24年ぶりとなる地元優勝を狙うNZは、苦手フランスを抑えて順調に勝ち上がれるか?

Text by Kenji Demura

オールブラックス(ニュージーランド代表)
優勝候補の筆頭、オールブラックス(ニュージーランド代表)。右から3人目がリッチー・マコウ主将
photo by Kenji Demura (RJP)

地元開催で1987年の第1回大会以来となる悲願の世界制覇を目指すニュージーランド(NZ)、4年前にはそのNZを準々決勝で破るなど過去のW杯で数多くのセットアップをものにしてきたフランス、同じく4年前には南アフリカを追いつめたトンガの3カ国が前回大会からのシード国。アメリカ予選を勝ち抜いたカナダ、そしてアジアで勝ち上がった日本は共に7大会連続出場となる。

現在、世界ランキング1位のNZは当然ながら圧倒的な優勝候補筆頭。前回大会以降のテストマッチ戦績は39勝10敗(8月29日現在)。
今季の南半球3カ国対抗(トライネーションズ)でも、ベストメンバーで臨んだホームゲーム2試合では世界ランキング2位の豪州と、同3位の南アフリカを圧倒した。

FLリッチー・マコウ主将、SOダン・カーターというFWとBKの中心選手が圧倒的な存在感を誇るなど、攻守ともに死角は全くと言っていいほど見えない。
ことに、トライネーションズ最初の2試合でも南アを1トライ、豪州に対しても50分間はノートライに抑えるなど完璧なDF力と、ターンオーバーから一気にトライを取り切るカウンターアタック力が他の追随を許さない。
グレアム・ヘンリー監督-マコウ主将のコンビは前回大会と同じ。4年前の屈辱をバネに地元で約四半世紀ぶりとなるW杯制覇に向けて、歩を進めていくことになる。

プールAにおいてNZの最大のライバルと目されているのがフランス。前述のとおり、4年前のフランス大会準々決勝(試合会場はウェールズのカーディフ)、そして12年前のウェールズ大会準決勝(試合会場はイングランドのトゥイッケナム)など、NZはここ一番で見せるフランスの爆発力に苦杯をなめてきた歴史もある。

今冬の6カ国対抗では初めてイタリア戦に敗れるなど精彩を欠いたが、夏のキャンプを経た8月の準備試合ではアイルランドに連勝。FWのセットプレーが安定し、BKラインの鍵を握る若き指令塔SOフランソワ・トランデュック、あるいはCTB/WTBオレリアン・ルジュリー、WTBセドリク・エイマンス、同ヴァンサン・クレールなどの調子も上がってきているだけに、フレンチフレアーと呼ばれる奔放な攻撃力が本大会で炸裂する可能性も十分ある。
ただし、過去のW杯を見ても、フランスは予選プールでは苦戦を続けるスロースターターの傾向があるだけに、初戦(9月10日ノースハーバー)で当たる日本としては、そのあたりにもうまくつけ込んで金星を狙いたいところだ。

9月9日の開幕戦でNZと対戦するのがトンガ。
前述どおり、前回大会では優勝した南アを追いつめ(25-30)、イングランドにも善戦(20-36)。サモア、アメリカを倒して今大会のシード権を獲得しだが、国内の財政基盤の問題もあって、多くの主力が海外でプレー。常にベストメンバーを組めない問題を抱えている。
W杯スコッドからFL/NO8ニリ・ラトゥ(NEC)は外れたが、NO8フィナウ・マカ主将(元トゥールーズ)やPRソアネ・トンガウイハ(ノーサンプトン)など、先のパシフィック・ネーションズカップ時は招集できなかったメンバーが加わり、7月に日本が28-27で辛勝した時よりも強力なメンバー構成となってW杯本番を迎えることにはなりそうだ。

日本が予選プール最終戦を戦うことになるカナダは8月6、13日に行われた米国との準備試合で2連勝。しっかりしたセットプレーと固いDF力が特徴だ。