●試合日 2011年9月21日(水)16:30キックオフ(日本時間)
●会場 ニュージーランド、ファンガレイ「ノースランドイベントセンター」
●試合結果

トンガ代表 31-18 日本代表 (前半18-13)

Text by Kenji Demura

それは、象徴的な幕開けだったと言わざるを得ないだろう。
トンガのキックオフをボールキープした日本は自陣深くから積極的にアタックを仕掛ける。
FLマイケル・リーチからNO8菊谷崇主将に渡ったところでトンガディフェンスのプレッシャーを受けたジャパンのスキッパーがノックオン。
開幕戦でNZを押し込んだトンガのスクラムにいかに対抗できるかがこの試合のひとつのポイントだったが、いきなりジャパンFWは正念場を迎えることになる。

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「セットプレーで日本を圧倒するのが我々のゲームプランだった」
そんなトンガ代表HOアレキ・ルトゥイ主将(ゲームキャプテン)の言葉どおり、組み勝ったスクラムからトンガNO8ヴィリアミ・マアフがサイドアタックから日本のインゴールへ。この場面はWTB小野澤宏時がボールと地面の間に入るかたちのファインタックルでトライを防いだが、その直後のスクラムから再びマアフが今度はトライラインギリギリにボールダウンして、トンガが先制した。

5連勝中だったパシフィック・ネーションズカップ(PNC)では、安定したセットが日本の勝因の一部分を占めていたが、過去4年間のPNCで一度もプレーしていなかった、“欧州組”で固めたトンガのフロントロー陣のスクラムは警戒していたとおり強力だった。
「(PNCで組んだ時より)重たかった」(PR平島久照)
さらに、失点にこそ結びつかなかったものの、BKでも危惧していたミスがいきなり現実のものとなる。

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初戦、2戦目と先発した平浩二に代わって、この日はアリシ・トゥプアイレイがアウトサイドCTBのポジションに入っていたのだが、9分には新CTB息が合わず、再びノックオンのミス。
それでも、13分にはLOモールから最後はPR畠山健介が飛び込んで、日本も初トライを奪って5-5の同点に。
最初の10分間はほとんど自陣から出られない厳しい時間帯が続いていただけに、最初のチャンスをものにした日本に流れがくるかと思われたが、次のキックオフからトンガにノーホイッスルトライを奪われ、再びリードを許してしまう。
「こちらの流れになりそうなところで、ミスが出たり、ちょっと先のことを考え過ぎたりして、自分たちのやりたいラグビーができなかった」(HO堀江翔太)

前述どおりPNCでの対戦では5連勝中。メンバーが変わっているとはいえ、基本的な戦い方は同じと言っていいトンガに対して、そのパワーを無力化しながら勝っていく方法を取得してきたはずのジャパンだったが、W杯という特別な舞台装置がやや浮き出させた面もあったのか、なかなか試合を自分たちのペースに持ち込めない。

18分に独走したトンガBKにFLマイケル・リーチがよく戻って追いつきトライを防いだ後、25分には今度はそのリーチがCTBニコラス ライアンのブレークからトライを奪い12-10と追い上げたものの、日本がスコア的に競り合ったのはここまで。
「フィットネスに不安がある」(トンガ代表イシトロ・マカ監督)と自分たちでも認めていたトンガを疲れさせるゲームプランもあまり機能しないまま、後半に入ってもトンガに10分にPG、14分にトライ&ゴール、28分にPGと確実に点数を重ねられたのに対して、日本の得点は23分にCTBトゥプアイレイがタテにトンガDFを切り裂いた1本に抑えられ、6試合ぶりとなるトンガに対しての敗戦を喫した。

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「PNCの時に比べ日本も強くなっていたが、我々の方がもっと強くなっていた」というのはトンガ代表マカ監督の見解。
一方、日本代表のカーワンHCは「今日はいいプレーができなかった」。
フランス戦メンバーの多くをNZ戦では休ませて、トンガ戦に照準を合わせる調整を行ってきたJKジャパンだったが、本来のパフォーマンスを見せることができずに、目標だった「2勝」は達成できないままW杯を終えることになった。

「自分たちのミスでテンポをつくれないまま終わってしまった。このままでは終われないので、しっかり切り替えてカナダ戦に臨みたい」(NO8菊谷崇主将)
間違いなく、JKジャパンはまだ力を出し切っていない。
もちろん、敗戦チームながらマン・オブ・ザ・マッチ選ばれたリーチ、そして2度のトライピンチを救ったWTB小野澤宏時など、W杯にふさわしいパフォーマンスを見せている選手もいる。
それでも、20年間W杯で勝っていないチームが結果を出すためには、チーム全員がW杯にふさわしく、持てるポテンシャルを全て出し切ることが必要なのも間違いない。
20年ぶりのW杯勝利へ向けて、残り1週間弱。持ちうる全ての人間力を結集して、有終の美を飾ってほしい。

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