東日本大震災復興支援チャリティーマッチ 日本代表 vs トップリーグXV
マッチレポート

日本代表 49-7 トップリーグXV
【2011年6月26日(日) at 東京・秩父宮ラグビー場】

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キックオフは15:00だが、13:30の一般開場から会場内はチャリティーグッズの販売、メッセージボード書き込み、被災地の青果物の試食・即売などで賑わい、またピッチ上でも女子ラグビー体験教室、ラグビー親子体験教室が実施されるなど、盛りだくさんの趣向。
次週から開幕するIRBパシフィックネーションズカップ(PNC)前の日本代表と、エディー・ジョーンズ(現サントリーサンゴリアスGM兼監督/元豪州代表監督)率いるトップリーグXVが対戦するこのチャリティーマッチ企画を、多くのラグビーファンがサポートした。

試合は開始早々トップリーグの断固としたプレーに押された日本代表だが、徐々に盛り返した10分、ゴール前スクラムからサイドを突いたFL菊谷主将が先制トライ。また18分には、この日好調のSOウェブが、ややディフェンスの甘いトップリーグの密集サイドを突いて2本目。さらには、相変わらず鋭いランを見せていたNo.8龍コリニアシ、ハーフタイム前にはやはり密集サイドを抜け出た菊谷と、前半で4つのトライを奪った。

後半も日本代表が優勢。CTBニコラスが龍コリニアシとのループからディフェンスを切り裂き約35mを走り切ると、その後しばらく膠着したが、後半から出場のCTB今村がSOウィリアムスの飛ばしパスを受けそのままゴールへ持ち込んだ。そして最後は、菊谷がカウンターからそのアタックセンスを発揮してハットトリックを決め締め括った。
「難しい試合だったが、PNC、ワールドカップに向けたいい準備になった」とカーワンHCがコメントしたように、ミスも多く完璧とは言えない内容の日本代表だったが、7つのトライに100%のゴールキック成功率、相手を1トライに抑えて貫禄の勝利。

トップリーグXVは試合終盤にWTB長友があげた1トライに終わったが、「久しぶりのラグビー」と言うSHグレーガンが後半から出場してチームを牽引し、終盤20分の猛攻を生み出し、スタンドを大いに沸かせた。

試合後はピッチ中央で両チームが入り混じって輪になり、被災地の復興を祈願。「ジャージは分かれていても、みな日本ラグビーの仲間」とはマン・オブ・ザ・マッチに輝いた菊谷。「PNCで優勝を持ち帰ります」とピッチ上インタビューで宣言して喝采を浴びた。
その後も秩父宮は、西スタンドコンコースで300名のファンがチャリティファンクションで選手達と交流、オークションに参加し、18時頃にお開きとなった。(記・米田)

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会見ダイジェスト

◎日本代表
○ジョン・カーワン ヘッドコーチ

「東日本大震災の被害にあった東北に思いをよせて行った試合でした。この数ヶ月、東北の皆様は勇気を持って復興に取り組まれました。我々も代表ジャージで勇気を示すゲームにしようと練習してきました。選手はフォーメーションを守って、特にディフェンスは良い満足できるゲームになったと思います」

日本代表
カーワン ヘッドコーチ(右)、菊谷キャプテン
カーワン ヘッドコーチ(右)、菊谷キャプテン

──最後は守るだけになったが?
「確かに、最後の15分から20分は守る時間が長かったですが、ディフェンスは機能して、しなければならないところを良く守れていたと思います。ノーコンテストスクラムも含めてですが。ウォーミングアップの時から、良いパフォーマンスになると確信していました。ただ、今後の試合、今日のようではPNCで勝てませんので、さらに高めていきたいと思います」

──代表選考に漏れたトップリーグXVの3選手の印象は?
「3選手に限らず、どの選手も向かっていく気持ちの強さを実に良く発揮していました。特に山田選手は、前半、ディフェンスが厳しい中で、彼らしい力を見せたと思います」

──チャレンジできたところと、そうでないところは?
「アタックでは、これまでやってきたことを試しました。もう少しアタッキングシステムでの忍耐が必要です。ところどころで良い形もありましたので、来週の練習で向上させたいと思います。良いトライもいくつかあって評価できますが、来週サモアに勝つには十分とは言えません。明日からグラウンドで厳しく取り組んでいきます。トンガ、フィジーも欧州でプレーしている選手を呼んで、予想以上に力をつけてきていますので」

──FW4本、BK3本のトライで、ウイングのトライがなかったが?
「結論から言うと誰がトライしたかにはこだわりません。今日は多少、個人技が光るトライもありましたが、大方はスペースを確保してのトライでした。BKも直接トライはしないが、基盤をつくってくれました。ただ、来週は今日のようにうまく行くとは思っていません。キク(菊谷キャプテン)には、今日のように3トライしてほしいですが(笑)」

──ワールドカップのゴール設定は?
「まず、重要なことは2ゲーム勝ち、そこで次のワールドカップの出場権を得ることです。さらに、我々の課題は最初の2試合に勝つことです」

○菊谷崇キャプテン
「こんにちは。グラウンドでも話しましたが、チャリティマッチを開催できたことに感謝いたします。トップリーグXVは良いチームで、難しい相手だととらえていましたが、結果として日本代表が勝つことができて、PNCに向けて良い準備ができたと思います」

──今日のキャプテンはベストパフォーマンスだったが?
「今日は調子良かったと言ったら、JKからは『波をつくるな』と言われているので(苦笑)。これをスタンダードにしたいと思います。チャリティゲームだからと言って、しんどいと感じたら、この先やっていけない。もっと激しい試合をするんだと約束して30人が一丸となって臨みました」

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◎トップリーグXV
○エディー・ジョーンズ監督

「(日本語で)がっかりしました(苦笑)」
「(英語で)60分間苦しみました。ポジティブなゲームをしようと心がけましたが、スクラムの面でも苦労しました。厳しい試合でした。ただ、東北の皆様へ何かメッセージが伝えられたのではという気持ちはあります」

トップリーグXV
ジョーンズ監督(右)、廣瀬キャプテン
ジョーンズ監督(右)、廣瀬キャプテン

──日本代表はワールドカップでどのくらいやれると感じたか?
「最初の20分、ジャパンはフィジカルゲームを意図的にしてきました。来週以降、こうしたフィジカルゲームができるのかどうか。ブレイクダウンは非常に良かった印象を受けました。ディフェンスも非常に良く整備されています。あとは、そこを貫いて、いかに得点するかです。そこは苦しむかもしれませんが」

──ジョージ・グレーガン選手と箕内選手の投入は予定より早かったのか?
「後半はスピードアップしたかったのです。ジョージも箕内も後半最初からと思ったのですが、そうすると組織力が落ちてしまう可能性があったので。ただ、あれだけの時間なのに、箕内は特に凄い選手であることを示しました。ジョージも素晴らしかったですね」

──局面での良いプレーは?
「試合が終わってみれば、良いラグビーができたと思います。フェイズを重ねてボールも動かしました。最後も良く攻めました。ただ、ラグビーはやはりセットプレーですね」

──このジャパンのすばらしさは?
「答えはお分かりでしょう。今はフィジカルなチームに仕上がってきていますが、ミスが目立つ特徴があります。JKがそこでワールドカップで2勝できると考えているのでしょう。確かに選考は4~5年、一貫しています。それが彼の仕事でもあります。議論としてはいかに安定していけるかということでしょう。継続性をいかに図るかということです」

○廣瀬俊朗キャプテン
「ぼくもがっかりしました(苦笑)。もう少しやれるチームだと思います。一番、できたのは、東北へのメッセージで、一人でも二人でも、何か伝えることができたのではと感じます。そういう意味ではチーム全員に感謝しています。前半、特に最初の20分は、ぼくもヒートアップしました」

──フィジカルなゲームだったか?
「セットプレーを含めて、後手に回って小さなひずみが大きくなりました。もう少しポジショニングを遅くしても良かったのですが。意図した攻撃ができませんでした。監督のゲームプランは魅力的でしたが、ボールキープが難しかったです」

──ワールドカップでカナダ、トンガに勝てると思うか?
「カナダ、トンガとは(自分は)やったことがないので何とも言えません。やっているラグビーを信じてやるしかないと思います」

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