12月26日、日本代表新体制に関する記者会見が開催されました。

財団法人日本ラグビーフットボール協会(会長:森喜朗)は、ラグビー日本代表新ヘッドコーチに、エディー・ジョーンズ氏、そしてそれを支える新アシスタントコーチに薫田真広氏が決定いたしました。

冒頭、森会長より日本代表新ヘッドコーチ、およびアシスタントコーチの発表、続いて矢部専務理事よりワールドカップ2011ニュージーランド大会を中心とした代表の総括、今回の新体制決定までのプロセスについて説明。その後、ジョーンズ・ヘッドコーチ、薫田アシスタントコーチが、それぞれ挨拶と今後の意気込みを語りました。

ジョーンズ氏は、オーストラリア代表を率いてワールドカップ準優勝、2007年のワールドカップでは南アフリカ代表のテクニカル・アドバイザーとして世界一へチームを導き、ここ日本でも大学から社会人に至るまでの指導実績を持ち、現在もトップリーグの強豪サントリーサンゴリアスを率いて、昨年は日本選手権優勝を果たしています。

アシスタントコーチの薫田氏は、日本代表としての実績もさることながら、所属する東芝を率いてトップリーグ3連覇、日本選手権3度の優勝、その後U20日本代表、日本A代表と監督を歴任し、自らも実績を積み重ねながら、日本国内の若手有望選手をもっとも良く知る指導者のひとりです。

正式な就任、代表のスタートは来年の4月からとなりますが、新しい日本代表の姿を通して、日本ラグビーを世界にアピールし、日本ラグビーの素晴らしさを発信していきたいと思います。また、日本代表はもちろんのこと、ラグビー競技そのものの知名度を広げ、さらに多くのファン・サポーターの方々に強くて愛されるジャパンをご覧いただけるよう、協会と代表が一丸となって邁進していく所存です。日本のラグビーファミリー、ファンの皆さま・サポーターの皆様にも、新しい日本代表へご期待をいただき、温かいご声援をお願い申し上げます。


エディー・ジョーンズ 新日本代表ヘッドコーチ(左)、薫田真広 新日本代表アシスタントコーチ

◎エディー・ジョーンズ 次期ヘッドコーチ
「この度、日本代表ヘッドコーチに就任することになり、喜びと責任を感じています。まず、日本代表を目指す選手の皆さんには、桜のジャージの誇りや重さを感じてもらうことが重要です。日本代表としてふさわしい振る舞いや心構えも高いレベルでないといけません。国際舞台では、日本代表として、選手ひとりひとりが責任を感じて、戦ってくれることを期待しています。
また、日本ラグビーには、非常にポテンシャルの高く、将来性のある楽しみな若手の選手がたくさんいます。彼らの力を最大限に引き出すことが、私の大きな役目です。次回2015年ラグビーワールドカップ イングランド大会に向けて、日本ラグビーの目標であるトップ10に向かって頑張っていきます。皆さんの温かいご声援の程よろしくお願い申し上げます」

◎薫田 真広 次期アシスタントコーチ
「今回、日本代表のアシスタントコーチに就任するにあたり、大きなやりがいと共に、大変な責任を感じています。日本代表強化のためにこれまでの経験を活かしながら、ジョーンズヘッドコーチをサポートし、日本らしさと日本の強みを引き出せるよう、尽力していきたいと思います。強いジャパン誕生のために、ファンの皆さまのサポート、ご声援をどうぞよろしくお願いいたします」


日本ラグビー協会 森喜朗会長(左)、日本ラグビー協会 矢部達三専務理事

◎森喜朗 会長
「次回大会である2015年ラグビーワールドカップ、そして自国開催となる2019年はあっという間に訪れます。新へッドコーチにエディー・ジョーンズ氏、新アシスタントコーチに薫田真広氏を迎え、これから世界と伍して戦う基盤づくりから、世界に勝てるチームを作るべく、このお二人には尽力していただくことになります。私としましても、非常に大きな期待をしています。最後になりますが、日本のラグビーファミリー、ラグビーファンの皆様にも、新しい日本代表へご期待いただき、厳しくも温かいご声援をお願い申し上げます」

◎矢部達三 専務理事
「ヘッドコーチとなるエディー・ジョーンズ氏は、これからの基準を満たす人材であり、そういった方が今日本にいることは幸運だと思っています。アシスタントコーチの薫田氏はその手腕、実績は保証済みであり、ジョーンズ氏の右腕として強いジャパンを創ってくれることを信じています。
日本代表の活動も4月からの開始、国際試合もアジア五カ国対抗が4月末から開幕、日本代表の初戦は28日のアウェーでのカザフスタン代表戦を予定しており、さらに6月にはIRBパシフィックネーションズカップを迎えることになります、新しい日本代表が最高のスタートを切れるよう、準備し、ラグビーファンの皆様に応援していただけるチーム作りを、代表、協会が一丸となって進めてまいりたいと思います。どうぞ、新しいラグビー日本代表をよろしくお願いいたします」

新体制選考基準について

今回は、日本代表の新体制を決定するにあたり、新体制検討会議にて、次回大会である2015年、そして自国開催となる2019年に向けて万全な準備をするべく、新たな体制を選考して参りました。
候補者選考にあたっては、

日本を世界レベルまで引き上げ、かつ日本らしさのラグビーをできる指導者

2015年RWC/2019年RWCまでの戦略的ビジョンを持っている

世界レベルのコーチングスキルを持っている

国際的なネットワークを持っている

日本の一貫指導体制と連携、協力できる

日本人コーチを育成できる人材

多くの課題に向かって挑戦して、課題を的確に克服できる情熱を持っている人材

といった内容を基準として、候補を選び、決定しました。

記者会見質疑応答より
多くのメディアの方にもお越しいただきました

──抱負は
A:薫田アシスタントコーチ
「エディーのパッション以上に、自分自身パッションを持って指導にあたりたいと思います。重要なのは、日本人らしさを再構築、この4年間務めてきたU20日本代表、日本A代表監督としての経験・知識を活かして、若手を引き上げていきたいです。そして、日本代表、TL、大学との連携を強化し、ジョーンズヘッドコーチのサポートをしていきます。
日本ラグビーの転換期ですので、おもしろいラグビーをお見せし、テストマッチで勝利を勝ち取りたいです」

──日本ラグビーらしさとは
A:ジョーンズ・ヘッドコーチ
「今持っているものをどう発展させていくか。最も課題となっているセットピースを改善することが急務です。技術でどこよりも優れたチームになること、スマートなプレー、ボール動かしていくチームづくりをしていきたいです」
サッカー女子スウェーデン代表のキャプテンが、試合後、なでしこジャパンについてこんなコメントをしていました。『日本代表は、1人の選手が動くと、チーム全員が動いているように見える』
ラグビー日本代表も同じイメージを持って、個々が持っている強みを全体の強みに持っていくようにしていきたいと思います」

──2015年までのターゲットは?
A:ジョーンズ・ヘッドコーチ
「全ての国際試合に勝ちにいく気持ちで戦っていきたい。秩父宮ラグビー場でスコットランド代表やウェールズ代表に勝利する、ということを描きながら我々のラグビーをやっていきたい」

現役時代は二人ともHO!これからチーム作りでもスクラムを組みます

──ジョーンズ・ヘッドコーチは、チームメンバーがトータル600キャップぐらいの選手が集まるチームがワールドカップで勝てると言われていましたが。また、日本代表のヘッドコーチを引き受けたのはなぜか。
A:ジョーンズ・ヘッドコーチ
「ワールドカップに勝てるチームを作るには、5~6年の間コンスタントに試合をして、勝っていくチームを作る必要があると思います。相手も自分たちより強いチームを考えていかなければなりません。
今の日本より上位の国のいくつかよりも、高いポテンシャルを日本は持っています。日本では素晴らしい国内大会が強い基盤としてあり、将来有望な若いメンバーがたくさんいます。そこが魅力です」

──RWC2015年に向けて、どのような代表チームをつくるのか?
A:ジョーンズ・ヘッドコーチ
「チーム全体のバランスを考えて、若手選手を引っ張ってくれる、指導できるベテラン選手は必要になってきます。ただターゲットとなる2015年を見据えた場合、やはり若い選手を育てることが重要になってきます。素質、メンタル、スキル面、新しい日本代表が必要な能力を持つ選手をスコッドに選んでいくことになると思います」

──外国人選手の起用方法は?
A:ジョーンズ・ヘッドコーチ
「日本代表は、日本のチームカラー(日本ラグビーにマッチした)を持ったチームでないといけません。代表スコッドメンバーにおいて、まったく外国人を起用しないという意味ではありません。選ぶのであれば日本のラグビーにマッチした選手を選びます。今現在、私のイメージに日本にいる選手の中でフィットする海外の選手は3,4人だと思っています。

──ジョーンズ ヘッドコーチとどのような会話をされたのか?
A:薫田アシスタントコーチ
「多くの共感を見出すことができました。最も印象的だったのは、日本代表が勝つためには、世界で一番フィットしたチームにならないといけないこと。これは私も常日頃思っていたことです。そして『低さ』。これらの部分は私も徹底的にやっていきたい。
『親にも見せられない練習』を久々にやりたいと思います。期待していてください」

──ラグビーを盛り上げるためには?
A: ジョーンズ・ヘッドコーチ
「私は、最近フィギュアスケートのファンになりました。常にテレビでやっています。何故か?日本選手が強いからです。人気スポーツになるには、勝つ事が大事です。我々も勝たなければならない。
また、昨日の大学選手権2回戦、帝京大学対同志社大学のファンがパッションを持って応援している雰囲気が伝わってきました。大学の試合会場では、よく見られる光景です。これらの情熱を大学ラグビーだけで終わらせるのではなく、日本代表への応援につなげられるように、TL、大学のチームを我々の一部とし、日本ラグビー全体が一つになって日本代表をサポートしていければ、強い日本代表になるのではないでしょうか」