マッチリポート
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トーナメント表


筑波大学 22-19 東海大学

【一回戦/2011年12月18日(日) at 東京・秩父宮ラグビー場】

今大会1回戦屈指の好カード。前半3トライを上げてリードした筑波大学が、後半14人となる時間帯がありながらも東海大学の追撃を凌いで逃げ切り、25日瑞穂での2回戦(対明治大学)へ駒を進めた。

立ち上がりは筑波がボールキープして5分に先制する。敵陣右サイドから1年生SO松下真七郎が、左タッチライン際に備えていた同じく1年生のWTB山下一へキックパス。落球したもののノックオンとはならず、左隅に先制トライ。13分には東海にトライを奪われたが、そのリスタートキックオフ後のラックで筑波FWが東海のキックをチャージ、ワンパスを経てLO鶴谷昌隆がトライした。さらに29分には、ややディフェンスの甘い東海大の密集サイドに走り込んでSH内田啓太のパスを受けたFB内田啓介が突破。ゴール前まで運んだ後のラックから出たボールを松下が右隅に押さえ3つ目。筑波が前半を19-7として折り返した。

前半は南側からフィールドの半分位を覆っていたビルの陰が東へ移り、代りに西スタンドの影が伸び始めてきた後半、ボール支配率で上回る東海FWの圧力を受けて筑波は劣勢となる。ゴール前まで東海FWに迫られた後のラックから素早くライン際に振られ、7分左WTB天坂裕也にトライを奪われる。苦しい展開の中、27分にはFWの要HO彦坂圭克がチームファウル(反則の繰り返し)でイエローを受け14人に。その後の29分には東海に得点でもトライ&ゴール数でも並ばれる3トライ目を献上してしまう(大会規定では決勝戦を除き、同点でトライ数もゴール数も同じ場合、抽選となる)。
しかし筑波は全員が終始よくタックルして東海にそれ以上スコアを許さず、32分には松下がPGで加点。その後もしぶとく戦い、3点差を守り抜きフルタイムを迎えた。

東海は前半こそ筑波の攻めを許したが、試合全般を通じてよく訓練された正確なプレーで着実にボールをキープ、後半は優位に立った。しかし、要所でのラインアウトのミスや決め手を欠いたことで一度もリードを奪うことはなく、後半38分には、決まれば同点というPG失敗も痛かった。

筑波 22-19 東海 筑波 22-19 東海 筑波 22-19 東海 筑波 22-19 東海
会見リポート
 

東海大学の木村監督(右)と安井キャプテン
東海大学の木村監督(右)と安井キャプテン

東海大学

○木村季由監督
「本日はどうもありがとうございます。今日は選手権1回戦ということで、自分たちの持ち味、積極的に攻めていこうと送り出しました。
筑波さんの強みを出されないよう、簡単に相手にボールを渡さないようにキープ・ザ・ボールをテーマに臨みました。序盤、相手の強さ、速さが想像以上にあって、ボールを失い、点差を広げられました。
しかし、学生一人一人が役割を全うしてくれた結果ですので、悔いはありません。筑波さんの集中力、攻めの力は素晴らしかったです。大きな差はなかったと思いますが、筑波さんの執念というか意志の力が3点の差になったかと思います」

──筑波のプレッシャーは?
「スクラムはある程度、足場が悪いなりに、よく組めたと思います。ただ、ブレイクダウンでこちらの一人目が芯でとらえられず、球出しのリズムが乱れました」

──計算通りに行かなかったことは?
「ボールを動かしたくても動かせなかったのかと思います。意図的にこちらがスローにした訳ではありません。ボールを出すのに人数をかけ過ぎて、最後に数が足りなくなっていたのが計算違いと言えるかもしれません」

──三上選手のリザーブ起用は?
「万全でなく、1プレーで痛める可能性があったので。しかし、総力戦でしたのでリザーブに入れました」

──後半のペナルティの場面は?
「角度が5mラインからでしたので、ラインアウトから攻めたのでしょう。交代した青山はゴールキックの成功率が90%以上の選手ですので、ある意味、計算ずくで狙ったと思います」

○安井龍太キャプテン
「この試合にすべてを賭けようということで、全力でプレーしようとしました。皆、凄く良いプレーをしてくれたのですが、一歩、筑波さんに及ばなかったのではないかと思います」

──前半からペナルティのチャンスにトライにこだわったが?
「前半のところは、点差がついていて、ここでPGを狙うよりFWで圧力をかけてトライを獲りに行こうと考えました。しかし、FWで獲りきれずグズグズとしてしまいました。
後半は、まず同点に追いついて、キープ・ザ・ボールで行こうとしました。最後は時間がないので、トライを獲りに行こうとしました」

──後半は筑波はブレイクダウンに入って来れなかったが?
「こちらも消耗していて、結構走れない状態でした。獲り切るときのサポートが足りず、集中力も欠けていたと思います」

筑波 22-19 東海 筑波 22-19 東海 筑波 22-19 東海 筑波 22-19 東海
 

筑波大学の古川監督(右)と川口キャプテン
筑波大学の古川監督(右)と中川ゲームキャプテン

筑波大学

○古川拓生監督
「本日はどうもありがとうございます。スコアの差で、最終的に上回ることができたのは2年前のリベンジ、日本一への第一歩として本当に良かったと思います。
ただ、反則が多く、どうしても、まだ、ゲームの中で対応できなかったことが課題として残りました。しかし、勝って次に進めるということで、今日は学生が筑波らしくディフェンスで頑張ってくれた勝利だと思います」

──松下、山下の1年生について?
「スコアの点で、1年生抜きでは取れなかったと思います。十二分以上に活躍してくれたと思います。ゴールキックが必要で、あの2点、3点の重みを分かってくれていました。
昨日も最後に二人でゴールキックの練習をして、最後に当たった松下に今日のファーストキッカーをさせました」

──2年前を振り返って何が足りなかったのか?
「勝つことを皆が信じたことです。2年前より、勝つと口に出す選手が多かったのは、キャプテンの村上がチームの芯を通してくれたおかげです」

──その村上君の復帰は?
「徐々に回復しています。帝京戦で無理をしたために今の状態になってしまったので、キャプテンが戻るまでこのチームを終わらせたくないと、中川や皆がチームをまとめてくれています」

○中川克信ゲームキャプテン
「本日はありがとうございます。今日の試合は、勝つ、絶対勝つという目標を達成できました。筑波ラグビー部として東海さんという強敵相手に勝てたのは価値があると思います。
しかし、ペナルティについては、自分たちがレフリーの笛に対応できていなかったと思います。古川先生がいつも言われているディシプリンがチームにも個人にも足りなかったと思います。
ここ、何年も接戦をずっと落としてきた我々は、この一勝のために足りない何かを追い求めてやってきました。この舞台で勝てたことを喜びたいが、ペナルティは残念です」

──何が足りなかったのか?
「最後にスコアで勝てない何かです。それがラグビーなのか、ラグビー以外のことなのか、何かが徹底できていないのだろうということで、今年のスローガンは『何事も徹底』です。それに向けて、チームがチャレンジしていくことが点数につながると思ってやってきました」

──具体的には?
「例えば、大学の授業、そのほか、総会というミーティングを今年から新しく始めました。筑波は寮もないし、自分たちには自由な時間が与えられています。その分、管理されないで自分たちでまとまれば凄い力になると思ってやってきました。
しかし、今日のペナルティの多さは言っていることと逆ですけれど(笑)。こんなものじゃないと思っています」