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帝京大学の岩出監督(右)と森田キャプテン |
帝京大学
○岩出雅之監督
「最後までゲームの行方が分からない試合でした。久しぶりにドキドキしました。大学選手権に入って、調子が悪いわけではないし、心の隙でもなく、チームの足りないところが出た試合でした。勝利をものにできたので、まだ、力足らずの部分を学生がしっかり理解してくれるゲームだったと思います。同志社さんのディフェンスはうまくバランスがとれていました。その中で、学生がどうにかゲームを進められたのは、どこに立ち戻るかという最悪の時の冷静さを保てたからです。昨日、たまたまミーティングで言ったことですが、学生の最後のしぶとさを感じます。
選手権は1回も2回もチームを強くしてくれる。それを信じて、まず、準決勝で今日の反省がしっかり生かされるゲームにしたいと思います。同志社さんのしっかりしたプレーを学んで、対抗戦の代表としての気持ちをもって、すべての反省が生きるゲームにしたいと思います。学生には言わなくてもそうした意識を感じます。同志社さんの素晴らしいプレーに敬意を表したいと思います」
──チームの甘さが出たのか?
「冷静に、もう一度ビデオを見て僕自身の見方を考えたいのですが、ハーフタイムでは『俺も甘かったが、お前たちも甘いな』と伝えました。すぐ(トライが)ほほ獲れそうで、楽にゲームを進めようとしているぞと。一歩、早く放れば、一歩、入りすぎなければ結果はうまくいくぞと。激しく気が入った表情とは違う、しかし、ある程度集中している顔で選手はゲームに入りました。しかし、すぐ獲れそうなのに獲れないフラストレーションがあったかと思います。そこで、自分たちの矢印を自分たちに向け、激しさを取り戻していこうと選手には伝えましたが、簡単に取り戻すことはできませんでした。
最後の5分、我々に勝運があったのではないかと思います。最後は、学生の集中力の高さを感じました。次に80分間、集中して出せるように、良い経験をさせていただきました。ドキドキするのは指導者として望んではいませんが、彼ら学生の可能性がより開く、より逞しくなる、良いきっかけとなるようにしたいと思います」
──ゴール前で同志社のプレッシャーがあったのか?
「我々のミスです。同志社さんのラインディフェンスは常にギャンブル的に来ていました。流れの中でどんどん冒険をしてくるディフェンスで、常に何かを狙ってくる、こちらが獲り切り始めたら楽な戦いになる、その辺のバランスをうまく同志社さんが持ち続けたと思います」
──三連覇に向けて?
「いつも三連覇を目指しているという意識がマイナスならば考えなければよいし、励みやエネルギーになるなら、しっかり持ち合わせれば良いことです。今日の試合で最高に得たものは、目の前のゲームに集中することです。今日はウォーミングアップの時に、どこか早稲田さんと関東学院さんの試合を意識していました。コーチングスタッフの中でも、今、関東学院さんが勝っているというような情報が流れました。隙は我にあり。その隙を同志社さんが最高に突いてくれた試合でした。同志社さんに感謝し、全力で次の試合に臨みます」
○森田佳寿キャプテン
「試合前に、この試合を通じて、もっと大きく、強くなろうと言って臨みました。しかし、自分たちの甘さが多く出たゲームでした。勝てたのも収穫ですが、こうした厳しいゲームを乗り越えてメンタルな面で一つ大きくなれたと思います。同志社さんのプレッシャーの前で、プレーできなかったことを必ず修正して、しっかり筑波戦の準備をしたいと思います」
──リードされたときの考えは?
「同志社さんが一つひとつの局面で素晴らしいプレーをされたというのもありますが、自分たちのミスからリードされていました。基本的には時間があったので、今までやってきたことをやるだけだと考え、まず、エリアを敵陣で戦おうとしていました。一つひとつのプレーを丁寧にミスなくペナルティもなくやり切ろうと言っていました。すごく苦しい試合でした。滑川と試合後にすぐ話しましたが、良い経験になる試合で、しっかりたくさんある課題を修正していきます」
──残り5分でリードされた局面では?
「ボールの再確保とエリアを前に上げることを考えていました。ゴール前で、少ないBKで行くよりも、強みであるFWで獲り切ろうと、FWにも集中して獲り切れと伝えていました。前半から、あのエリアで獲り切れなかったことがいくつもありましたが、そこはスキルや気持ちの甘さが出ていたからです。最後の場面では丁寧に力強く行くことができました」
──WTBの選手が真面目に試合前にゴミ拾いをしていたが?
「単純に、ゴミが落ちていれば拾います。日頃の活動です。今はチームとしてそういう活動をしています。
(岩出監督『今年もやっているんだと、マスコミの方に教えていただきました。特に4年生がやってくれています。下級生にはほとんどやらせません。この時期は23番目の選手が何ができるか気付こうとして、学生たちが考えを広めたり深めたりしています。僕は学生がやっていることを見守るだけです。社会に出てもこうした行動を続けていってくれたらと思います』)」
──チャレンジャーとしての意識は?
「今年一年を通じて、三連覇を意識しないのは正直、無理だと思います。優勝すれば三連覇という大きな目標に到達するわけですから。春からしんどい、厳しい積み重ねをしてきましたが、モチベーションが持ち続けられないときは、三連覇を意識して高めたこともありました。今の段階では、目標はもちろん優勝ですが、ある程度次を見るのでなく、今週なら同志社さんとの試合ですし、1日の練習、1セッション、一つひとつの今に集中することが大切だと考えています」
──早稲田が負けたことは知っていたか?
「はい。ウォーミングアップから戻ったときに、山下キャプテンが泣いていらっしゃるのが見えました。僕自身、早稲田さんももっと強くなると思っていたので、山下キャプテンの姿を見て、そういうこともあるんだと、うちのチームが気を引き締めてくれれば良いがと滑川と話しました」 |