調子を上げるイングランド。91年以来となる"宿敵"とのW杯マッチに燃えるスコッツ

Text by Kenji Demura

"死のプール"。
今大会でそんなふうに呼ばれるのが予選Bプールだ。
前回大会準優勝のイングランド(世界ランキング5位=8月29日現在/以下同)、前回大会3位のアルゼンチン(同9位)、そして6カ国対抗の雄で過去全大会で予選プール突破を果たしているスコットランド(同7位)のいずれか1カ国が予選敗退国となる。
ちなみに、前回W杯以降の3カ国の対戦成績は以下のとおり。

イングランド対スコットランド──イングランドの2勝1敗1分

イングランド対アルゼンチン──イングランドの2勝1敗
スコットランド対アルゼンチン──スコットランドの3勝2敗

イングランド代表のSOジョニー・ウィルキンソン選
イングランド代表のSOジョニー・ウィルキンソン選手
photo by Kenji Demura (RJP)

そんな実力伯仲プールであえて1位抜けチームを予想するなら、イングランドとなる。

今季の6カ国対抗を制した後、W杯の準備試合ではウェールズと1勝1敗の後、アイルランドとのアウェーゲームでは20-9で快勝。
03年にW杯制覇した時に主将だったマーティン・ジョンソンが監督を務め、相変わらずFWは強力。やはり8年前の豪州大会で優勝に貢献したSOジョニー・ウィルキンソンが調子を上げていることもイングランドにとっては好材料だ。ウィルキンソンにとっては通算4度目のW杯となる。

歴史的な因縁もあって、そのイングランドに対して、常にライバル心を全開にして挑んでいくのがスコットランド。それは、元々1871年に行われた世界初のテストマッチが両国の対戦だったことからも想像できるとおりだ。

そんなふうに、ライバル心を燃やす両国がW杯で対戦するのは、1991年以来のこと。20年前に地元エジンバラで6-9と惜敗しているスコットランドにとっては、世紀をまたいだリベンジマッチとなる。

今冬の6カ国対抗では、イタリアに対する1勝にとどまったスコットランドだが、8月の準備試合には、そのイタリアに加えてアイルランドにも勝利。

ウィルキンソン同様、4度目のW杯となるWTBクリス・パターソンをはじめ、SHマイク・ブレアー、SOダン・パークス、WTBラモント兄弟など、特にBK陣にベテランが揃う。
スコットランドを率いるのが、03年にイングランドのアシスタントコーチだったアンディ・ロビンソン監督(イングランド出身)なのも、両ライバル国の対戦への関心度を一層高める要因にもなっている。

前回大会でセンセーションを巻き起こして3位となったアルゼンチンは、圧倒的なキャプテンシーを誇ったSHアグスティン・ピチョット主将が引退、SOフアン・マルティン・エルナンデスもヒザのケガのためスコッド落ちするなど、やや前回よりはスケールダウンした印象。8月の準備試合でも、ウェールズに13-28で敗れている。

残る2カ国もグルジア(同16位)とルーマニア(同17位)という欧州のライバル国が並び、5カ国中4カ国が欧州諸国となるプールB。

共にフランスベースのプレーヤーを多く抱えるグルジアとルーマニアは、強いFWを前面に出して戦うスタイルのチーム。9月28日の直接対決で勝利をものにすることが最低限の目標となる一方、前回大会でグルジアがアイルランドを追いつめた(10-14)以上のパフォーマンスを見せて、3強からの金星を狙う。