「大学ラグビートークバトル」

大学選手権に先立ち、監督同士が火花を散らす恒例の前哨戦「大学ラグビートークバトル」。今年も熱いトークが繰り広げられました。昨シーズンの大学選手権ベスト4チームの各監督が、選手権をどう分析し、どのように戦うのか。グラウンドでは見られない、各監督の素顔とともにお楽しみください。

■「全国大学ラグビー トークバトル2011」出演者

○パネリスト
(あいうえお順)
岩出雅之 監督(帝京大学)
木村季由 監督(東海大学)
辻 高志 監督(早稲田大学)
吉田義人 監督(明治大学)

○コーディネーター

村上晃一(ラグビージャーナリスト)

○司会
石川 洋(NHKアナウンサー)
○スペシャルゲスト
真栄田 賢 (スリムクラブ)

 

 

石川 今日は、スペシャルゲストをお招きしています。「スリムクラブ」の真栄田賢さんです。
真栄田 よろしくお願いいたします!
石川 真栄田さんは立派な体格ですが・・・ラグビーをなさっていたそうですね。
真栄田 そうです、沖縄の高校の時に。No.8でした。
石川 ラグビーとの関わりは、どういうところから始まったんですか?
真栄田
「スリムクラブ」真栄田氏

高校に入って、身体がデカかったんで、最初、柔道をやろうかとも思ったんですが、ラグビー部に誘われまして、そこからですね、どっぷりハマりました。それで一応、沖縄県の選抜までがんばって。

石川 国体も出たんですね。
真栄田 行かせてもらいました。
石川 今でも身体は鍛えていらっしゃるんですか。
真栄田 はい、鍛えています。ウォーキング程度ですけど(笑)。
石川 今日は大学選手権の抽選会を受けてのトークバトルです。真栄田さんの高校時代も、自分たちのチームがどこに入るのか、その抽選会というのはやっぱり緊張したんじゃないですか?
真栄田 かなり大事でしたね。とにかく強い学校と当たりたくない(笑)。私たちの高校は(県で一校しか行けない花園大会よりも)インターハイに力を入れて、まずは九州を目指していたんです。沖縄から2校出られるので、決勝まで残れば、とにかく九州に行ける。それにはトーナメントの組み合わせが重要でした。
石川 それで、今でもラグビーファンでいらっしゃって、今年のワールドカップもテレビでよくご覧になったということですね。
真栄田 はい、私は所属が吉本なんですが、けっこうラグビー経験者が多いんです。ブラックマヨネーズの小杉竜一さんとか。ケンドーコバヤシさんとか。ワールドカップもみんなで一緒に応援してましたね。小杉さんなんか「俺がいればカナダ戦は勝てた」なんて言ってて、何を言うんだとツッコんでおきましたけど(笑)。
石川
石川アナウンサー

(笑)という今日のスペシャルゲストの真栄田さん。どうかひとつ、よろしくお願いします。それでは早速、昨シーズンの大学選手権ベスト4の監督の皆さんに、今シーズンの大学選手権について語っていただきたいと思います。実はこのすぐ脇に控室がありまして、その控室がシーズンによっては賑やかなシーズンもありますし、静かに火花を散らすという年もあります。今年は割と静かでしたね。

村上 だいたい最近は、静かになってきてます。昔、ちょっと言い過ぎてそれが災いした人がいて、しゃべらなくなってきたんですね(笑)。岩出さんなんか、絶対しゃべらないぞ、という雰囲気を出してますね。
石川 今シーズンは、その岩出監督の率いる帝京大学が84年の同志社以来の3連覇なるか、ということがまずひとつ大きな注目を集めるのではないかと思います。それではまず各校のキャプテンから、それぞれのチームの監督に向けて、今日のトークバトルに臨むにあたってのメッセージが届いています。ご紹介しましょう。
[帝京大学・森田キャプテン] 『ユーモアあふれるトークでエンジョイしてください』
石川 練習を見にうかがっても、岩出さんはにこやかですし、これは帝京ラグビーにも通じるところがあるんじゃないかと思います。今シーズンはいかがでしたでしょうか?
岩出 今シーズンは対抗戦を初めて全勝で終えることができました。ここからが勝負だと思いますので、真面目に行きたいと思います。
[東海大学・安井キャプテン] 『リーグ戦からは監督一人と聞いていますので、対抗戦のチームに負けないように頑張っていただけたらなと思います』
石川 木村さん、最後の流通経済大戦は、えー、いい試合でしたね。そう言わざるを得ませんが。
木村 いい試合でしたね(笑)。大半はフラストレーションがたまる試合でしたけれども、後半15分はすごくいい試合をして。あれがまた、次に選手権で生きればいいかなと思います。
石川 しかし流経はすばらしかったですね。
木村 そうですね。とてもパワフルで。やってくることはわかってたんですけれども、わかっていても止められない。
[早稲田大学・山下キャプテン] 『監督が本気の顔のときは、他を圧倒できると思いますので、頑張ってください』
石川 本気の顔の時は圧倒できるということでしたが、これはどういうことですか。
私は選手には「じゃがいも」と呼ばれてるんです。その顔で圧倒したいと思います。
[明治大学・溝口キャプテン] 『え~噛まないように、気をつけてください』
石川 (笑)ということですが吉田さん・・・
吉田 そうですね。そうならないようにがんばります。
(トーナメント表を見ながら)
石川 では早速ですが村上さん、抽選会が終わって、この組み合わせ全体をご覧になっていかがですか。
村上
村上氏

そうですね・・・少し帝京は恵まれたかなという印象ですね。あまりこんなこと言っちゃいけないけれど。これ、Aの右の4チームと、Bの右の4チームが非常に面白い。どこが来るかわからないですね。もちろん早稲田のいるグループも、一発勝負なんでわからないです。それから、過去に3連覇を成し遂げたことのある同志社が、帝京と同じブロックにいます。同志社のコーチが「連覇はウチが止めなきゃいけないでしょう」と言ってました。そういう意気込みでここはいくと。

石川 岩出さん、いかがですか。
岩出 昨年は対抗戦4位で出場したので、最初から厳しいゲームが続きました。それを越えていくことでノっていくものですから、それと同じ要素が今年もあればいいと思っています。どんな場合でも選手には課題を与えて、前向きに取り組んでいくようにしようと思っています。
石川 最初は九州での試合ですね。
岩出 そうなんです。博多で土曜日にエグザイルのコンサートがありまして、韓流スターも来られるみたいで‥‥。
真栄田 ‥‥? 何をおっしゃってるんですか?
岩出 で、ホテルが全然取れなくて。本当に満杯で、最初は違う県から通わなきゃいけないのかと考えたんですが、何とか取れまして。よかったです。
真栄田 そういうことですか(笑)。こんなところにも韓流ブームが押し寄せてますね。
石川 それではAブロックの逆側サイドについて、東海大学の木村さん、どうでしょうか。
木村
木村季由監督(東海大学)

どう言ったらいいですかね・・・この・・・いい感じですね(笑)。ウチは2年続けて、皆さんに「くじ運がいい」と言われたんです。本当は全然そんなことなかったんですが。今年は「やっと来たねえ」みたいに言われてます。岩出先生が言われたみたいに、1回戦からこういうハードなゲームをやって、一戦一戦力をつけていくというのはウチのチームにも必要な要素なので、そういう意味で筑波大学というのが「来た」と言われてるんだと思います。これは、わかりやすいブロックですよね。ぜんぶ、対抗戦(のチームに当たっていきそう)じゃないですか。今日のこの会場と一緒です(笑)。

石川 そこでキャプテンも、「リーグ戦を代表して頑張ってきてください」と(笑)・・・
木村 あいつは面白がってますからね。この状況を。
石川 えー村上さん、いま筑波大学の話が出ましたが、筑波は本当に去年、今年と、このところ強いですね。
村上 強くなりました。また1年生でいい選手が入りましたからね。竹中君、彦坂君、両ウイングが決定力を持っているというのはすごく大きな要素で、ボールが動かせますからね。木村さん実はイヤだろうな・・・と思ったりもするんですけど、どうなんですか?
木村 ‥‥まあ、ウイングにボールが渡んなきゃいいんですよね。
真栄田 おー、強気(笑)。
村上 その前に潰しちゃえばいいわけですよね。
木村 そこでどれだけプレッシャーかけられるかというところですね。
石川 真栄田さん、No.8というのはそういうとき、スタンドオフを潰す、スクラムハーフを潰す、とても重要な役割なんですよね。
真栄田 そうですね‥‥でも僕の場合はあまりタックルいかなかったんです(笑)。僕らのチームはフランカーがすごくて、そいつにドーベルマンと名前をつけて(笑)、タックルにいかせてました。
石川 (笑)真栄田さんは?
真栄田 アタックだけの人だったんで。耳がメチャきれいです(笑)。
石川 辻さん、この組み合わせはどうでしょうか。
去年とまさに同じ、2年連続で初戦の相手が大阪体育大学になりました。
村上 大体大は、フォワードは往年の大きさに戻ってきました。関西の3位が決まったときに大学選手権の組み合わせについてコーチから電話がかかってきて、「選手は早稲田とやりたいと言っている」というんですね。それで早稲田が相手と決まったときに、「キましたぁ」みたいに喜んでいましたよ。「いいのかなぁ・・・」と思ったんですが。いやあでも、いいじゃないですか。
石川 辻さん、関西のチームに関してはどんな印象をお持ちですか?
大体大の試合はテレビでやっていなくて、まだ見ていないんです。どういうチームなのかなと思っているんですが、どういうチームなんですか、村上さん。
村上 いやぁ、早稲田がそんな気にするようなものではないですよ(笑)。
真栄田 そんなこと言っていいんですか(笑)。
村上 いや、僕はOBとしてあまり情報を言っちゃいけないかなと。関西のチームは隠しておきたいですね(笑)。
石川 じゃあ、いいほうの情報を少し。強いほうの。
村上 天理ですか?
石川 いや、大体大の。
村上 大体大の?あー、それもダメです(笑)。
石川 それも言えない? わかりました。ということで辻さん、ご自分で聞き出してください(笑)。さて吉田さん、村上さんからもこのブロックはとても厳しい、というお話がありました。最初、関西学院ですね。この組み合わせに関してはどんな印象をお持ちですか。
吉田 まあ関西の第5代表といっても、関西の場合は天理以外はほぼ実力は拮抗していると思うので、関西の2位とやるつもりでいます。
石川 一番右のブロックは天理、流経、慶應と入っていますが、熾烈ですよね。
村上 そうですね、リーグが違うんで、実際やったらどうなんだろうというのを皆さんわからないと思うんですが、天理は去年よりぜったい強いですよ。天理は点数開けて勝っているので関西の他のチームが全体に弱くなったかのような印象があると思いますが、弱くなってないです。同志社は確実に強くなってるし、大体大も強くなってきてるんで、そんななかで点差をあれだけ開けて勝ってる天理は相当強いんだと思います。
石川 夏の合宿で、辻さんは見ていますよね。勝ったんですか。
勝ちました。最後2点差ぐらいで。でも一人シンビンが出てやっとでしたかね。強かったです。びっくりしました。
村上 どう強かったんですか。
やはり、スタンドオフ、センター、センターの3枚はすごかったですね。マークしていても抜かれました。
村上 ちょっとマメ知識を言っておくと、同志社のV3の年、天理と慶應がベスト4で当たってるんです。だから今年天理と慶應があそこで当たると、岩出さんにとってゲンがいいことになります(笑)。
岩出 そうですね。なんとかV3獲れるように頑張ります。
石川 真栄田さんはこの組み合わせをみてどうお感じになりますか。
真栄田 そうですね、僕が注目してるのは帝京大学、明治大学、東海大学、早稲田大学ですかね(笑)。いや全チームとも力が拮抗しているので、ここと関西の戦いが見ものです。謎の関西対、この力の拮抗している関東。見ていて面白いですね。
石川 大学のチームに対して、むかし自分がプレーヤーだった時代はどんなイメージを持っていましたか。あまり変わっていませんか。
真栄田 そうですね、明治は前に、早稲田はワイドに、東海はフォワードバックス一体、帝京はユーモアラグビー(笑)。そういうふうに解釈しています。
石川 それではここで、去年の決勝の映像を見てみましょう。
-----------決勝 帝京大×早稲田大 映像---------------
村上 去年の決勝は帝京がホントにボールキープ力が高いんで、早稲田がホントにチャンスがなかったですね。
石川 岩出さん、ボールキープ力というお話が出ましたが、去年は試合の要所要所でそういう面が出ましたよね。
岩出 そうですね。去年はディフェンスのいいチームだったと思っていたんですが、たまたま決勝ではボールキープがよかったですね。ボールを相手に渡さないという作戦で、フォワードがしっかりがんばってボールをキープしました。
石川 そのフォワードで、主力だったヘンドリック・ツイ選手、吉田選手が抜けた今シーズン、これは大学の宿命ですが、その卒業を受けた今シーズンだったと思うのですが、その点、昨シーズンに比べてどうだったのでしょうか。
岩出
岩出雅之監督(帝京大学)

そうですね、6番、7番はずっと1年生から出ていて成長してきたものですから、今年は彼ら二人が抜けて、春からその呪縛がありましたね。ここでいてくれたらなあといつも思っていました。しかし、途中から、彼らのタイプを求めるんじゃなくて、違うタイプを求めて、しっかりとディフェンスできるできようにしようと、いまは言っています。しかし社会人を見ていても、いい選手ですね。

村上 そうですね、トップリーグでも、吉田選手はトヨタのあの厳しい第3列の競争に勝ち上がってきていますからね。ヘンドリック・ツイ選手も、パナソニックがホラニ龍コリニアシ選手のケガでどうなるかと思ったんですが、ツイがいるから大丈夫、という状況になっています。
石川 対戦した辻さん、こうして見ると悔しい思いが甦るかもしれません。改めて見てどんな決勝だったでしょうか。
そうですね、予想していないラグビーをやられました。
石川 予想していないというのはどういうことでしょうか。
ボールをキープするラグビーということですね。
村上 岩出さんは、シーズン中はボールを動かそうとしていたけれども、選手権前に戦法を絞ったというようにおしゃっていました。去年はそうしたけれども、今年はどうするのかな、というのが気になっています。
岩出 そうですね、今年はもっと広げます、といいたいところですが(笑)、短期決戦ですので、勝っていなくなかで、できる範囲でチームが成長できるような作戦にしていきたいと思っています。
石川 それは毎年選手が代わる大学の難しいところですね。
村上 そうですね。同志社が3連覇したとき、V2とV3のメンバーは10人一緒のメンバーで戦っているんです。そういう意味でいうと、今年の帝京はもう少し減っています。その代わったぶんだけどれだけ伸びていけるかですね。
岩出 対抗戦ではできるだけ数多くの選手に出場機会を持ってもらって、選手層を上げて、学生自身の特性を見ながら、我々にできる戦法を模索していきました。選手権では今シーズンの強みをできるだけ出せるように、しっかり落ち着いて、話をしていきたいと思っています。
村上 今年も同じ決勝になる可能性があります。その前に各大学はそれぞれを止めないといけませんね。
石川 去年の決勝を見ながら、お話をいただきましたが、ここで、各チームのキャプテンに、今年はこういう部分を見てほしい、ということを聞いてきましたので、ご紹介します。
[帝京大学・森田キャプテン] 『春から多くのことを積み上げてきましたが、この大学選手権でも、一戦一戦、戦っていくなかで、まだまだ成長していくいいチームにしたいと思っています』
[東海大学・安井キャプテン] 『スタープレイヤーと言われる人間はいないので、15人が十分にまとまったエネルギーを見ていただけたらなと思います』
[早稲田大学・山下キャプテン] 『今年のチームはディフェンスのチームなので、特に低く刺さるタックルに注目してもらいたいです』
[明治大学・溝口キャプテン] 『80分間走り続ける力を』
石川 東海の木村さん、安井キャプテンが「スタープレイヤーはいない」と言っていましたが、今年のチームはまとまりという点では素晴らしいですよね。
木村
木村季由監督(東海大学)

そうですね、去年は4番バッターみたいのがたくさんいましたので、今年は春からそれを過剰に意識しすぎているみたいです。卒業したやつのことをいつまでも意識しても仕方ないだろと言っていたんですが、なんか自分たちで「スタープレイヤーはいない」と言って喜んでるんです(笑)。「俺スターはやめた」とか。いていいんですけどね(笑)。謙虚です。まとまりということでは、そこが生命線なんで、それを生かして、選手権に向けて「ひとつのチームになる」ということを徹底してやっています。突破口を開く選手に頼るんではなくて、とにかく組織で動いていくということをやっていきたいと思っています。

石川 また流経戦を引き合いに出して申し訳ないんですが、あの試合ははじめ流経のいいところばかりが目に付いた試合だったと思うんですが、そこをまた追いついてきた、そのへんの後半の強さがすごいな、と思いました。
木村 やはりボールが大きく動くようになってくると強さは出てくるようになると思うんですね。ただあの試合は序盤にミスが多すぎて、相手のプレッシャーも強かったんですが、ボールを動かしていこうとしてもそれが線でつながっていきませんでした。終わったあとも、学生たちは不完全燃焼みたいなところがありましたね。
石川 村上さん、今年の東海の戦力をどうご覧になりますか。
村上 そうですね、前川選手、マイケル・リーチ選手はじめ突破役が抜けましたね。トップリーグの試合を見ていても、リーチ選手(東芝ブレイブルーパス)はスイスイ抜いてしまいます。NECのディフェンスを抜けるなら大学だったらすごく抜けるわけです。そういう人がいなくなると攻撃の組み立ては難しいのかな、と思いますが、その分まとまりでいくということですね。逆に流経にはそういう人がいる。それはすごく強いですよね。
石川 吉田さん、明治の溝口キャプテンは「80分間走り続ける力を」ということでしたが、私は明治OBなんですが、明治は昔、どちらかというと後半の後半に足が止まってしまい、点を取られることが多かった(笑)ように記憶しています。今年は逆に、後半の後半に点を取るシーンが多かったように思えます。
吉田 そうですね。就任してすぐ掲げたのが「ボールを持って走るのがラグビーの原点」ということだったのですが、3年目にしてだいぶ、ラグビーのコンタクトをし続けながら、走り続けられるようなチームになってきたと思います。
石川 八幡山に行くと、本当によく走ってますよね。ここで、4チームのキャプテンに、選手権にかける意気込み、思いを語ってもらいましたので、ご覧いただきます。
[帝京大学・森田キャプテン] 『同志社大学以来の大学選手権3連覇がかかっていますので、一戦一戦、成長したいと思います』
[東海大学・安井キャプテン] 『一戦一戦自分たちの力を出し切って、優勝目指してやっていきたいと思います』
[早稲田大学・山下キャプテン] 『負けたら終わりの試合の緊張感のなか、一所懸命、楽しんでプレーしたいと思います』
[明治大学・溝口キャプテン] 『日本一を目指すにあたって、どれだけ一人ひとりが試合に対してチャレンジできるかがカギになっていくと思います』
石川 3連覇がかかっているとキャプテンも言っていましたが、選手に対してはどのように話していらっしゃるんですか。
岩出 いろんな方から3連覇のことは言われていると思いますので、僕の方から何も伝えていません。ただ優勝を狙うということは当然3連覇を狙うということですから、学生のなかに十分そういう意識はあると思います。僕自身は、そういう大きな目標をプラスにとらえて燃えてくれたらいいなと思いますが、それで固くなるのならちょっと気持ちを切り替えて。状況を見ながら話していきたいと思います。
石川 2連覇を達成したチームは数多くあるのですが、3連覇は一回しかない。早稲田も明治も関東学院も何回もチャレンジして果たしていない。3連覇はそれだけ難しいんですね。
村上 だいたい3年生ぐらいにレギュラーになるので、3年目には卒業しちゃうんですね。だから、一年生でレギュラーに定着した選手がたくさんいる年は強い。いまの帝京の滑川君など何人かそういう選手がいる帝京は、大チャンスですね。
岩出 がんばります。
村上 これはやっぱり、3連覇できなかった早稲田や明治には、ぜひ止めていただきたいと思いますね。
石川 どうですか、辻さん。
辻 高志監督(早稲田大学)

3連覇を狙うチームにとって難しいのは、3連覇を阻止しよう、全大学で潰そう、というような雰囲気になるんですね。早稲田で自分が阻止される側にいたときはわからなかったんですが、阻止する側に回ってみると、そのことがよくわかります。ああ、こういう状態になるんだなと(笑)。そういう意味で同志社はすごいと思います。

石川 そういう意味で吉田さん、阻止役としてはどうでしょうか。
吉田 それは木村監督が横にいるので述べるのは難しいです(笑)。とにかく2回戦まで勝たないとどうしたって帝京大学とできないわけですから。
石川 対抗戦での悔しい気持ちはあるんじゃないですか。
吉田
吉田義人監督(明治大学)

それはもちろん勝負の世界で勝ち負けがありますから、我々は負けたので悔しい思いをしていますが、やはり勝つチームは勝つチームなりの準備をしてきた結果だと思います。帝京は森田キャプテンに代表されるように、歴代のキャプテンが素晴らしいですね。リーダーシップを持っていて、それを指導されているのが岩出監督だと思います。岩出監督が、かつて帝京がまだ明治や早稲田にかなわない時に、しっかりとした指導をしてきた、その結果がいま出ているんだと思います。明治としても、模範とすべきところが多いですね。

石川 やはり大学チームは、キャプテンシーのある選手がいるかいないかが大きいですか。
吉田 大きいですね。キャプテンがどういうキャプテンになるかどうかで、4年生がまとまるかどうかが決まります。学生スポーツはやはり4年生次第という面がありますから。
村上 吉田さんの世代は圧倒的にキャプテンシーが強かったですね。当時北島監督が「次は吉田だ」と言ったら、間違えていて、まだ吉田さんは3年生だった、という逸話が残っているぐらいです(笑)。
石川 木村さん、連覇阻止という点はどうですか。岩出さんとは大学の先輩後輩という仲ですが。
木村 大学で岩出先生とは重なっていないので。私が岩出先生にちょっかい出しているのを見ると、全国にいる先輩方が冷や冷やしてるみたいですね。それだけ恐い人だったみたいで。ただ私は全然関係ないですね(笑)。
石川 じゃあ連覇阻止も大丈夫ですか。
木村 ずっとやられてますね。もう最後は赤いのをみるのも嫌になってます(笑)。それでその年のチームが終わってますんで。今年はその前にたくさんハードルがありますから、しっかり一つずつやっていきたいと思います。
石川 見るのも嫌という赤いジャージ、ホントにそのジャージが年ごとに何かこう、大きくなっていきますね。
村上 実際身体も本当に大きいんです。身体づくりは本当に。グラウンドに入るときに、懸垂してから入るようなのがあるでしょう。
石川 帝京のグラウンドの入り口には鉄棒があって、そこを通過しないとグラウンドに入れないようになってるんですよね。しかも何回もやってから入ってくる。
岩出 そんな、なんでもオーバーに言って‥‥。
村上 いやホントですよね。
岩出 今年新しく入れた器具です。背筋を鍛えるためにと思いまして春から始めたんですが、秋になっても全然できていなかったので、秋から本格的にやるようにしたんです。そうしたらかなりできるようになりました。
村上 森田キャプテンなんか、身体は大きくないですけど腕パンパンですもんね。
岩出 プロップは身体が大きいので大変です。難易度が高すぎるとあきらめちゃうんで、プロップに合わせて数を設定しています。
真栄田 監督もグラウンドに入るときに懸垂するんですか。
岩出 タッチぐらいですね。
真栄田 タッチー!‥‥って。どこ鍛えてるんですかっ(笑)。
岩出 試合が終わったときにするハイタッチの練習です(笑)。

 

石川 それでは、ここで各リーグのデータを見ながら進めていきましょう。
各大学リーグ戦績 関東大学対抗戦A 関東大学リーグ戦1部
石川 対抗戦は帝京が全勝、早稲田、明治、筑波は2敗ですが、得失点差で順位が決まっています。東海は流経に敗れただけという結果です。
村上 対抗戦では早稲田のトライ数が圧倒的に多いですね。ただし失点は帝京が半分ぐらいしかない。これが今シーズンの特徴ですね。やはり帝京はしっかり手堅く勝ってきている。それから43トライ中31ゴールですから、ゴールの成功率も高い。勝つにはプレイスキックが大事なので、プレイスキッカーとディフェンス力、このへんはトーナメントに入って、この数字だけみると帝京が強いのかな、と思います。
石川 プレースキックはほとんど森田キャプテンですね。
村上 そうですね。森田キャプテンがけがしたらどうるんだろう、と心配するぐらい、非常に安定した数字を残していますね。
石川 早稲田も明治も敗れた試合もありますけれども、どう転ぶかわからない試合ばかりやっていますね。
村上 そうですね。明治も失点は早稲田より少ないですから。
石川 明治は非常にディフェンスがいいという印象がありますね。東海についてはいかがですか。
村上 東海は比較ができませんが、失点が多いですよね。ベスト3のなかで一番失点が多いので、そこが気になりますね。今回はリーグ戦の上3つが強かったと思っています。早稲田は関東学院が少し恐いんじゃないかなと思っていますが、どうですか。
恐いですね、正直。早稲田との戦い方をよく知っている大学なんで。
石川 関西についてはどうでしょうか。
関西大学Aリーグ
村上 天理は圧倒的ですね。同志社の倍、点数をとっていますからね。失点も少ないんですが、これほとんど責められていないんですね。ほとんど天理が攻めてます。今回天理が飛び抜けてます。ただ、関西学院は今回5位ですが、今回戦い方を変えて、これまでフォワードでいったのをバックス展開を取り入れて、うまくいっていないんですね。地力はあるので、戦い方を絞ればそんなに楽な相手ではないですね。
石川 シーズン前から関西リーグは天理が抜けているんじゃないかという見方があったんですが、そういう期待に応えるシーズンを過ごしたというのはすごいことですよね。
真栄田 そうですね。注目されているなかでプレッシャーを受けながら結果を残せる。地力がすごくあるということですね。
石川 天理がそれだけ強いということはデータからもよくわかりますね。
村上 しかしここにいらっしゃる皆さんはなかなか当たらないので、もし当たるとすれば早稲田が準決勝ですね。でも、いきなりベスト4というのはなかなか力が出ないんですよね。初めての国立競技場というのはなかなか力が出ない。そのへん木村さんどうでしたか。
木村 そうですね。力が出ないし、初めての場所で、トイレがどこにあるのかもわからない。試合に入る前は地に足が着いていないような・・・ウォーミングアップをする場所についても全然知らなかったんで。
村上 そういう意味で言うと国立に行ったらやっぱり早稲田・明治が強いんですよね。
石川 岩出さん、最初に国立いったときはそういうところがありましたか。
岩出 そうですね、初のベスト4のときは関東学院にかなり点数取られましたね。学生の経験というよりは、監督の経験でした。
石川 そのへん、辻さん、吉田さん、現役のときに必ず早明戦でやっていますから、国立で試合をするということに関しては他のチームよりも有利なのではと思いますが、辻さん、いかがですか。
現役の時、早明戦は1、2年生の時は上から見ていて、初めてグラウンドに立った時に、「なんて静かなとこだ」と思いましたね。
村上 まあめちゃめちゃ集中する人だったから。
真栄田 ヘッドキャップのせいじゃないんですかね(笑)。
石川 吉田さん、いかがですか。
吉田 対抗戦で日本一の競技場を用意していただいて、そこでやれるというのは学生にとって大きな財産になりますよね。このゲームを通じて、私とかは一皮も二皮もむけて成長していくんじゃないかなと思います。私自身も早明戦で1年生のときから出させていただいて、当時の「雪の早明戦」というのも経験して、強く印象に残っています。
村上 吉田さんのころは常に超満員、6万人の観衆でしたからね。
石川 吉田さんなんかは国立は隅から隅までご存じですよね。トイレがどこにあるとか(笑)。
吉田 とにかくすり鉢状の競技場なので、観客の皆さんの声援が、上から降ってくるんじゃなくて、下から地響きのように、振動が来るような感じなんですね。選手たちは、自分も含めて、ものすごいパワーをもらうわけです。あれだけの人が見ているわけですから、最高のプレーをすれば称賛されるし、少しでも勇気のないプレーをすると目立ちます(笑)。
真栄田 そうですね、うんうん。
村上 真栄田さん、なんかわかったような反応ですね(笑)
真栄田 大ファンですから。吉田さんの。世界選抜でのダイビングトライ最高でした。
吉田 またずいぶん昔の話ですね(笑)。
石川 個人得点数の数字がありますので、見てみましょう。
大学別 個人得点ランキング
村上 早稲田は3人でトライ王を争ったんですよね。結局山下選手が11で最多です。辻さん、フランカーの選手がトライ王というのは、これは早稲田にとっていいことですか。
そうですね。よくサポートした結果だと思います。山下自身、高校時代はウイングで準決勝ぐらいまで行っている、走力がある選手で、トライを取れる選手だなと思います。
村上 両ウイング、速いですよね。
石川 それから早慶戦で見せたキックパス、あれはすごかったですね。視聴者の方から、ラグビーってこんなに楽しいと思わなかった、点もたくさん入るし、あんなすごいプレーができるんだ、という声をいただきました。辻さん、痛快なゲームだったんじゃないでしょうか。
今年のベストゲームでしたね。見ている方にそういっていただけるのは嬉しいですね。
村上 帝京戦で決まらなかったんですよね。その反省のもとあの試合があったんですよね。
そうですね。小倉にはあのあと500回ぐらいそのシーンを見せました(笑)。
村上 明治はわりとトライが分散していますね。
吉田
吉田義人監督(明治大学)

そうですね。そのなかで山中選手が数としては多いんですが、もともとはスクラムハーフの選手をウイングにしたんです。彼が2年生のときに、スクラムハーフをやっていたんですが、バックスのラインのほうがいいかなと思って、バックスのラインも練習した方がいいんじゃないか、って話したんです。でも本人は「いや私はスクラムハーフでいきます」というんで、「そうか、じゃあがんばれ」と言ったんですが、またすぐ「でもバックスのラインもやっておいたほうがいいと思うぞ・・・」と(笑)。で2年生のときに秦をスクラムハーフに起用したので、山中はなかなか秦に追いつけなくて、4年生の春に「監督、バックスラインやります」というので、「そうか、やれ」と。最初は下のBからやらせて、どんどん実績あげきて、最後夏合宿のゲームでA チームのウイングにあてて、開幕戦から活躍しています。

村上 どういう動きがウイングに向いているなと思われたんですか。
吉田 相手を抜くとか、相手と接触するときの身体のやわらかさとか、しなやかさというか、コンタクトの強さとか、非常に腰の強い選手です。もう少しスピードがついてくると、トライ王を狙えた選手だと思います。
岩出 山中選手って、もともとフォワードだった選手じゃ・・・?
吉田 そうです。フォワードです。
岩出 それがハーフだったんですか。
吉田 そうです。ハーフだったんです(笑)。
石川 ポジションをチェンジさせるというのは、監督としては勇気がいるんじゃないでしょうか。どんな観点で変えるんでしょうか。
吉田 まあ、みな同じラグビープレイヤーなので・・・ポジションには適材適所があると思います。何をもとに変えるのか、と言われると難しくて、感覚的なところかもしれませんね。
石川 東海大はいかがでしょうか。
村上 東海はもう、1年生の小原君がチームで一番多い。これは監督としても期待が大きいんじゃないでしょうか。
木村 そうですね。ホントに積極的になってきた。もっととってもいいですね。今度は筑波戦で、高校ジャパンで一緒だった竹中君とトイ面対決もありますので、一年生同士、楽しみですね。
村上 気は強いですか。
木村 気は・・・強いですよ。ホワーっとした顔をしてるんですが、コンタクトの練習になると、フォワードにもガツガツ向かっていきますんで。
村上 この1年生の代は本当に良い選手が揃っていますので、将来期待の選手が多くて、面白いですね。
石川 今度は、会場にお越しいただいた皆さんにあらかじめ「好きな選手」についてアンケートをいただいています。それをご覧いただきましょう。まず11位までを出していただきます。木村監督も入っていますね(笑)。
人気投票 11位-24位
村上 吉田さん、佳久選手は今は、どうしてるんですか。
吉田 去年は大学選手権で活躍して、今年は7人制で選抜されて、本人もいい経験になるんで行かせてもらってたんですが、7月の上海セブンズでケガをして、手術して、いまリハビリ中です。残念です。
石川 24位に、流経のイシレリ選手がいます。186センチ、120キロ。木村さん、すごかったですね。
木村 ・・・すごいですね。なんていうんですか、加速したら、ちょっと危ないんですよね(笑)。よくタックルにいってますよホントに。
石川 イシレリ選手はフォワードの選手ですが、試合の流れのなかでウイングの位置に立って突破役をしています。
木村 大きいだけじゃなくて、今年はけっこう走れるんですね。80分間もつんです。去年はもたなかったんですが。
石川 19位に彦坂選手、12位に竹中選手がいます。筑波の両ウイングは彦坂選手が90kg、竹中選手が89kg。
村上 これはもう新世代のウイングですね。吉田さん、この二人はウイングとしてみてどうですか。
吉田 素晴らしいですね。
村上 吉田さんは学生時代、60kg台だったでしょう。
吉田 そうですね・・・67、8kgぐらいでした。
村上 いまや90kgの時代ですからね・・・
吉田 しっかりトレーニングしてるんで、いい筋肉がついていますよね。
石川 岩出さんは対抗戦の最終戦で熊谷でやられて、どういう印象をお持ちになりましたか?
岩出
岩出雅之監督(帝京大学)

その前に体重の話ですが、僕も現役時代は70kgでした(笑)。で、彦坂君と竹中君ですが、素晴らしい選手ですね。まあ両ウイングは特徴が違うんですが、やわらかく走るタイプと、まっすぐしっかりと走るタイプと。まあ、東海大だったら・・・

木村 なんですか。
岩出 止めると思います。
木村 だったらいいです。
岩出 日体大は、卒業すると先輩後輩がこういう風に逆転してしまうんですね(笑)。僕の方が後輩のような扱いです(笑)。
石川 では、ベストテンの4位までを見てみましょう。
人気投票 4位-10位
石川 真栄田さんは、注目選手に布巻選手、小倉選手、秦選手をあげていただいています。
真栄田
「スリムクラブ」真栄田氏

布巻選手は、今年花園に実際見に行ったんです。それで目の前ですごいプレーを見せられて、大学でどうなるんだと思ってたら、実際十分通用してて、このあいだの早明戦でもバンバン抜けてて、一年生でこれだけできるってすごいなと思って、一票投じさせていただきました。そして小倉選手のパスですね、展開ラグビーホントに楽しく見させていただきました。秦選手は、ほんとにちっちゃいのに、あの身体でガンガン、フォワードにタックルにいく姿がホントにかっこいいなと思います。

石川 ありがとうございます。それでは辻さん、そういう真栄田さんの感想でしたが。まず布巻選手について。
そうですね、布巻は春はU20のほうに行っていて、夏に合流した時に、1回目の練習でチーム全員が認めてしまった、そういうぐらいの能力があります。
真栄田 性格はどういう選手なんですか。
辻 高志監督(早稲田大学)

世渡り上手ですね(笑)。ラグビーに関しては、超プロ級です。大学1年生でこんな意識が高いの、っていうぐらいです。コーチが何か言ったらすぐに飲みこみますし、自分の身体のケアで夏まで5kg落とせと言ったらすぐに5kg落としてきますし。あの意識を持っているのはすごいですね。

石川 小倉君についても、会場の方から将来は日本代表のスタンドオフ候補の器。2019年のワールドカップを、というコメントも来ています。
今年の1年生はどこの大学も能力が高いと思うので、2019年のワールドカップを目指して成長していってほしいと思います。
石川 そして吉田さん、秦選手、152cm。ラグビーは身体の大きさが全てではないとアンケートに書いた方がいらっしゃいました。
吉田 ラグビープレイヤーの多くが彼から勇気をもらっていると思います。ラグビー関係者以外にも、ワールドカップを控えてこれからラグビーがメディアに露出する機会も多くなると思うのですが、そのなかで秦がラグビーに取り組む姿勢というのは、多くの方々の心を揺さぶるんじゃないかなと思います。
石川 真栄田さん、明治の重戦車を操る152cmの秦選手、いかがですか。
真栄田 かっこいいですよね。小兵ながら腕も足も太いですからね。
石川 それでは第3位、帝京の森田キャプテンです。岩出さん、森田キャプテンについていかがですか。
人気投票 3位 人気投票 2位 人気投票 1位
岩出 僕は今年で14年目なんですが、ナンバーワンだと思いますね。去年のキャプテンも、その前のキャプテンも歴代、一年間のなかでしっかりと成長していく姿を見てきましたが、はるかにしっかりとしていて、信頼を置いています。素晴らしいと思います。
真栄田 顔もカッコいいですね。
岩出 字もうまいです(笑)。ホントに人気もあります。特に昭和のお母さんたちに。
石川 では2位、早稲田の井口選手です。辻さん、ようやく帰ってきましたね。
そうですね。バックスが若かったので、彼が帰ってきて落ち着きが出てきたと思います。よくやんちゃ坊主と言われるのですが、それはものすごく演じているんです。彼は高校は伏見工のキャプテンで、真面目過ぎて、それで優勝できなかなった、だからそのキャラはやめました、と言っていました。それで少しはじけ過ぎてやんちゃに思われていますけれど。
岩出 ウチにも伏見工業から来ていますが、彼らも井口君のことをすごく信頼していて、いい男だと表現しています。
石川 ボールを持ったらわくわくする選手ですね。
村上 中学のときの先生が、1年生のときに見て、「伏見工にいったほうがいい」といわれたぐらい才能があったんですね。伏見工業の高崎先生も、高校1年生のときに将来ジャパンの一員になれる選手だと思った、と言われてました。
石川 では第1位、早稲田大学の山下キャプテンです。辻さん、どんな選手でしょうか。
もう彼にすべてまかせて大丈夫だなという人物ですね。今年彼に対してコーチングしたことがない、というぐらい信頼しています。小学校、中学校、高校も優勝していて、そういう星のもとに生まれているんだなと感じます。
石川 どんな局面でも彼がポッと現れますね。
一番痛いことをできるプレイヤーなんで。春にチームが苦しかったときも、彼が一番痛いことをやっていました。
石川 真栄田さん、痛いことですって。
真栄田 頭が下がります。ホント本気で信頼出来るキャプテンです。もう山下さんだったら保証人になってもいいかなと(笑)。
村上 勝てるキャプテンがいる、というのは岩出さんも嫌なんではないですか。
岩出 この1位と2位は会場の早稲田ファンの割合を示していると思います(笑)。
石川 では各キャプテンに「監督の意外な一面」を聞いてきました。
[帝京大学・森田キャプテン] 『厳しい顔をされていることが多い監督ですがユーモアあふれる面白い一面もあります』
[東海大学・安井キャプテン] 『テレビではしかめっ面をしていることが多いんですが、非常によく笑う監督です』
[早稲田大学・山下キャプテン] 『辻さんは見た目は怖いというか真面目な印象がありますが、非常に甘いものが好きで、いつもカップラーメンを食べています』
[明治大学・溝口キャプテン] 『自分自身の息子さんに非常に甘いです』
石川 吉田さん、意外な一面ですって。
吉田 甘いと言われても・・・まだ3歳になっていないので(笑)。厳しくしようがありません。
石川 辻さん、カップラーメンがお好きなんですか。
僕、ジャンクフードが大好きなんです。でも現役時代は身体に気を遣って食べなかった。それが今ものすごいリバウンドで、いま毎日のように食べちゃって、体重もどんどん増えています。自分はカップラーメンを片手に持ちながら、選手には「食べるな」と言っています。
石川 木村さん、よく笑うんですか。
木村 いや・・・別に普通だと思います(笑)。試合中もしかめっ面しているわけではないんですが・・・
石川 岩出さん、森田キャプテンがユーモアあふれると言っていました。
岩出 関西生まれなので・・・吉本興業とまではいきませんが(笑)
真栄田 いや、充分いけます(笑)。
石川 さあ、ここでまたトーナメント表を見てみましょう。最初見たときに比べて、いろいろ情報を得た後だと見え方も変ってくると思います。真栄田さん、いかがですか。
真栄田 そうですね、今日の4校も力が充実していますし、天理がダークホース的な存在で、トーナメントを面白くしてくれそうなんで、関東と関西という戦いも、ラグビーファンとして楽しみに観戦したいと思います。
村上 筑波がどうなるのか、というのも気になりますね。
吉田 村上さんの解説でよく憶えているのは、早稲田と慶應が筑波に負けた後で、「明治は序盤で当たってラッキーだった」というようなことを言っていましたね(笑)。
村上 すいません・・・(笑)。
吉田 だから今度は、もちろん東海大が来るかどうかはわからないのですが、そういうことを言わせないようにしっかりとやりたいと思います(笑)。
村上 監督がそんな、解説者の言うこと聞いちゃダメです(笑)。
石川 では、この負けたら終わりというトーナメント、勝ち上がっていくためには何が必要でしょうか。一言ずつお願いします。
岩出 勢いですね。我慢強く、勢いのあるチームになっていくことが必要です。4戦ですから、しっかり厳しく戦って、勢いをつけたいと思います。それが前に進む力になると思います。
木村 腹をくくれるかどうかだと思います。腹をくくって、自分たちのやることを徹底してやる。それだけだと思います。
早稲田はディフェンス、タックルで勝負したいと思います。
吉田 なかなか勝てないので、最後は執念だなと思います。
石川 ここで会場のみなさんからご質問が来ています。ご紹介します。「明治が大学日本一になるのはいつごろですか」。吉田さん(笑)。
吉田 大学日本一になろうと思ってやっているので・・・いつと言われても・・・すぐにでもなりたいですね。
石川 「不調のときのメンタルな部分を強く保つにはどのようにしていますか」。木村さん、いかがですか。
木村 これ・・・僕のことじゃないですよね(笑)。
石川 チームですね(笑)。木村さんのことじゃなく。
木村 そうですね、開き直るような気持ちをつくれるかどうかですね。悔しさは忘れちゃいけないんですが、あまりひきずらせないようにしています。
石川 「帝京大のフォワードは毎年体格がいいが、どのような体重管理をされているのでしょうか。
岩出 体重管理は、体調管理にもかかわってきます。風邪をひいたりすることは筋肉の細胞にもかかわってきます。最終的には、我々が管理していくことではなくて、セルフマネジメントができるように指導しています。
石川 「試合の前に必ず行う縁起担ぎはありますか」
僕はないですが、早稲田はお守りをジャージと一緒に配っています。縁起というか、伝統ですね。
石川 サンバイザーをされていますね。それは別に縁起担ぎじゃないんですか。
いや全くそうではなくて、単に帽子は暑いので・・・なぜかサンバイザーが僕のカラーになってしまって、選手からもプレゼントでいつもサンバイザーをもらってます。サンバイザーあげときゃいいか、みたいな(笑)。
石川 明治はどうですか。
吉田 明治はないですね。強いて言えば、縁起担ぎじゃないですが、試合前に、試合に出る選手が、出られない選手の前で決意表明をやります。
石川 帝京はありますか。
岩出 特にありませんが、私個人的には、早く寝る、ということです。試合の日にエネルギーを使いますから、前日の夜は9時か10時には寝てしまいます。
石川 東海大はどうでしょう。
木村 特にないですね。女子マネージャーが作ったお守りをジャージと一緒に配って、吉田さんが言われたように選手一人ひとりが決意表明をする、ということですね。
石川 最後に大学選手権に向けて会場のみなさんに向けて一言、お願いいたします。
岩出 選手一人ひとりが成長していけるような試合にしたいと思います。挑戦心を持っているチームに少しでも仕上げてがんばりたいと思います。応援よろしくお願いします。
木村 今年は、リーグ戦では悔しい思いをしましたので、選手権で一戦一戦、勝ち上がっていけるよう、まずは初戦の筑波大学戦に照準を合わせていきたいと思います。リーグ戦の代表として、流通経済大学も初戦が慶應大学ですが、リーグ戦の1位2位が負けるわけにいきませんので、しっかり戦っていきたいと思います。応援のほうどうかよろしくお願いします。
大学選手権、ひたむきで、身体を張ったプレーをお見せできればと思います。全力でがんばりますので、ご声援お願いいたします。
吉田 明治大学は、しばらく大学日本一になっていません。選手は、また大学日本一に向けて、チャレンジをしてくれることと思います。チャレンジする先には、チェンジすることができると思います。また、新たな歴史を変えられるように、一戦一戦、選手たちと一緒に、ひたむきに、実直にラグビーに取り組んでいきたいと思います。どうかご声援のほど、よろしくお願いいたします。
石川 どういう試合を見せてくれるのか、とても楽しみですね。4人の監督の皆さん、どうもありがとうございました。
真栄田 いつもテレビで見ている監督さんたちとこんなに楽しくラグビートークできて、こんなにラグビーを感じられて幸せでした。
村上 皆さん、口が災いにならないように(笑)言葉は少なめでしたが、その端々に気合いの入ったコメントをいただいて、楽しかったです。ありがとうございました。