復調きざしの王者・南アにフィジー、サモアのパシフィック・ネーションズカップ勢と6カ国対抗の雄ウェールズが挑む

Text by Kenji Demura

2大会連続3度目の優勝を狙う南ア(写真右がHOスミット主将、左はWTBハバナ)
2大会連続3度目の優勝を狙う南ア(写真右がHOスミット主将、左はWTBハバナ)
photo by Kenji Demura (RJP)

前回覇者の南アフリカ(世界ランキング3位)、6カ国対抗の強豪ウェールズ(同6位)、そしてフィジー(同15位)、サモア(同10位)のパシフィック組という実力国が並ぶ。

前人未踏のワールドカップ連覇に挑む南アは、実に浮き沈みの激しい4年間を過ごしてきたと言っていいだろう。
09年の南半球3カ国対抗(トライネーションズ)で5勝1敗で優勝したものの、昨年、今年と同大会で1勝ずつしか挙げられておらず、09年にフランス、アイルランド、10年にはスコットランドにも敗れている。
それでも、今季のトライネーションズ最終戦では地元でNZに18-5で勝利。オールブラックスはFLマコウ主将やSOカーターといった主力を欠く布陣だったものの、パワープレーでNZを封じ込んだことで、W杯に本番に向けて求心力が高まったことは間違いないだろう。

エキセントリックな言動で批判の声も多いピーター・デビリアス監督に比べて人格者と評価されるHO/PRジョン・スミット主将が4年前同様チームをまとめられるかもポイントになるが、競争の激しいスプリングボクス第1列でスミット主将自身、レギュラーが確約されているわけではない。
LOヴィクター・マットフィールドに代表されるパワフルなFW陣は健在。前回大会のMVPであるWTBブライアン・ハバナも相変わらず鋭い走りを見せている。

前回大会では予選プールでフィジーに24-28で敗れて準々決勝に進めなかったウェールズは、過去にも91年、99年のW杯でサモアに敗れるなどパシフィックアイランダー系を苦手とする面もあるだけに、フィジーに加えてサモアとも対戦しなければならないプールDの戦いは厳しいものとなりそうだ。
8月の準備試合ではイングランドとのホーム&アウェーマッチを1勝1敗で乗り切り、アルゼンチンにも23-13で快勝したが、SOスティーヴン・ジョーンズ、NO8ライアン・ジョーンズなど主力のコンディションにも不安が残る。170cm、80kgというサイズながらテストマッチ85キャップ、56トライを記録してきたWTBシェーン・ウィリアムスの走りに注目だ。

フィジー、サモアともに、日本が初優勝を果たした7月のパシフィック・ネーションズカップ(PNC)時とは、異なるメンバー構成でW杯に臨むことになる。
ことに、若手中心のメンバーで2大会連続での8強入りを狙うのがフィジー。
ベスト8に勝ち進んだ前回経験者は9人のみ。今年のPNCでの日本戦メンバーも22人中13人しかW杯スコッドに残っていない。
代表69キャップを誇るSOニッキー・リトルや元セコムのSO/CTBセレマイヤ・バイなどはスコッド入りしているが、前回活躍した元ヤマハ発動機のWTBヴィリモニ・デラサウや前々回活躍した同ルペニ・ザウザウニブカなどはメンバー落ちしている。

一方、サモアは7月の来日時のメンバーに加えて、センサス・ジョンストン(トゥールーズ)、HOマホリン・シュワルガー(ハイランダーズ)、WTBデイヴィッド・レミ(ロンドン・ワスプス)など、欧州やスーパー15の強豪チームでプレーするベテランが加わっている。
PNCではフィジー、トンガに敗れたものの、7月17日には豪州から金星を挙げており、現時点ではフィジーよりも期待値は高い。

第4回大会から4大会連続出場となるアフリカの雄ナミビア(世界ランキング20位)だが、強豪ばかりの対戦相手かつ中3日でフィジーとサモア、同じく中3日で南ア、ウェールズと戦わなければならない厳しい日程もあり、史上初のW杯勝利を手にするのは厳しい状況だ。