U20組も抜擢しながら10トライを奪い
3試合連続となるノー失トライで快勝

photo by Kenji Demura[/caption]
21日、アジアラグビーチャンピオンシップ(ARC)2016 第3戦、韓国とのアウェー戦が仁川の南洞アジアードラグビー競技場で行われ、日本代表は前半5本、後半5本の計10トライを重ねて、60—3で快勝。
完全優勝に王手をかけた。
スーパーラグビーのスケジュールと重なることなどの理由から、若手中心のメンバー構成で戦われている今季のARC。
初戦の韓国とのホームゲームは85—0。続く香港とのアウェー戦では38—3と、「ここからもうひとつ上に行ってやろうというハングリー精神、モチベーションの高さ」(HO森太志FWリーダー=第3戦はメンバー外)を前面に出した戦いぶりで快勝が続いた。
いい内容での2連勝を受けて、第3戦の韓国とのアウェー戦メンバーは第1、2戦と比べても、さらなるフレッシュな顔ぶれとなった。
元々、このARC第3戦は実質、U20代表チームとして戦う可能性があることも明らかにされていた。
結果的に、完全なるU20メンバーで臨むことはできなかったが、過去2試合、20歳以下の先発メンバーが、NO8テビタ・タタフのみだったのに対して、今回は「U20のリーダーであり、このチームでトレーニング積む中でレベルが上がってきた」という3人(FL古川聖人、CTB前田土芽、WTB安田卓平)がスターティングメンバーに名を連ねた。
さらにリザーブにも2人のU20代表候補選手候補が含まれていた(FLファウルア・マキシ、SH中嶋大希)。
「韓国で集まったメンバーには、『とにかく1戦目を超えよう』と伝えた。『あのスコア、あのゲームのクオリティを超えよう』と。普通にやって勝つのではなく、完璧と言えたあのゲームを超えるゲームをしようということを強く言った」(中竹HC代行)
85点差をつけて勝った初戦超えを命じられた若き日本代表チームだったが、3週間前に零封した韓国にいきなり先制点を許してしまう。
FB山中亮平が蹴ったキックオフが直接タッチを割って、中央スクラムに。
この後のファーストスクラムで反則を取られ、韓国SOオ・ジミョンにロングPGを決められた。
初戦は85-0で圧勝した日本だったが、実は遠藤哲FWコーチが前8人に命じたのは意外なことに韓国へのリベンジだった。
「韓国には85-0で勝ったけど、FWでは(トライを)取れていない。逆に、香港に対しては38ー3だったけれどFWで取れた。自分たちの成長を見せて、しっかり韓国にリベンジしよう」
当然、FW陣としては「1本目からスクラムを押していく」(HO坂手淳史)つもりで臨んだが、不運と言っていいペナルティで先制点を許した後、2本目のスクラムでも日本のコラプシングの判定。
「混乱した。内容的には勝っていたので。2本目も取られたけれど、その後はこっちのペースで組めていた」。
試合後、日本代表初先発のPR渡邉隆之がそう振り返ってくれたとおり、最初の2本のスクラムこそペナルティを取られたものの、それ以降は前半24分に敵陣ゴール前のスクラムでペナルティトライを奪うなど、優勢に組み続けた。
さらに、後半9分にはモールでもトライを取り切るなど、FW陣のリベンジは成し遂げられた。
そんなふうにFWで取り切ったものも含めて、最終的に日本が奪った前半5トライ、後半5トライの計10本。
初戦の13トライには及ばなかったものの、1週間前の香港戦はスクラムで圧倒するなど調子を上げていた相手とのアウェー戦ということを考えてみても、十分合格点を与えられる得点。
しかも、失点に関しても先制PGだけの3点に抑えてみせた。
前半23分にスクラムを押し込みペナルティトライを奪うなど、初戦では取りきれなかったFW陣も奮起した
photo by Kenji Demura
「ディフェンスをちゃんと全員が意識もってやれたのは大きな成果。何度も危ない場面はあった。あそこでひとりでも意識を抜いていたら、いかれていた。タックルした奴が起き上がり、コミュニケーションをとって防いだ」
中竹HC代行がそう評価したディフェンスでの最大の見せ場は試合終了間際。地元でノートライでの敗戦だけは避けたかった韓国にゴール前まで攻め込まれた場面だった。
「30フェイズ以上続いた」(同HC代行)というアタックを粘りのディフェンスで凌ぎ続けて、3試合連続となる失0トライでの快勝をものにした。
「あと1週間しかないのが寂しいくらい。
最後までポジティブに取り組む」(内田主将)

photo by Kenji Demura[/caption]
前述したU20メンバーもそれぞれが特徴を出したプレーぶりで勝利に貢献。
「しっかり責任感持って戦ってくれた。ジャパンの試合でジャージを着てプレーするという意味では合格点。土芽(前田)が抜けていって、卓平(安田)はしっかりトライを取り、古川はチームで一番タックル数が多かった」
そんな中竹HC代行の言葉どおり、「オフェンス面でしっかり前を見て、スペースが空いたらしっかり自分から仕掛けられた」という前田は前半26分、32分のFB山中の連続トライをお膳立て。

photo by Kenji Demura[/caption]
「はじめは緊張したが、後半はボールも持てるようになって、自分の持ち味を少しは出せた」という安田は韓国ゴールに迫る快走を何度か見せた後、後半33分に「置いただけ」と謙遜した代表初トライを記録。
「自分の強みとしている低いタックルはある程度できた」という古川の仕事量が3試合連続での失トライ0に大きな貢献を果たしたことも疑いのない事実だと言っていい。
2週間前の香港戦後に課題に上がっていたエリアマネジメントに関しても、中村亮土がSOに上がり、「彼のポテンシャルは日本のラグビー界には大事。後ろでどれだけ動けて、左足のキックを使えるのか見てみたい」(中竹HC代行)との意図から山中がFBに回ったこともうまく機能して、進化は明らかだった。
SOに入り、安定したゲームコントロール力を見せた中村。エリアマネジメントでも成長を感じさせた
photo by Kenji Demura
6月に控えるワールドラグビーU20チャンピオンシップ2016を見据え、20歳以下の選手も起用しながらも、チームとしての課題を着実に消化して10トライを奪い、三度、相手をノートライに抑えるソリッドなパフォーマンスを続けた日本代表。
韓国とのアウェー戦が行われた同じ日、豪州のブリスベンではスーパーラグビーのレッズ対サンウルブス戦が行われたが、SH内田啓介主将は「みんな(誰が戻ってきても)ポジションは渡さない意欲で試合している」と、若き日本代表メンバーがいかに高いモチベーションでARCでの戦いに挑んでいるかを代弁する。
「いい内容の試合が重ねられているし、グラウンド外でもいいチームになってきている。あと1週間しかないというのが寂しいくらい。最後の香港戦までポジティブに取り組んでいく」(同主将)
中竹HC代行率いる日本代表のARC2016総決算となる香港とのホームゲームは28日14時、東京・秩父宮ラグビー場でキックオフ予定となっている。
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