マッチリポート
トーナメント表


早稲田大学 74-10 明治大学

【準決勝/2011年1月2日(日) at 東京・国立競技場】

稲田12トライ、ライバル明治に圧勝し決勝へ進出

準決勝第二試合は、早稲田、明治の伝統校同士の注目のカードとなり新春の国立競技場にラグビーファン28,500人を迎え入れた。
早稲田は前半、明治の強力FWの攻撃を15人の出足の早い鋭いタックルでペナルティトライ1本に抑え15-10。後半、早稲田はハイパントとテンポの速いBK連続攻撃から明治ディフェンスを破り9トライを挙げ、74-10と圧勝し、9日の決勝に駒を進めた。

前半、早稲田のキックオフ、明治は持ち味のFWの縦攻撃に対し、早稲田はオープン攻撃で対抗、早稲田の激しい前へのタックルが随所に見られた。開始6分に早稲田のタックルを受けた明治No.13衛藤が負傷でNo.21猿楽に交代。
前半16分早稲田、敵陣中央30mにてPGをNo.10山中狙うが失敗、その後の明治ドロップアウトキックより早稲田がラックから速攻で左オープンに展開し、No.11中濱が左タッチラインをギリギリに走りこんで先制のトライ。No.10山中G不成功。(5-0)

前半27分早稲田、キックからのボールをタックルで奪取、No.15井口へのパスから右ゴール寸前まで快走、明治タックルに倒されるが、井口がそのままタックルを振りほどきインゴールに飛び込みトライ。(10-0)
前半31分明治、敵陣左ゴール前でFWでのモール攻撃を仕掛け、早稲田のゴールを脅かす。明治は早稲田の再三のオフサイドを誘い出し、ついにペナルティトライを得て、No.10田村Gも成功。(10-7)
前半34分早稲田、明治キックからの再開を早稲田ラックから左サイドに速攻、15→3と繋ぎ、フォローしたNo.4岩井がインゴール左隅に押えてトライ。(15-7)
前半終了間際の42分明治、早稲田の反則から敵陣22mでNo.10田村がPGを成功させ(15-10)にてハーフタイム。

僅か1トライ5点差で勝利をどちらがモノにするのか緊迫したスタジアムの中、明治のキックオフにて後半開始、風上には明治がまわる。
後半開始1分早稲田、左10mPKより、速攻で9→10→15→No.14中つるが左サイドにトライ、山中G成功。(22-10)
後半7分早稲田、自陣10mから15タテに切り込み、ラックの早い球出しから10→No.12坂井がトライ、山中G成功。(29-10)
後半10分早稲田、FW縦突進からのラックを10→内15に返しゲイン、フォローしたNo.4岩井トライ、山中G成功。(36-10)
後半12分早稲田、敵陣10mラックから15→No.12坂井のクロスでそのままゴールまで走りこみトライ、山中G成功。(43-10)
後半18分早稲田、敵陣22m左にて明治のショートキックをチャージし、19→No.10山中でトライ、田邊G不成功。(48-10)
後半22分早稲田、敵陣左ゴール前ラックを10→No.11中濱へリバースパスで内に切れ込みそのままトライ、田邊G成功。(55-10)
後半25分早稲田、No.10山中のDG不成功。
後半27分早稲田、連続攻撃から最後にNo.18土屋がトライ、田邊G成功。(62-10)
後半31分早稲田、中央スクラムから左オープンで22がハンドオフで縦に突進し、No.13村田にリターンしてトライ、田邊G成功。(69-10)
後半33分早稲田、早稲田陣22mまで明治が攻撃したボールを獲得し、10→22→10と繋ぎ、No.20西田がリターンを受けて左隅にトライ。
74-10にてノーサイド。

早稲田は後半も速いテンポでの攻撃と徹底した前へのタックル防御から巧みにチャンスを繋いで得点を重ね、明治は競技場にどよめきが起こるFWの縦突進で時折ゲインするも後半は早稲田のディフェンスによりチャンスに繋がらず早稲田ゴールラインに踏み入ることが出来なかった。
早稲田は決勝では、慶應、東海を破り、チーム力の充実しつつある帝京との優勝争いとなり、2年ぶりの「荒ぶる」成就なるか、帝京が2年連続優勝を勝ち取るか、いずれにしても決勝戦は激しい好ゲームが期待される。
また明治は今シーズン強力FWも復活させた、来シーズンは更にこのFWを活かすチーム力を高め、ラグビーファンの期待に応えてくれることだろう。(高野 敬一郎)

早稲田 74-10 明治 早稲田 74-10 明治 早稲田 74-10 明治 早稲田 74-10 明治
会見リポート
 

明治大学の吉田監督(左)と杉本キャプテン
明治大学の吉田監督(左)と杉本キャプテン

明治大学

○吉田義人監督
「杉本キャプテンを始め4年生お疲れ様でした。覚悟を決めて日本一を目指したシーズンでした。明治のラグビーにとことんこだわってFWを強化し、対抗戦の早稲田戦で真っ向勝負しましたが、速い展開で要所で獲られ敗戦、課題を頂きました。FW、BKが一体となった攻撃で臨みましたが、早稲田さんのBKに翻弄されたというのが、今日のゲームだったと思います。我々明治は今年やって来たラグビーを、最後まで貫いて戦いました。14年日本一から遠ざかっているチームを導く難しさ、困難さを改めて早稲田さんに思いしらされたと感じています」

──順調だったところと意外だったところは?
「去年は身体のベースづくりでしたが、今年は接点の攻防を前提のFW強化をして来ました。杉本キャプテンを中心に順調に進めることかできました。ゲームで真っ向勝負する本来の明治のラグビーを取り戻すための強化でした。早稲田さんは、近年、地道にFWのワークレートを高め、BK一人一人のアタックレベルの鋭さを増して来ました。この1対1のところで、我々のBKのディフェンスが少しずらされたり、食い込まれたりしたところがこうした結果につながったと思います。今年は強化に関してはとにかくFWで、ある程度成果を挙げることができました。スコアがだいぶ離れてしまって、何を言っても仕方がないのですが、次は1対1を外されないタックルをしっかりさせて総合的なBKを育てていかなければならないと強く感じています」

──後半、立て続けに取られたが?
「ワークレートを上げてタックルした後も15人が一枚の面をつくり前へ出てディフェンスしようとしたのですが、早稲田さんのBKに見抜かれ、間合いを広く、アングルチェンジもされ、多彩な攻撃をされました。SOの山中くんがハイパントを多用し、こちらの処理のミスからゲインされ、再度ボールを確保され、トライに持ち込まれました。試合巧者の早稲田さんのBKに防御を破る攻撃力の高さを見せつけられました」

──早明戦と比べて?
「ハイパントをあそこまで多用するとは思っていませんでした。左右に速く展開と認識していたので、ちょっと想定外でした。スコアが離れてからは、山中くんの自由奔放な余裕をもったプレーをされて、このスコアになったと思います。坂井くん、村田くんも素晴らしいフィニッシャーでした」

○杉本博昭キャプテン
「本当にこの1年間、やって来たことが…(後が続かず)。早稲田さんの速い展開について行けずに、ちょっと食い込まれて、意外にタックルにやられました。しかし、このシーズンは僕にとって間違っていなかったと思います。FWを強化し、復活して勝ち始め、対抗戦ではそのパワーを発揮できました。大学選手権に入り、有効に力を伸ばしてきましたが、今日は自分たちのミスで勝利を逃しました。早稲田さんの方が上回っていたと思います」

── 一番足りなかったものは?
「対抗戦では1対1のところが敗因でした。大学選手権では1対1が絶対だぞと言って来ましたが、今日は最初に止めても、一人食い込まれて、早稲田さんにワイドに展開され、トライされたのが敗因です」

早稲田 74-10 明治 早稲田 74-10 明治 早稲田 74-10 明治
 

早稲田大学の辻監督(左)と有田キャプテン
早稲田大学の辻監督(左)と有田キャプテン

早稲田大学

○辻高志監督
「今日はありがとうございました。明けましておめでとうございます。点差はつきましたが、明治さんがここにいるからこそ、早稲田はこれだけ強くなれました。感謝しています」

──ハイパントを多用したが?
「確かに多かったかもしれません。特に意識はしていませんでした。ハイパントを選択するエリアが多かったためだと思います。山中のキックの精度、チェイスの精度が高かったと思います」

──後半は前半のディフェンスと違うように見えたが?
「特に指示していません。前半からセットもディフェンスも良かったので、ディフェンスで勝ってこいと送り出しました」

──大差がついても最後までタックルしていたが?
「一番感じたのは、出たくても出られない仲間のために、という気持ちがそうさせていたところです」

──(決勝の相手)帝京大学とは2戦目だが?
「大学選手権に入り、帝京大学さんはまったく別のチームになっています。対抗戦のことは頭にありません。今まで早稲田がやって来たことを100%出すだけです」

○有田隆平キャプテン
「今日勝てたことは本当に良かったと思います。明治戦だったからこそ、良い準備ができ、一人一人が戦うことができたと思います」

──15対10で突き放せなかったが?
「前半は引いた方が負けと思っていました。早稲田としても、簡単に放る軽いプレーが多かったので、あの形になったと思います」

──決勝に向けて?
「早稲田がやることは変わりません。決勝ですので、やりきりたいと思います」

──4年生のまとまりを感じるところは?
「キャプテンがこんななので、周りがしっかりサポートしてくれています。僕以上にリーダーシップをとってくれています。それが4年生のまとまりです。試合に出ていない4年生が週の後半ギリギリまで諦めない気持ちが練習で伝わって来ます。Aチームが本気で責任をもってプレーしていると感じています」