コーチング留学レポート7

コーチング留学レポートも今回が最終回となりました。今回のレポートでは、8月8日から21日にかけて行われた、セッションやイベントを紹介したいと思います。

 
レンジー・ハナムとのセッション(メンタルトレーナー)

レンジー・ハナム(Renzie Hanham)氏によるメンタルトレーニングセッション

8月8日には、数多くのエリートアスリートを指導した経験を持つメンタルトレーナー、レンジー・ハナム氏をお招きして「プレッシャーへの対処」について講義をしていただきました。結果ではなく過程を意識することや、自分でコントロール可能なことに意識を向けることの大切さなど、日本に帰国した後に周りからの期待に対処していかなければならない選手には、とても参考になる内容でした。日本で空手を学び現在は八段をお持ちのレンジー氏のお話は、多くの経験や具体例に基づいており選手達にはとてもよい刺激になったようです。

ITMカップ観戦

8月10日にはITMカップ(旧NPC)、カンタベリー対ワイカトの試合を観戦してきました。平日の昼間にも関わらず会場には沢山の観客が、地元カンタベリーの応援に駆けつけていました。残念ながらカンタベリーは勝利を逃してしまいましたが、試合後にはファンやESOLの選手達との写真撮影にも気軽に応じていました。トップ選手を身近に感じることのできるよい機会になったようです。

カンタベリー州代表の試合観戦

フェアウェルディナー

ESOLプログラムの最終週、8月17日にはフェアウェルディナーが行われ各選手には修了証書が手渡されました。ESOLプログラムで顕著な活躍、成長をみせた選手にはさらに賞が贈られ、その後、選手を代表してFrancisco Poppe Vieira de Almeida選手が感謝のスピーチをしました。最後には山奥崇喜選手をリーダーにESOLの選手がハカを披露すると、現地の生徒もセントビーズのハカで応え温かい拍手で幕を閉じました。

◎各賞と受賞選手
MVP 藤田慶和選手
Most Improved Back Prize(バックスで最も成長した選手) キム・ジョンホ選手
Most Improved Forward Prize(フォワードで最も成長した選手) サイモン選手
Best English Prize(最優秀英語賞) セミョン選手

お別れ会のとき

東福岡高校1年生チームとの練習試合

8月21日には15日から1週間の予定で遠征に来ていた東福岡高校の1年生との試合が行われました。この週、クライストチャーチは50年に一度の大雪に見舞われ大幅に予定変更があったものの、この日は快晴のもと20分×4ハーフ、セントビーズの16歳以下のチームとの試合となりました。この試合にはESOLプログラムの多くの選手が出場し、ニュージーランドでの最後の試合を思う存分に楽しんでいました。

セントビーズの1軍は、13日に行われたネルソンカレッジ(Nelson College)との試合に勝利しプレスカップを手に入れると、翌週20日には南島の代表を決める試合にて、オタゴボーイズハイスクール(Otago Boys High School)を相手にも勝利をおさめ、27日よりロトルアで行われるトップ4(全国大会)への出場を果たしました。準決勝ではウェズレーカレッジ(Wesley College)に37対24で敗れたものの、3位決定戦では、ネーピアボーイズハイスクール(Napier Boys HS)に36対36で引き分け、同率3位にてシーズンを終えました。ESOLプログラムは21日で終了となりましたが、3名(藤田慶和選手、キコ選手、バスコ選手)が1軍のメンバーとして大会に参加しました。

東福岡高校の1年生チームとの試合(山の手高校の先谷君)

コーチングプログラムを終えて

今回、ESOLプログラムのサポートをさせていただく中で、たくさんのコーチや選手と出会い、実際に目で見た経験から多くのことを学ぶことができました。日本とニュージーランドのラグビー文化には、もちろん多くの違いがありますが、学ぶことが多い一方で、改めて日本ラグビー(指導方法、練習への取り組み、戦術、環境などなど)の優れている点にも多く気づくことができました。将来、日本代表がオールブラックスや他の強豪国と互角以上に渡り合える日がくるかどうかは、「高校生以下の若い世代の選手が日本の優れている点に早い段階で気づけるか」、にかかっているように思います。ESOLの選手が今回の経験で大きく成長する姿を間近に見ながら、私自身も勉強になることばかりでした。このコーチングプログラムで学んだこと活かし、今後の日本ラグビーの発展に少しでも貢献できればと思います。

問い合わせ先:マーク・イーリー mailto:ealeym@xtra.co.nz
Facebook St. Bede's ESOL Rugby


コーチング留学レポート6

 
田中勝悟です

はじめまして。7月31日より中島光夫さんに代わり、ESOLプログラムの寮長兼サポートコーチをやらせて頂いております、田中勝悟です。現在、ダニーデンにあるオタゴ大学博士課程にてスポーツ心理学を専攻しています。ESOLプログラムの後半3週間を選手とともに過ごしながら、感じたことや学んだことをコーチング留学レポートの第6回、第7回でお届けしたいと思います。


ニュージーランドのラグビー文化

ご存じの方も多いと思いますが、ニュージーランドはラグビー王国です。町のいたるところにグランドがあり、2月から8月末まで毎週土曜日には多くの試合が行われています。そんなラグビーを愛するキーウィ(ニュージーランド人)の一番の注目は、なんといってもオールブラックス。7月上旬にスーパーラグビーのシーズンが終わり、7月22日には今季初戦、フィジーとの試合が幸運にもダニーデンで行われたので観戦してきました。

8トライを奪ったオールブラックスの圧勝でしたが、結果以上に強く印象に残ったのは「個々の判断と戦術とのバランス」です。私はニュージーランドにきて約半年経ちますが、高校生やクラブチーム、さらにはスーパー15のゲームをみていても、日本のチームに比べ、「決め事」やいわゆる「サインプレー」がとても少ないという印象を受けました。フェーズの中でそれぞれの選手がラインブレイクを試みる、といった感じでしょうか。オールブラックスにはそういった比較的個々の判断にゆだねられるプレースタイルの中で育った、能力の高い選手がいるからこそ組織的、戦術的なムーブの中でもトライに直結するプレーを瞬間的にイメージし共有できるのではないかと感じました。

フィジー戦の翌週、7月30日にはトライネーションズの初戦、オールブラックス対スプリングボクス、8月6日にはオールブラックス対ワラビーズの試合が行われました。こちらの2試合はテレビでの観戦となりましたが、ワールドカップに向け仕上がりの良さを証明する試合でした。オールブラックスの試合結果はテレビやインターネットのニュースで大きく取り上げられ、国民の関心の強さが伝わってきます。

 
練習風景1 練習風景2

ニュージーランドと日本のラグビー文化の違いは、練習と試合の方法や頻度にも見られます。ニュージーランドではスーパー15などのトップチームを除き、ほとんどのチームは週に2回程度しか練習を行いません。そのかわり、2月から8月までのシーズン中はほぼ毎週末試合をこなします。年間を通しての練習量は間違いなく日本のチームのほうが多いように感じますが、より多くのゲーム経験を積むこちらの選手は、試合の中で「勝負勘」や「ゲームの流れを読む力」を身につけているようです。また日本で中学生が行うジュニアラグビーは12人制、20分ハーフが主流ですが、こちらでは中学生、高校生の年代でも15人制、35分ハーフで試合を行っています。もちろんスクラムも大人同様に組み合います。若い世代がよりフルゲームに近い試合経験を積んでいることが、高校やクラブといったカテゴリーをまたぐ移行を容易にしているのかもしれません。

若い世代のラグビーの魅力は他にもあります。オールブラックスといえば、なんといっても試合前の「ハカ」が有名ですが、実はこの「ハカ」、各高校が独自の「ハカ」を持っています。1軍の試合の前には双方のチームが向かい合い「ハカ」を踊りますが、これがとても勇ましく見ている方も鳥肌がたちます。日本のチームが試合前に校歌や部歌を歌うのに似ているかもしれません。

 
キム・ジョンホ君のトライ St Bede's vs St Andrew's 試合前「ハカ」

さて、ニュージーランドの長いラグビーシーズンも残りわずかとなり、ワールドカップが近づいてきました。セントビーズカレッジの1軍チームは快進撃を続け、来週末はカンタベリー地区の決勝戦です。7月16日から2週間のホームステイを経験したESOLプログラムの選手達はすっかりこちらでの生活にも慣れ、通訳を必要とすることなく練習や試合で活躍をしています。プログラムも残り2週間となりましたが、カンタベリー州代表の試合観戦やメンタルトレーニングセッション、東福岡高校との試合などイベントがたくさんありますので、これらの詳細は第7回レポートでお届けしたいと思います。

問い合わせ先:マーク・イーリー mailto:ealeym@xtra.co.nz
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寮にて、左から忽那君、田中、白方君、望月君


コーチング留学レポート5

7月2日にカイアポイで行われた、日本A代表(日本選抜)vsノースカンタベリー州代表との試合を、ESOLのメンバーで2010年度高校日本代表メンバーの藤田君と見に行ってきました。冬も本番に差しかかり、とても寒い日でした。

試合は前半、日本特有の低く速いプレーは随所で光っていたのですが、コミュニケーション不足によるミスや、アンラッキープレーから、気持ちの切り替えに苦戦している様子で、五分五分の内容でした。後半からはA代表にエンジンがかかり、ターンオーバーの回数も増え、トライもほとんどがウイングまでボールを回し切り、組織的なプレーが目立ちました。結果は36-20でA代表が勝利し、NZ遠征を白星三つで飾りました。
試合後には、学生の僕と藤田君をアフターマッチファンクションに招いて下さったり、試合会場からクライストチャーチまでの帰りのバスに同乗させてもらうなど配慮をいただき、我々にとっては、とても有意義な時間を過ごすことが出来ました。

 
ファンクション 左からA代表の豊田選手、中島、土佐キャプテン

最近のESOLは、多くのコーチがセッションを行いたいと言ってくださり、新しいセッションが導入されています。先週は、クルセイダーズの元2軍コーチでもあり、去年はオックスフォード大学でコーチし、今季からはホンダヒートのコーチに就任するマレー・ヘンダーソンさんがコンタクトセッションを開いて下さり、ボールの持ち方やヒット後のドライブの仕方、ハンドオフの仕方などを基礎から応用まで教えて下さいました。最後にはオールブラックスのリッチー・マコウがよくやっているというタックル練習を行いました。

今回のセッションでは、クラッシュする寸前や、クラッシュ直後の体の使い方がいかに大事かを教わりました。ヒット後のドライブでは、胴だけでなく、腕の力と反動を使ってターンする事や、相手の体勢を見極めて、ウィークショルダーを狙ってヒットして押し込む事を学びました。また、リッチー・マコウ愛用のトレーニングでは、タックルにおける腕のバインドの重要性や、タックル後のボールへの働きかけなどを細かく教わり、今一度「タックルとは何か」について考える良い機会になりました。

 
中島、タックル 藤田選手、ハンドオフ

ボールの持ち方の練習

第二回 選手紹介 ((1)出身校とポジション(2)ESOLについての感想(3)将来の夢(4)中島コメント)

山奥 崇喜(やまおく たかき) 選手(写真左)

  1. 石見智翠館高校/スタンド、バックスリー
  2. 海外との交流が多くなり、英語力を向上させることが出来るのでとても良いです。また、他の高校との交流もあり、仲間が増えて嬉しいです。
  3. 体育の教師になることです。
  4. するどいステップが持ち味で強気な良い選手です。

望月 大幹(もちづき たいき) 選手(写真右)

  1. 静岡聖光学院高等学校/スタンド、フルバック
  2. 色んな国の仲間と練習が出来て楽しいです。また、高校トップレベルの仲間達と練習することで、学ぶ意欲や、負けじ魂がでてきて、とても充実した濃い日々を送ることが出来る場だと思います。
  3. 留学エージェントになることです。
  4. 感情のコントロールが上手く、冷静な判断の出来る選手です。

Francisco (Kiko) Poppe Vieira de Almeida(キコ)選手(ポルトガル出身)(写真中)

  1. Os belenenses club/インサイドセンター
  2. 限りなく貴重な経験であり、毎週のセッションはラグビー選手としての自身を向上させるのにとても重要です。ESOLでは、様々な国や文化を学ぶ良い機会です。日本人やロシア人、ケニア人と楽しく練習しています。また、セントビーズカレッジはラグビーのレベルがすごく高いので、自国より一段階上のレベルでラグビーが出来て、とてもためになっています。
  3. ポルトガル代表に入って、2019年の日本開催のワールドカップに出場することです。また、海外のプロチームに所属してプレーしたいです。
  4. ポルトガルのU18代表の選手です。完全なオールラウンダーであり、私生活でもジェントルマンです。
左から、崇喜・キコ・大幹


コーチング留学レポート4

こんにちは。2月に続き、6月14日もM6.3の地震がクライストチャーチを襲いましたが、セントビーズカレッジの建物・生徒共に被害はありませんでした。強い揺れは感じましたが、セントビーズカレッジの校舎は頑丈に設計されている上、地震後には再度耐震のチェックが行われたそうです。

さて、今回から数回にわたってのレポートでは、ESOLに参加している選手の紹介とインタビューを載せていこうと思います。また6月末に日本A代表がクライストチャーチ到着次第、そちらの様子もお伝えします。

選手紹介の第一回目ということで、今回は3人の選手を紹介します。
各人からのコメント((1)出身校とポジション(2)ESOLについての感想(3)将来の夢)とマーク・イーリーさん(セントビーズESOLの管理者)、私中島のコメントを付記します。

藤田慶和(ふじた よしかず) 選手

  1. 東福岡高校・フルバック 
  2. コーチ陣が常に側について指導してくれることや、選手達の意見も取り入れて考え、選手たちと同じ目線で真剣に考えてくれます。また、ESOLの最大の強みは、様々な国や高校から集まった選手がお互いにプレーを指摘し合い、切磋琢磨しながらセッションが受けられることです。世界中に友達の輪が広がり、すごく楽しい経験が出来ていることに感謝して残りの期間を過ごします。
  3. 夢はSUPER15の選手になりオリンピック・W杯に出場することです。

マーク:さすが東福岡のスター選手。こちらでも一軍のトライゲッターになっています。
中島:ポテンシャルは抜群!寮生活でも皆を引っ張ってくれています。

忽那健太(くつな けんた) 選手

  1. 石見智翠館高校・スタンド、フルバック
  2. 国は違っても、ラグビーという共通のものがあり、皆が一つになって頑張れる素晴らしい場所です。ラガーマンとして、また、人として成長出来る場だと思います。
  3. JAPANのメンバーに入ることです。一生ラグビーに携わっていきたいです。

マーク:二軍で留学プログラム生のトライ新記録(一試合に6本)を打ち立てました。
中島:ESOLで一番を争う向上心を持つストイックな選手です。これからに期待しています。

Simon Musatov 選手

  1. セブンズチームYUGに所属。15人制Krasnodarにも所属。・ウイング、フルバック
  2. 今までに経験したことのない素晴らしい企画だと思います。自分にとって良い環境です。
  3. 夢はセブンズのロシア代表になり、2016年のオリンピックで活躍する事です。

マークさん:セブンズの経験が豊富な選手です。二軍・三軍で頑張っています。
中島:時折光るプレーを見せてくれます。瞬発力が長けています。

(右から)藤田慶和 忽那健太 セミヨン

寮でのワンショット


コーチング留学レポート3

こんにちは。今回は、各スキル練習の内容と趣旨についてレポートしていきます。
キック練習では、選手を半数に分けて、相手陣のスペースに蹴り込む練習を毎回最初に行います。ボールの回転やキックの飛距離だけに満足するのではなく、落とし所が一番肝心だという事を特に意識付けられます。さらに3人一組で、2人の間に入っているディフェンス役1人にカットされないようにグラバーキックを通す練習や、ハイパントをチェイスの選手のスピードで競り合えるぎりぎりの位置に落とす練習などが行われています。いずれの練習も、捕球後1~2歩で蹴る事に集中して行われているので、緊張感のある練習となり、試合で使える即座の判断力が養われています。
さらに、一番驚くべき事は、BK・FW関係なく、皆が同じ到達点を目指して行われているということです。これも、NZがオールラウンドプレーヤーを生み出すことのできる所以だと思います。

 
セリイ DF、合わせ練習

パス練習では、ラインが伸び縮みした時のラインスピードの調節や、わざと2~3歩遅れてギャップを作って出てきているDFの穴をつく練習など、完全な決まりごとで行うのではなく、どのシチュエーションになっても正確に判断できる力を養う、試合さながらの練習です。
また、すべてのハンドリングの最中にはボールを下にさげずに、胸の高さの位置でパス・キャッチすることを徹底しています。スタンドからウイングまで球を回すことを考えると、パスによるボールのアップダウンが少ないことは、ラインスピードの向上はもちろんのこと、目線が上下にぶれないために、捕球しながらも前方のDFを確認する事ができるという大きなメリットがあります。スーパー15のクルセイダーズは、この意識を徹底するため、胸の高さの水位のプールの中でパスの練習を行っています。

体幹

コンタクト練習では、タックル・オーバー時の腕の使い方や、ラックの仕方などについて細かく学んでいます。相手を突き上げ、押し込む時に一番力が入るのは、脇を閉じて斜め下から上に突きあげる動作であるため、タックル・オーバーではその動作を徹底しています。ラックでは、「入口は狭く、距離は長く」をモットーに、タックルを受けて倒れるボールキャリアーは、倒れる時の体の運び方を意識しています。「進みたいだけ進んで、最後は責任を持たない」というプレーがいかに損をしているかについて教わり、ボールを繋ぐこと、奇麗なラックを作ること、そこまでがボールキャリアーの仕事である事を日々体で覚えています。

集合写真


コーチング留学レポート2

ESOLプログラムも始まって3週間が経ちました。
各国の選手達も日に日に仲良くなり、より良い雰囲気の中、練習が行われています。また、大きな怪我もなく、日々の体作りが大事だと実感しています。
ウエイトトレーニングのセッションでは、高校生達に対し、「連続性」が意識して行われており、筋力向上、一分間で回数をこなす筋瞬発力、休憩を挟まずに動き続ける筋持久力を養っています。僕自身も一緒にトレーニングを行っていますが、様々な種類のトレーニングを次々に行うことで、飽きずに楽しみながらトレーニングをすることができました。また、一分間という時間で全員が同時に取り組むため、モチベーションや雰囲気が盛り上がることも強みだと思います。

腹筋・体幹トレーニングのセッションも同様に、連続性を意識して行われています。軽いおもりを持って多い回数をこなすトレーニングや、重いおもりを持って少ない回数をこなすトレーニングなど、やはり筋持久力と筋瞬発力の両方を鍛える仕組みとなっています。それぞれに専門のコーチがついていることや、二つのセッションが日替わりで行われている事で、相乗効果が生みだされているようです。まだ時期が浅いので、これらの成果が出たかどうかは定かではありませんが、先週の18日に行われた大会では、ESOLの選手たちでチームを編成して参加し、見事、準優勝しました。

コンタクト

一方、フィールドで行うスキルセッションでは、リッチー、マブ(ファーストネーム)の二人がコーチングを行っています。内容としては、ディフェンスドリル、キック練習、ハンドリングスキル、コンタクトスキルと多岐に渡り、ラグビーの要点を網羅しています。練習時は毎回2~3つの事を覚えて帰るというのが目標とされています。闇雲に練習するのではなく、コーチ陣の話を聞いて実践、そこで相互に感じたことをディスカッションし、修正してまた実践する。といった様子で、決まった時間の中で回数をこなすというよりは、コーチ陣が求める動きを一度でもいいから再現することに集中しています。

 
リッチー 中島氏

また、リッチーやマブの特に素晴らしい部分は、自分達がプレーの説明や理論を述べた後に、必ず選手達に「自分はどう思うのか」について質問します。高いレベルで経験豊富な選手もかなりいるので、彼らの理論も聞いて取り入れ、もっと質の高い練習にしようとする志が感じられます。そのため、選手たちも上から押し付けられた課題を練習するというよりは、皆で頭をひねって考えたプレーの練習に取り組むといった雰囲気で、自主性が良くでています。練習の間、ほとんどは僕が内容を通訳していますが、リッチーもマブも少しだけ日本語が話せるので、時折日本語を混ぜて笑いをとったり、僕が遠くにいる時は日本語で選手に話しかけたりなど、各選手との一対一のコミュニケーションを大事にしています。コーチ陣も日々共に学び続けていることが、ラグビー王国NZの年々成長し続ける源でもあると思います。

ESOLのチームは勿論のこと、移民の国NZと言うだけあって、どこのチームも留学生が多く、選手たちは言語の壁を抱えながら大きな声と身振り手振りでコミュニケーションを取っています。この「何としても相手に伝える」という意気込みは物凄いと肌で感じました。寮生活でもお互いに注意し合ったり、励まし合ったりしている光景がよく見られ、皆でミーティングを開いて意見を出し合うなど、一人一人が自律・自覚しながら暮らしているようです。
6月には日本A代表の遠征に足を運び、合流したいと考えています。

2011年5月27日