筑波 27-33 流通経済 筑波 27-33 流通経済 筑波 27-33 流通経済 筑波 27-33 流通経済 筑波 27-33 流通経済
マッチリポート
トーナメント表


筑波大学 27-33 流通経済大学

【一回戦/2010年12月19日(日) at 埼玉・熊谷スポーツ文化公園(県営熊谷ラグビー場)】

第一試合の興奮も冷めぬ熊谷ラグビー場。風は穏やかなものの、空気はひんやり冷たく、スタンドを埋めた大勢の大学ラグビーファンも防寒着に身を固めての観戦となった。今年の大学選手権一回戦で、その実力を測るという意味において、最も興味深い対戦となった、筑波大学対流通経済大学の一戦。

少し傾きかけた太陽の日を正面に受けた流経大SO宮脇がキックオフのボールを高々と蹴り上げ、熱戦の火蓋が切られた。

最初の攻防は流経大ボールのラインアウトから。バックスラインの間に入ったFW陣がディフェンスラインを力ずくで打ち破ろうとするも、逆に筑波大がボールを奪取、素早く展開してウイングまで渡るとタッチライン際を快走するも、これを流経大が阻む。サイズに勝る流経大に対して展開で勝機を見出したい筑波大。ゲームの流れを予感させる立ち上がりである。

スコアが動くのは6分。筑波大は相手のキックミスで得た敵陣でのラインアウトからFWがモールを押し、FL彦坂圭克が抜け出すとゴールラインへ迫る。ここは流経大ディフェンスが粘る。しかし、続くスクラムで気負いすぎた流経。筑波はFKを得ると早い仕掛けから、NO8山崎がトライ。5-0と先制する。

18分。流経大はピッチ中央で得たペナルティから、宮脇のタッチキックで相手陣深い位置でのラインアウトをマイボールキープ。FWがじわりじわりと圧力をかけると筑波大がたまらず反則を犯す。アドバンテージを得、BKへと渡ると宮脇が足にかけて転がしたボールをCTB飯岡隆夫がインゴールで難なく押さえトライ。ゴールも成り、5-7とする。

続く27分。キックの応酬からピッチ中央で筑波大がボールをキープ。ラックからBKに展開すると、WTB彦坂匡克がスピードで相手を振り切ってトライ。ゴールも成功し12-7と再びリード。

試合は筑波大のペースとなっていく。30分、流経大はNO8ヴァカウタ・イシレリが危険なプレーでイエローカードを受け、数的にも苦しくなる。積極的な攻撃の筑波大に対し、流経大はオフサイドの反則。筑波はPGで3点を追加すると、さらに、敵陣深い位置からのラインアウトのチャンス。モールで22mラインを越えると、6番、彦坂圭克がスルッと抜け出しトライ。ゴールも成り、22-7とリードを広げて前半を終えた。

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後半立ち上がりは数的有利が続く筑波大が優位に立つが、ややミスも目立ち、得点には至らず。対し、流経大は、イシレリのシンビンが解けペースを取り戻し始める。7分。筑波の不用意な反則から敵陣深くのラインアウトを得た流経大はFWの力強い前進で、最後はイシレリがゴールを割る。難しい角度のゴールを飯岡が決めて22-14と反撃を開始。

筑波大は大事なところで反則を重ね、対し、流経大はラインアウトから攻撃を仕掛ける。イシレリが攻撃の起点となって前進を図ると、LO小野寺優太が抜け出してトライ。ゴールも成って、22-21。ついに1点差まで詰め寄る。筑波大も負けじとラインアウトモールからゴールを陥れて突き放す。27-21。

残り時間は10分。息の詰まるような緊張感が熊谷ラグビー場を包み始める。流経大FW、敵陣ゴールに迫るとイシレリが強引にゴールラインを超え、再び1点差。3分後、流経大は自陣深くから果敢に展開、WTB葛原晃文がタッチライン際を快走、FWがうまくボールをつないで一気に敵陣22mラインを越える。ここで筑波は痛い反則。流経大はPGも狙える位置ながら、ラインアウトからのトライをとりにいく選択。筑波も必死のディフェンスを見せるも、HO池野暢晃がトライ、ゴールも成功し、27-33とついに逆転。

ここからの5分。逆転を信じて攻め続ける筑波大、必死のディフェンスは流経大。筑波大があと5mの位置でラインアウトを得たのは38分。FWが攻めてゴールを割ったかとも見えたが、レフリーの笛は再び5mを戻す。スクラムを何度か組み直す間にホーンが鳴り響く。場内にざわめきが起こる中、流経大がスクラムをグイと押し込むも、筑波大はバックスへボールを運び、一気にゴールへ迫る。流経大も寸前で食い止める。ゴールポスト真下、何度かFWでゴールに挑む筑波。外に数的優位もできていたが、逆転には7点が必要との思いもよぎったか。

筑波、満を持したかのように、ついにBKへ展開。ディフェンスを切り裂いてボールはゴールラインを確かに越えたのだが、最後の最後にボールをその太い腕に抱えていたのは、白のジャージ。あと数センチ。無情の笛とともに両チームのフィフティーンが芝に崩れ落ちた。歓喜は流通経済大、悔し涙は筑波大のものとなった。

会見リポート
 

筑波大学の古川監督(左)と川口キャプテン
筑波大学の古川監督(左)と川口キャプテン

筑波大学

○古川拓生監督
「結果的には2年連続で、最後のワンプレー、ゴール前数センチというところで勝ちきれなかったというところです。しかし、選手は良くやってくれたと思います。シーズンの中で思うように勝ちがとれず、チームとして迷いのあった時期もあったのですが、この選手権に向けてはしっかりと準備して自分たちの強みは出せたんじゃないかと思います」

──前半は良い流れだったが、後半に向けてはどんな指示をしたのか。
「前半同様に、内側にしっかりと圧力をかけながらボールを継続していこうということでした。結果としては自らの反則でリズムを断ち切ってしまったのかと感じています」

──けが人などの影響は。
「ありません。今日の試合についてはチームとしてしっかりと準備ができていました」

○川口皓平キャプテン
「まだ実感がわきません。これで僕たちのチームは終わってしまうんですが、今日出た22人、応援してくれた部員、サポートしてくれた部員、スタッフの方含め、皆さんに感謝したいと思います」

──流経と戦ってみて感想は。
「FWは強いと思っていましたが、BKで勝負して前に出られると思っていました。今日については相手の強さというより自分たちのミスでやられてしまったかなというのが印象です」

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流通経済大学の内山監督(右)と山崎キャプテン
流通経済大学の内山監督(右)と山崎キャプテン

流通経済大学

○内山達二監督
「大学選手権一回戦から素晴らしいゲームができたということ、筑波大の選手にも感謝したいですし、一ラグビー関係者としてもこのようなゲームをお見せできたことを誇りたいと思います」

──この試合にはどのようなイメージを持って臨んだのか。
「チームワークの良い筑波大なので、ユニットの部分をどうくずすのかなど、考えてきたのですが、前半は自分たちの戦術がしっかりできなかったところを、後半しっかりと立て直して、エリアコントロールして、そこからテンポを上げて攻めていこうということができました」

──キックを多用していたように思うが。
「相手陣にしっかりと入って攻撃できれば得点できると、自分たちのスタイルをしっかりやろうと指示をしていました」

──大学選手権初勝利のお気持ちは。
「大学選手権一回戦をやっと突破できて、ほんとうにうれしいですね。学生が大学選手権一回戦を突破してその上を目指したいという自覚を持って臨んでくれたことが、今年のチームの強さだと感じています」

○山崎基生キャプテン
「RKUの歴史を塗り替えようという強い気持ちで臨んだので、今日の結果は本当にうれしいです」

──この試合にはどのようなイメージを持って臨んだのか。
「筑波大はディフェンスが良いので得点はそれほどとれないと思い、こちらもディフェンスで対抗してロースコアで戦おうと思っていました。前半は少し堅くなってしまい流れが悪かったのですが、ハーフタイムで切り替えて、後半は迷い無くいけました」

──最後の場面、キャプテンとして、フロントローとしてどうだったか。
「気を抜くなと言い続けました。スクラムは試合前から圧倒しようと思っていました。最後のスクラムもしっかりとプレッシャーをかけられたと思います」