![]() 史上最年少の日本代表キャップホルダーとなったWTB藤田はいきなり6トライを奪う大活躍を見せた photo by Hiroyuki Nagaoka (RJP) チームに勢いを与えた藤田の激走 新生日本代表の国内初お目見えに加えて、「歴代の日本代表の中でも、最も若いチームのひとつ」(ジョーンズHC)という経験の少なさも影響していたかもしれない。 キックオフからプレッシャーを受け、前節からの課題だったブレイクダウンで後手に回るシーンも見られた。 若いチームの中でもとびきり若く、これから18歳と8ヵ月目を迎える藤田。開始5分、自陣深くで日本代表でのファーストタッチとなるボールを受け取ると、瞬時にギアをトップに入れ、雷光が一気に駆け抜けるかのごとくUAE選手を置き去りにする激走ぶりで、相手ゴール前7-8mまで大きくゲインした。 「最初のラインブレイクは、WTBとしてはフィニッシュまで持って行ってもらいたい」。ジョーンズHCは真のインターナショナルプレーヤーになるための高いレベルでの注文を忘れなかったが、アジアの舞台では18歳の若者がすでに稀有なフィニッシャーであることを九州のファンが認識するまでに、そう時間はかからなかった。
「(ピッチへの入場時)後ろの方に並んでいたら、廣瀬さんから『前に来い』と言われて……全くのサプライズでした」(藤田) 廣瀬主将の粋な計らいで、高校3年間を過ごした福岡での代表デビュー戦で日本代表の先頭で入場するという栄誉まで与えられた藤田。「日本ラグビーに必要なスターになるポテンシャルは十分」(ジョーンズHC)だが、特別なはずの代表デビューセレモニーの後でも、「全く緊張はしなかった」という。 「何よりも良かったのはチームワーク」(ジョーンズHC) 藤田の6トライ中5トライが後半に集中していることが示すように、チーム全体も前半で出た課題をハーフタイム以降にうまく修正できた印象が強かった。カザフスタン戦からの課題だったブレイクダウンでのサポート、そしてアタックシェイプの精度で進歩が見られたのは明らかだろう。
立川をインサイドCTBに入れ、ダブル指令塔的な要素を強めた布陣でアタックシェイプを維持していく点も、「だんだん形になってきた」(ジョーンズHC)と、カザフスタン戦よりも格段良くなったのは間違いないだろう。 前半、ややもたついた面があったものの、後半、課題を修正し、この先、チームがさらに成長していく可能性を十分に感じさせるポジティブな方向で国内初試合を戦えた日本代表。6トライを挙げた藤田や、「自分でも怖いくらい調子がいい」と難しい位置からのゴールキックを次々に入れ、計30点(2トライ、10ゴール)を一人で記録した五郎丸副将など個々の選手の活躍が目立つ一方、「バックスリーで9個のトライを取ったが、それも内側の選手の働きで生まれたもの。何よりも良かったのはチームワーク」(ジョーンズHC)である点も心強い。
後半から途中出場したFL桑水流裕策やCTB森川海斗の初キャップ組もノビノビと自らの特徴を生かしたプレーでチームに貢献。この日は6番を着けて先発したFL望月雄太が「カザフスタン戦では5分間しかプレーできなくて悔しい思いもあったし、前回の『6』がマイケル・リーチだったので、いろいろ燃えるところもあった」と話すように、チーム内で健全な競争が生まれているのもチームのベースアップにつながっている。 「これからは僅差になる試合も多くなると思うので、競った時のゲームマネージメントなど、まだまだやっていかないといけない課題も多い。次の韓国戦でも頑張って結果を残して、日本のみなさんに、また喜んでもらえるようにしたい」(五郎丸) text by Kenji Demura ![]() 自らも度々効果的なラインブレイクを見せるなど、ダブル指令塔としての役割を十分にこなしたCTB立川 photo by Hiroyuki Nagaoka (RJP) ![]() 後半途中出場した初代表のFL桑水流は、後半1分、29分にトライを記録するなど、慣れ親しんだレベスタで自分らしさをアピールした photo by Hiroyuki Nagaoka (RJP) ![]() 昨年に続いての対UAE戦100点ゲームでの勝利。試合後、選手たちは安堵の表情を浮かべて7500人を超えるファンの声援に応えていた photo by Hiroyuki Nagaoka (RJP) |
2025年男子日本代表 国内開催試合 キックオフ時間のお知らせ
2025.4.25 (金)
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