マッチリポート 第49回 全国大学選手権大会

流通経済大学 24-45 早稲田大学
【セカンドステージ 2012年12月16日(日) /東京・秩父宮ラグビー場】
両校ともに第1戦で勝点6を獲得し、勝点9の流通経済大学と勝点7の早稲田大学の対戦。
プールBの首位を獲得するには、両校共に落とせない一戦となった。

風上の早稲田大学はキックを有効に使い、エリアを確保。
開始早々2分に、流通経済大学ゴール前5mでの流通経済大学ボールのラインアウトを早稲田大学5番の芦谷がスチールし、インゴールへ倒れ込むがキャリバックとなる。
その後も早稲田大学は試合を支配し、流通経済大学陣内での攻めが続く。
前半9分に流通経済大学ゴール前のモールを押し込み、最後は早稲田大学6番金がインゴールに持ち込みトライ。ゴールも成功(0:7)。
前半12分、早稲田大学は左サイドの流通経済大学ゴール前5mでのラインアウトから右に大きく展開し、14番中づるが流通経済大学ディフェンスラインのギャップを突き右隅にトライ。10番小倉が難しい角度のゴールも決めた(0:14)。

完全に早稲田大学ペースの試合となり、早稲田大学は自陣からも積極的にワイドに展開。
18分、ハーフライン付近のラックからでたボールを9番西橋から14番中づるに繋ぎ、中づるがミスマッチをパスダミーで抜け出し、約50mを駆け抜けてゴール右横にトライ。ゴールも成功(0:21)。
23分、早稲田大学はラインアウトモールから2番須藤がトライ(0:26)。ゴールは不成功となるが、前半23分で4トライとボーナスポイント1を獲得。
27分、流通経済大学陣内のラックから、ラックサイドをスピードに乗った5番芦谷が大きくゲインし、7番小谷田に繋ぎ右隅にトライ。ゴールも成功(0:33)。
流通経済大学はマイボールの機会が殆ど無く、早稲田大学の一方的なゲームになるかと思われたが、ようやく38分に流通経済大学の重量FWがラックサイドを縦に突き、7番辻から8番高森に繋ぎ、最後は2番植村がインゴール左にトライ。ゴールも成功(7:33)し前半を終了した。

早稲田大学のテンポの速い展開に流通経済大学のディフェンスが対応できず、流通経済大学は防戦一方で、少ないチャンスで早稲田大学陣内に攻め込む場面もあったが、ノッコンやノットストレートのイージーミスで攻撃権をみすみす早稲田大学に渡した。

後半は流通経済大学のキックオフでスタート。
早稲田大学は、後半8分に自陣22m付近から果敢にBKで攻めるがノットリリースの反則を犯し、流通経済大学の15番合谷がペナルティーゴール成功(10:33)。
すぐに早稲田大学は流通経済大学を攻め立て、後半14分には流通経済大学ゴール前のスクラムを左へホイールし、NO.8の古賀が右隅にトライ(10:38)。ゴールは不成功。
流通経済大学もFWが接点で奮闘し、両校一進一退の攻防が続くが、早稲田大学は28分に流通経済大学陣内22m内側から右に展開し、10番小倉13番森田3番垣永と繋ぎ、人数的には優位であったが、3番垣永が真直ぐ突っ込み、こぼれたボールを再度13番森田が拾い、そのまま右中間にトライ。ゴールも成功(10:45)。
ようやく流通経済大学もFWが盛り返し、32分に早稲田大学陣深くのラインアウトモールを押し込み、早稲田大学の反則から、クイックに攻撃を仕掛けた9番児玉が8番高森へと繋ぎ、早稲田大学ディフェンスを引きずりながらトライ。ゴールも成功(17:45)。
最後は、後半38分に早稲田大学のノータッチのキックを左に大きく展開し、15番合谷がラインブレイクし、最後は22番リリダムが左隅にトライ。ゴールも成功(24:45)し、最終スコアー流通経済大学24:早稲田大学45でノーサイドの笛がなった。

流通経済大学にとっては、後半は点数的にも早稲田大学を上回る得点を上げたが、前半27分までに早稲田大学に奪われた5トライがこの試合の全てであった。
一方の早稲田大学は、後半最後の10分で2トライを奪われるという課題を残した試合であった。(児玉 隆一郎)

会見リポート
 

流通経済大学の内山監督(右)と児玉キャプテン

流通経済大学

○内山達二監督

「今日は、前半からディフェンスがテーマでしたが、ターンオーバーしたところでミスや反則があり、自分たちのテンポでゲームが動かせませんでした。前半の後半に、自分たちが求めていたトライが獲れましたが、それを継続させてもらえなかったのが敗因だと思います」

──ノックオンが目立ったが?

「そういうところが敗因です。継続がテーマでしたが、そういうイージーなミス、もちろん早稲田さんのプレッシャーが強かったこともありますが、やり切れなかったところです。反省点として、次のゲームに生かしたいと思います」

──対抗戦とリーグ戦の違いは?

「スピード感がちょっと違うと思います。ブレイクダウンのところのしつこさも、リーグにはない部分です。中づる選手のようなタレント力のある選手もいないので、そこが違います」

○児玉大輔キャプテン

「今日の試合は、始めからかなり早稲田さんのプレッシャーや速い展開に、自分たちのラグビーをさせてもらえなかったことが敗因です。レッグドライブや1on1の練習をしてきましたが、相手に劣っている部分があったと思います」

──試合前のトスは?

「相手が勝って風上を取りました。自分たちとしては、まずエリアよりアタックを継続しようと考えていました」

──想定外だったところは?

「早稲田さんの展開ラグビーは想定していましたが、やはり相手のスピードが思っていたより速く、セットの速さや、一人一人のスピード、リアクションもこちらより速かったと思います」

 

早稲田大学の後藤監督(右)と上田キャプテン

早稲田大学

○後藤禎和監督

「今日の試合は、引き続き準決勝に出るためボーナスポイントを取って、きっちり勝つ思いで臨みました。流経さんの最大の強みであるブレイクダウンを絶対に受けずに、早稲田のアタックをきっちりやっていこうとしました。前半、風上で陣地を取って、ほぼ想定通りのアタックができましたが、後半はブレイクダウンで受けてしまい、相手のアタックでディフェンスが崩れ、こちらがしたかったようなトライをされました。お粗末極まりなく、満足できないゲームでした」

──前半の攻めは理想的では?

「もともと今シーズンは先手必勝を大きな一つの枠として掲げています。今日も良いイメージを15人が共有して臨むことができました。ようやく、この時期に来てできつつあります。流通経済さんは、最初のところ、少し浮足立っていて、そこをうまく理想的に突くことができました」

──巻き返しは?

「前半は85点から90点、後半は30点の試合でした。内容に差があり過ぎます。今年のチームの課題は、最後に獲られるところで、後半の入りで一つ二つ重ねて獲れば収まってしまうのですが。もちろん、相手チームも後半に盛り返そうとしてくるのは当然ですが、それを利用していかないといけません」

(最後に後藤監督が発言を求めて)
「来週、坂田好弘先生のおそらく最後の公式戦になります。僕自身、4年の時にほとんど負けかけていた試合を大体大戦で経験しました。めぐりあわせを感じ、感慨深いものがあります。良い試合をしたいと思っています」

○上田竜太郎キャプテン

「前半はブレイクダウンをしっかりできたのですが、後半、最後の20分はプレッシャーを掛けられませんでした。もう少し、しっかり修正して、次の試合に臨みたいと思います」

──後半の後半、やられたのは?

「ブレイクダウンではじかれて、ミスを重ねてしまいました。そこが課題だと思います」