Text by Kenji Demura 先手を打ってきたのはフランスだった。
実際、フランス代表のマルク・リエブルモン監督がメンバー発表記者会見で強調していたのが、日本戦に"本気モード"で臨むということだった。 「日本は興味深い戦い方をするチーム。スピードがある選手が揃っている上に、攻守共に非常に組織化されている印象。当然、我々としても日本戦には真剣勝負で臨むことになる」(フランス代表マルク・リエブルモン監督) スコッド中最多キャップを誇るFBダミアン・トライユ(84キャップ)こそ、負傷のためメンバー落ちしたものの、FLティエリー・デュソトワ主将をはじめ、HOウィリアム・セルヴァ、PRニコラ・マス、LOリオネル・ナレ、通算64キャップのFLイマノル・アリノルドキ、BKに目を移しても不動の指令塔になりつつあるSOフランスワ・トランデュック、CTBオレリアン・ルジュリー、そしてヴァンサン・クレールとマクシム・メダールの両WTBにFBセドリック・エイマンスなど、4年前にリエブルモン体制になってからも主力として活躍し続けてきたビッグネームがズラりと並んでいる。
もちろん、この4年間で世界ランキングを18位から13位に上げてきたジャパンにとって、その成長ぶりを世界に示すためにも、フランスがかっこうのチャレンジの相手であることは間違いない。 「こういう(フランスの)メンバーを待っていた」 フランスのメンバーを知った直後、一段と引き締まった表情でそう語ったのは、ジョン・カーワンヘッドコーチ。 菊谷崇主将も「すごいメンバーと試合できて光栄。いかに自分たちのテンポに持ち込めるか。日本のラグビーを世界に発信したい」と、相手のメンバーが決まったことで、本当の世界の強豪と対戦するイメージがよりクリアになったようでもあった。 7月下旬から3週間にわたってイタリア合宿を敢行したのも、何よりワールドカップ初戦で当たるフランス対策のため。 あるいは、次のようなエピソードさえ、フランスラグビーにおけるスクラムへのこだわりを裏付ける証拠と言えるかもしれない。
「イタリア戦ではマイボールスクラムに関しては良かったけど、相手ボールの時にプレッシャーを受ける場面もあった。フランスはさらに8人で押してくるイメージだと思うので、対応する必要はある。たとえば崩れてもボールを出せれば、フランスのスクラムを無力化することができるかもしれない」 平島同様スクラムのキーマンとなる畠山がそう語る通り、どんなかたちであれボールを供給できなければ、日本のペースに持ち込めないことは確かではある。 もちろん、過去のW杯で4強入りしなかったのは1度だけというフランスの強さは、スクラムだけにあるわけではない。 "シャンパンラグビー"とも呼ばれる、ボールキャリアに対して次々にフォローする選手が現れ、パスをつないでゲインを奪っていく奔放なアタッキングラグビーは常に世界を魅了してきた。
「低いタックルで1人目で倒して、こっちのDFラインが前に出られるようにしたい」というのはNO8ホラニ龍コリニアシ。 そのホラニ、そしてCTBニコラスライアン、WTB遠藤幸佑などが、フランスのリエブルモン監督が注目する日本のプレーヤー。SOジェームス・アレジのキッキングゲームに関しても「洗練されている」と警戒していた。 アタックでは、前に出てくるフランスDFに対して、「フラットなかたちは変えないで、前に出られるか」(CTB平浩二)もポイントになる。フランス戦用に練習を重ねてきた、新たなサインプレーが見られる可能性もある。 これまでは、立ち上がりの時間帯に失点するケースも目立つジャパン。
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