帝京 39-13 関東学院 帝京 39-13 関東学院 帝京 39-13 関東学院 帝京 39-13 関東学院 帝京 39-13 関東学院
マッチリポート
トーナメント表


帝京大学 39-13 関東学院大学

【一回戦/2010年12月19日(日) at 埼玉・熊谷スポーツ文化公園(県営熊谷ラグビー場)】

昨年度のチャンピオン帝京と、大学選手権決勝出場常連、そして王者として名を派していた関東学院。昨年も一回戦で対戦、同点ながらトライ数で上回った帝京が勝ち上がったという、因縁の対決でもある。この大学選手権一回戦屈指の好カードに、埼玉、熊谷ラグビー場には大勢の大学ラグビーファンが詰め掛けた。

開始2分、試合は早くも動き出す。帝京陣深い位置での帝京ボールラインアウト、このボールを獲得した関東学院は素早くBKへ展開、WTB小林直哉がタッチライン際を快走し左隅にトライ。5-0と先制する。

帝京もすぐに反撃。敵陣で得たペナルティからPGを決めて3点を返すと、好ディフェンスからターンオーバーしたボールを外へ展開、ハーフウェイ付近からFB小野寛智が一気にゴールまで駆け抜けた。

17分、関東学院もPGを決めて8-8。前半中盤までは一進一退の緊張感のある試合展開。しかし、22分、帝京FW陣が力強く前進しゴールライン間近まで迫ると、ペナルティ、チャンスでスクラムを選択。この場面でもFWが強さを発揮、最後は7番、キャプテン吉田がボールを持ってゴールへなだれ込んだ。続く24分、ピッチ中央でSH滑川がハイパント、日を正面にした関東学院がキック処理でミスすると、帝京が一気に圧力をかけ、NO8柴田一昂がボールを持ち一直線にゴールまで達した。スコアは22-8、帝京が徐々に力の差を見せつけ始める。

32分、帝京はFL吉田がラックのボールを持ち出し大きく前進すると、続くラックからSH滑川が絶妙なキック、WTB富永が冷静にゴールでボールを押さえてトライとすると、直後にもSO森田が中盤から快走、ゴール直前に迫り最後はFLヘンドリック・ツイが押さえた。前半、終了間際にもCTB黒川勝平が見事なランニングでトライ。39-8とする。

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やはり、力の差があるのか、思わぬ点差にスタンドにはため息がもれたが、後半戦、立ち上がりは関東学院が優勢に試合を進める。PR田中にシンビンがあってFWが劣勢となる中、10分、ハイパントからチャンスを掴むと狭いエリアにボールをうまくつないで、最後はWTB渡邊昌紀がゴール右隅に飛び込みトライ。39-13と追いすがる。

息を吹き返した関東は帝京の力ずくの攻撃にも好タックルで対抗。チャンスとなると積極的にボールを動かしてスタンドを沸かせる展開に。22分、帝京は自らの反則で自陣深くに攻め込まれると、ここでもオフサイドの反則。NO8柴田にイエローカードが出され苦しくなる。逆に大きなチャンスを得た関東はゴールまで5mの地点でスクラムからBK展開。キックを転がし一気にトライを狙うも、ボールはタッチラインを割ってしまう。続く25分には相手陣深くのラインアウト、直後のゴール前5mのスクラムからペナルティを得て攻めるも、細かなミスで得点するに至らない。

帝京も攻撃に転じるとややプレーの正確さを欠き、決定的な場面を作ることもできなくなっていく。前半に大きくリードをとったことが、かえって集中力の持続にはマイナスに作用したのか。

結局、その後、両者ともスコアの無いまま時計は進み、勝敗の行方は揺るがない時間帯へ。しかし、関東学院は必死のアタックを繰り返す。帝京も王者の意地で対抗。前半とは打って変わって、後半の40分間は関東が立ち上がりに上げた5点のみというロースコアな展開。実力校同士の因縁の対決も、最後はグラウンドにホーンの音が鳴り響く中、帝京、SH滑川がボールをタッチに蹴り出し、ノーサイドとなった。

会見リポート
 

関東学院大学の桜井監督(左)と大島キャプテン
関東学院大学の桜井監督(左)と大島キャプテン

関東学院大学

○桜井勝則監督
「今シーズンやってきたことを全面に出して、結果につなげたいと今日の試合に臨みました。前半立ち上がり、良い感じで先手を取れたのですが、大きな相手に対しての一対一の弱さやキックに対するカバーリングができず、相手に前に出られてしまいました。前半は自分たちが何をしていいのかわからない間に、点を取られてしまったという感じです。後半については、前に出てつなぐという、やろうとしていたことが、できたと思います。結果的には大差で負けてしまったゲームですが、来シーズンに繋がるような良いゲームだったのではないかと思います。結果としては残念ですが、4年生が残したものを糧に来年以降、3年生以下、関東学院のラグビーを継承していってくれると思います」

○大島脩平キャプテン
「立ち上がり先制することができて、自分たちのやってきたことが出せるのではないかと感じたのですが、相手のハイパントを中心とした攻撃に少し混乱してしまい、スコアを重ねられてしまったことが敗因だと思います。後半、自分たちの、前に出てボールをつなぐラグビーは貫けたと思います。それがスコアに繋がらなかった点は練習がまだ足りなかったのかと思いますが、関東学院で4年間ラグビーができたことは誇りに思っています」

──試合中、混乱してしまったという場面について。
「上のボールに太陽がかぶるということに対して、キャッチができなかったときのカバーリングもうまくできていなかったということです」

──後半、自分たちのラグビーができるようになった要因は。
「相手にボールを渡さずフェイズを重ねることができ、マイボールで展開が続けられたところが良かったと思います。点差的にキックを多用しても逆転はできないという状況が個々の意識を高めたと思います」

──FW戦でスタミナが奪われたということは。
「FWはやはり劣勢だったので、集散にも影響が出ていました。バックスでは前に出られると想定していたんですが、少し受けに回ってしまいました」

──後半に向けてロッカールームでは。
「キック処理のケアの部分と、ボールを継続するプレーの意識付けをしました。後半はバックスが一対一で勝つことができるようになったし、ツイ選手に対しても前に出て止められたのが良かったと思います」

──昨年の悔しい思いもあったと思うが。
「はい、ありました。自分たちは負けていないのに次に進めなかったということで、今年はという強い気持ちがありました。今日の試合の結果は、もちろん悔しいですが、すっきりとした気持ちもあります。最後に関東学院のラグビーを見せることができたとも感じています」

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帝京大学の岩出監督(右)と吉田キャプテン
帝京大学の岩出監督(右)と吉田キャプテン

帝京大学

○岩出雅之監督
「大学選手権のスタートにあたって、良いディフェンスから良いラグビーを展開しようとこの試合に臨みました。前半は思うように攻めることができて、ひじょうに良かったと思います。後半、学生が今後に反省を持つことができる、そういう意味で良かったと思っています。気を引き締めて次に臨めると思います」

──前半、後半の試合展開について。
「この試合に対しての意気込みというのは感じられていました。前半はそれが良い面に出ていましたが、点差がついて、後半は少し欲が出たかもしれません」

──ハイパント攻撃が多かったのは用意したプランなのか。
「風の強いグラウンドなのでキックは使いにくいと想定していましたが、幸いそれほどの強風ではなかったことと、太陽がまぶしくキック処理がしずらいようだったので多用しました。幸いしたポイントだったと思います」

──選手権に入ってラグビーのスタイルを変えたのか。
「短期決戦であるということでは違いがあるので、我々の強みをもっと出していこうという方向性はあります」

○吉田光治郎キャプテン
「優勝を目標としている自分たちとしては、この試合の重要性を認識して練習してきたことが、前半はしっかりと出せたと思います。後半は点差もあって心の隙ができてしまったかもしれません。次の試合は80分間集中できなくては勝てない相手となると思うので、修正して臨みたいと思います」

──後半に向けて、ハーフタイムでどんなことを話したのか。
「点差があったので、プレーが雑にならないようにと言って後半に臨みましたが、タックルが高くなってしまったり、前に出るディフェンスができなかったり、課題を残しました」