修正能力を披露して、計8トライで3連勝
初戦のカザフスタン戦が87-0、続くアラブ首長国連邦(UAE)戦は106-3と、開幕から2試合はともに大勝だった。エディー・ジョーンズヘッドコーチ(HC)が率いる日本代表が対戦してきたここまでの2カ国に比べて、前週に香港とのアウェーゲームをものにしている韓国が骨のある相手であることは予想に難くなかった。 しかし、試合では、前半に韓国のプレッシャーの前に日本が思いどおりのプレーができない時間帯が続いた。開始1分。韓国のキックオフで日本が自陣からフェイズを重ねるが、ブレイクダウンで反則してしまう。6分には、敵陣深くのラインアウトからのモールを押し切れず、サイド攻撃はノックオン。さらに、8分には、ラインアウトでノットストレート……。「個々のシンプルなミス」(ジョーンズHC)が続いたことでリズムを作れず、逆に韓国に自陣深くまで攻め込まれる場面もあった。 試合よりも練習の方が厳しいと誰もが口を揃えるハードトレーニングを続けてきた疲労の蓄積もあったかもしれない。また、それまでの2戦の対戦相手と違って、激しく前に出てくる韓国のラッシュディフェンスに戸惑った面もあるだろう。
0-0のままで迎えた19分、ようやく日本に初トライが生まれる。自陣からフェイズを重ねた後、FB五郎丸歩副将が右側のスペースを大きくゲイン。SO小野晃征-CTB立川理道コンビでタテに突破してゴールに迫った後、素早い球出しから再びラインに戻っていた立川から左WTB小野澤宏時にパスが回って、34歳のベテランWTBが韓国ゴールを陥れた。 テンポアップに大きく貢献したSH日和佐 自らのミスもあって韓国のラッシュディフェンスを崩しきれなかった前半だったが、「試合前から『30分間は我慢』と伝えてあった」と薫田AC。廣瀬主将は「ハーフタイムも、雰囲気は前向きな感じだった。ちょっとうまくいっていないだけで、自分たちを信じれば大丈夫だ、と。最初、外に抜けて、そのイメージが強過ぎたこともあったので、もう少し我慢してタテに行ってから外の方がいいんじゃないかというような話をした」
試合前に「フィットネスとスキルのレベルの差は大きい」とジョーンズHCが話していた通り、後半は時間の経過とともに力の差が表れるようになった。 同時に、後半から途中出場したSH日和佐篤のテンポの良さがチームに勢いを与えたのも確かだった。「何分から試合に出ても、テンポを上げるように言われていた」という言葉どおり、サントリーでアップテンポのアタッキングラグビーを体現してきた経験を生かして、日本代表の攻撃をリードし続ける活躍を見せた。 小野澤のハットトリックに廣瀬主将の1トライを加えて、日本の計8トライ中4トライがWTB。一方、残り4個はFW(佐々木2、真壁、望月各1)と、後半にかけて日本代表の攻撃のバランスは良くなった。セットプレーは終始安定しており、後半のスコア(38-8)がブレイクダウンと攻撃の形が試合中に修正できたことを示している。
「完璧なトライもあった」と言いながらも、チームのパフォーマンスに対するジョーンズHCの採点は「7点中3点」にとどまった。それでも、最初の2戦よりも格段に手強かった韓国相手に、終盤見せたプレーはそれまでより高いクオリティだった。「すでに形ができ始めているし、あとは細かいところ。みんな吸収が早い」とは、日本代表に合流したばかりの日和佐の印象だ。代表キャップ57を誇るFW最年長のLO大野均は「若いチームなのに、試合の中でしっかり自分たちで修正できる。頼もしいなと思う」と、若い選手の意識の高さを訴える。 これまでよりレベルの高い韓国との試合を通じて、ジョーンズHCが指導する日本代表の「ジャパン・ウェイ」は確実にレベルアップした。19日に東京・秩父宮ラグビー場で対戦するのは香港代表。ジョーンズHCは「韓国に30点差をつけて勝つだけの実力がある」と警戒する。さらなる難敵・香港を相手に、もう一段階上のプレーをして5年連続優勝を飾るとともに、その後に控えるパシフィック・ネーションズカップにつなげてもらいたい。 text by Kenji Demura ![]() 後半8分にトライを奪うなど、アタック面での貢献が目立った望月。「成長が著しい」とジョーンズHCも高く評価 photo by Hiroyuki Nagaoka (RJP) ![]() NO8としてプレーしたリーチは「まだまだエイトとして覚えなきゃいけないことがたくさんある」と語るなど課題も photo by Hiroyuki Nagaoka (RJP) |
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