世界4強のアルゼンチンにも前半は互角の戦いぶり
世界と渡り合える手応え感じつつ負けられない戦いへ

15日、イングランド北部のマンチェスターでワールドラグビーU20チャンピオンシップ計6試合が行われ、プールCでアルゼンチンと対戦した日本は試合開始早々の連続トライでリードしたものの、同17分以降アルゼンチンに計5トライを重ねられ、39—20で敗れた。
この結果、同プールで4位となった日本は9〜12位決定トーナメントに回ることになり、20日に同トーナメント初戦でフランスと対戦する。

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アルゼンチンに対しても立ち上がりペースをつかんだが後半失速。9〜12位決定T初戦でフランスと再戦する
photo by Kenji Demura

初戦の南アフリカ戦では前半19—14でリード。
続くフランスからも先制トライを奪った。
「この大会、試合の入りはいい。相手が一番元気のいいところでトライを取っていることに関しては自信を持っていい」(中竹竜二ヘッドコーチ)
フランス、南アフリカに連勝し、日本を破れば準決勝進出が決まるため、アルゼンチンが気合満々で向かってきたのは、見るからに明らかだったが、それでも日本は過去2戦同様立ち上がりの時間帯の主導権を握ることに成功する。

アルゼンチンのキックオフを確実にレシーブして敵陣に入り、いきなりペナルティキックを得る。
十分に先制PGが狙えるポジションだったが、FL古川聖人主将が選択したのはタッチキック。
敵陣深くのラインアウトからモールを押し込んだ後、FWが近場を攻め続けながらボールキープ。WTBアタアタ・モエアキオラのトライにつなげた(2分)。

5分にはWTB山村知也、LO藤田達成がDFで前に出てターンオーバー。
NO8テビタ・タタフがハーフウェイライン付近から独走して連続トライ。早くも10点をリードする。

12分にWTBモエアキオラがPGを狙うが失敗。
2本のコンバージョンがいずれも左隅からだったこともあって、立ち上がりの流れがいい時間帯にキックで加点することはできなかった。

初戦の南アフリア戦でも前半に相手が近場にこだわっていた時には止められていたのが、後半、外のスペースを使われだすと止められなくなってトライを重ねられた。
アルゼンチンの1本目のトライも日本が苦手とするパターンで取られたもの(前半17分)。
ラックから2本のパスで縦に切られた後、外側にショートパントを蹴られてWTBに抑えられた。
「前回より全然よくなったが、どうしても広いスペース行かれると、スピードあるランナーたちに走られる。もっと前に出て、間合いを詰めないと、世界レベルだとスピード勝負で負けてしまう」(中竹HC)
24分にもスピードあるBKのアタックでトライを重ねられたが、日本も32分にWTBモエアキオラが今後はPGを決めて13—12と再びリード。
前半終了間際にアルゼンチンがPGを返し、13—15という接戦でハーフタイムを迎えた。

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開始2分にWTBモエアキオラのトライで先制。PGを狙わず、トライを取りきるなどチームは確実に成長している
photo by Kenji Demura

9〜12位決定T初戦の相手はフランス
選手たちが自主的に楽しめるかが鍵?

ここまでの2試合でもそうだったが、前半の入りの良さに比べて「後半の入りが問題。なぜかいかれてしまう」と中竹HCを嘆かせる問題はこの日も変わらなかった。

後半3分に日本のミスからのターンオーバーからアルゼンチンにカウンターアタックを決められて13—22。
16分にも日本のパスミスからアルゼンチンに攻め込まれ、スクラムを押し込まれて、アルゼンチンBKに悠々トライを決められた(13—29)。
前半から対等以上に戦ってきたように思われたスクラムでも、勝負どころでは「相手のうまさ」(HO金子恵一)に翻弄されるかっこうに。

日本も22分にFW陣が自信を持ってるモールを押し込んで1トライを返すが、終盤アルゼンチンに1トライ、1ゴール、1PGを重ねられて、最終スコアは20ー39で敗れた。

 

この日もFWがモールでトライをとるなど、世界のトップチームを相手にしても通用している部分が少なくないのは確か。
その一方で、立ち上がりは主導権を握ったものの、いい流れを断ち切るようなミスが出ると、そこからズルズル失点を重ねるパターンから抜け出せないでいる。

「1個1個の細かいミスよりも、もっと選手たちが本気で楽しんで、思い切ってプレーできれば解決するのではないかという気もする。細かい話ではない気がしている。もっと選手たちに主体性が出るようにマネジメントもチャレンジしたい」
中竹HCは順位決定Tで結果を残すため、選手たちが主体的に自分たちのラグビーができるようになるかが鍵であると語る。

「DF面でフランス戦からの課題は修正できたところはあったが、ちょっとしたパスミスだったり、人数いなかったり。しっかりFWが体張ってボール出してくれているのにBKがミス。BKのせいで負けている感覚があるし、修正したい」(CTB前田土芽)

「あとはメンタル。中1日多くなるので、戦術どうこうじゃなく、気持ちの部分で、マインドセット。チームがひとつになるようにやっていきたい。自分のキャプテンとしての力量はまだまだなので、みんなと一緒に気持ちをつくり上げて、あと2試合、悔いのないようにやっていきたい」(古川主将)

世界のトップレベルとも対等に渡り合える部分が少なくないことはプール戦での戦いぶりで証明済みだと言っていい。
残り時間で課題の修正に取り組み、チーム力を高めて、順位決定Tで結果を残すために一丸になる。

text by Kenji Demura

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この日も強力アルゼンチンFWを向こうに回しモールでトライを奪うなどFW陣は自信を深めている
photo by Kenji Demura
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ミスもあったがBK陣も前に詰めるDFでは手応えをつかむなど、進歩を感じさせた

photo by Kenji Demura

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中竹HCは昨年よりも2ステップの進化を実感。残留の鍵は選手たちが自分たちのラグビーを楽しめるかに?

photo by Kenji Demura