側に振り切って、韓国ゴールに飛び込む。

さらに9分にも、自陣深くのターンオーバーから、SH日和佐篤→SO小野晃征→HO湯原祐希→FLマイケル・ブロードハースとつないだボールを左ライン際で受け取って福岡は50m以上を独走して連続トライ。

福岡は15分にも自らタックルした相手からボールを奪って、約90mを独走するビッグプレー。この時は「いったんスピードを緩めて相手を止めさせて、もう一度スピード上げようとしたけど、加速できなかった」という最後の失速でトライには結びつかなかったものの、福岡が立ち上がりの時間帯に日本がペースをつかむことに大きく貢献したのは紛れもない事実だった。

photo by RJP Kenji Demura
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「正しい方向に進んでいる」(ジョーンズHC)

前述の福岡の2トライなどで、10分までに21-0とリードする完璧な立ち上がりを見せたジャパン。

試合後の記者会見でのジョーンズHCの第一声が「40分間のパフォーマンスは本当に素晴らしかった」というものだったことが、如実に物語っているとおり、その後も前半は一方的に攻め続ける展開に。

23分にゴール前のPKチャンスに菊谷ゲームキャプテンが冷静にタッチキックを指示して、直後のラインアウトからのモールで菊谷ゲームキャプテン自身がグラウンディングして加点。

さらに34分にも、敵陣22m付近のラインアウトを起点にFLブロードハーストの突破の後、再び菊谷ゲームキャプテンがラックから韓国DFをタテに振り切って連続トライ。
「キックのところを集中していきたい」と、試合前に語っていた五郎丸バイスキャプテンが5ゴールキック中4本を決めて、この時点で33-0。

前半36分にここまで、やや福岡の脇役になっていた感のあった藤田が、右ライン際を好走。最後は相手DFとの1対1で「マレ(=CTBサウ)のサポートが良くてDFを引きつけてくれていたので、思い切って外に行った」と、パスダミーからもう1度外に加速して2試合連続トライを記録した。

これでハーフタイムのスコアは40-0。現実的には前半だけで勝負を決めてみせた。

「韓国のプレッシャーが過去2試合よりも厳しいものがあった中で、前半、しっかり点数を重ねられたし、立ち上がり良かったのは評価してもらえるところだと思う。後半、中だるみしたようなところもあったが、今後はそういう状況でももう一度テンポを上げられるようにしていきたい」

菊谷ゲームキャプテンが、そう振り返ったとおり、後半は11分に途中出場していたFLヘンドリック・ツイが敵陣ゴール前のスクラムからサイドを突破してトライを加えた後は、15分以上トライのない時間帯が続いた。

それでも、「最後はもう一度力強くフィニッシュできた」(ジョーンズHC)というとおり、29分にスクラムでのペナルティトライ、32分にFB五郎丸バイスキャプテン、30分にCTBサウとトライを重ねて、最終的にはふた桁のトライを記録。

37分に、韓国SOオ・ユンヒョンにトライを奪われたものの64-5で、快勝した。

「前半はファンタスティック。後半、韓国は我々にクイックなボールを与えないように、ブレイクダウンでプレッシャーをかけてきて苦しんだ面もあったが、もう一度自分たちのペースに持っていけた。アジア五カ国対抗で優勝するという最初の目標を達成することができたし、内容的にもいい方向に進んでいる」(ジョーンズHC)

最終戦を待たずに6年連続となるアジア王者を確定させた日本代表は、A5N最終戦(10日、対UAE)を戦うドバイに向けて、7日夜、出発する予定となっている。

photo by RJP Kenji Demura
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