マッチリポート
トーナメント表


帝京大学 31-20 早稲田大学

【2回戦/2009年12月27日(日) at 東京・秩父宮ラグビー場】

帝京大学、早稲田大学に雪辱の勝利
果たして、早稲田大学は史上二校目となる大学選手権三連覇に向けて更に駒を進めることができるのか、一方、一年前の全国大学選手権決勝戦で10-20、今年の対抗戦では3-6と早稲田大学に苦汁をなめさせられた帝京大学は雪辱なるのか、見どころの多い注目の一戦が、快晴の秩父宮ラグビー場で2万人を超えるラグビーファンが見守る中、帝京大学のキックオフで始まった。

まずは互いにロングキックの蹴り合いやハイパントで攻め入る試合展開であったが、開始8分で均衡が破れた。帝京大がラックを交えながら早大陣内で左右に展開する中、WTB14番 伊藤が先制のトライ(5-0)。続いて14分、帝京大のオフサイドによるゴール正面のPGを今度は早大のFB15番 飯田が成功させた(5-3)。なおも早大は果敢に攻めるがブレークダウンでの相手の強いプレッシャーに阻まれボールをテンポ良く出せず、なかなか連続展開へと至らない。
一方、帝京大はラインアウトから右展開でつないであわやトライという猛攻。一度はゴール前で早大に食い止められたものの、28分、直後のゴール前スクラムから右に短く回し早大防御陣を突破してCTB13番 森田がトライ(ゴール成功12-3)。しかし、リズムを取り戻した早大も反撃を強め、32分、相手ゴール前からフォワード一体となったモールで押し込みFL7番 山下がトライ(ゴール成功12-10)。更に、ハイパントから相手のペナルティを誘った早大は、35分、ゴール前正面のPGをFB15番 飯田が決め、逆転に成功、前半を終える(12-13)。

互角の戦いとなった前半に引き続き、後半も予断を許さない緊迫した雰囲気で始まったが、開始早々の3分、早大のハイパントを帝京大がノックオン。早大スクラムから連続攻撃でSO10番 山中が抜け、パスを受けたPR1番 上田がトライ(ゴール成功12-20)。これで早大ペースになるかと思われたが、帝京大も負けじとLO5番ボンドやFL6番ツイなどを核とした強力なモールを活かして早大陣内に攻め込み、6分、ゴール前のラインアウトモールからツイが抜けて左隅にトライ(17-20)。更に攻撃の手を緩めない帝京大は、18分、モールをじっくり押し込みながら再びツイがトライ、早大に再逆転する(ゴール成功24-20)。早大は、相手方のモール攻撃に必死に耐えつつ奮闘したが、勢いに乗る帝京大は36分、味方スクラムからサイドを突き、ラック、モールから右サイドを抜けたFL7番 吉田が試合を決定づけるトライ(ゴール成功31-20)。ロスタイム4分、早大は最後まで反撃を試みるものの適わず、ノーサイドの笛が鳴った。

なお、帝京大学は、来年1月2日(土)、国立競技場にて明治大学と決勝進出をかけて対戦する。(小林吉文)

帝京大学 31-20 早稲田大学 帝京大学 31-20 早稲田大学 帝京大学 31-20 早稲田大学 帝京大学 31-20 早稲田大学
会見リポート
 

早稲田大学の中竹監督(右)と早田キャプテン
早稲田大学の中竹監督(右)と早田キャプテン

早稲田大学

○中竹竜二監督
「前半はやりたいことをやろうと果敢に攻めたのですが、自分たちのミスが多く、返されて、けれど、後半は自分たちのやることを見つめてプランを変えずに臨みました。帝京さんのプレッシャーで、あえなくこういう結果になりました。残念です」

──ゲームプランは?
「グラウンドを大きく使って展開ラグビーをしようと、対抗戦のときの3倍から4倍は動かそうというゲームプランで、うまく崩すこともできましたが、最終的に自分たちのミスで獲れなかったと思います」

──接点は?
「帝京さんの激しいブレイクダウンから早めに出させないようにしました」

──山中選手の交代は?
「山中が悪いというわけでなく、吉井のほうが敵陣に行く視野が優れているので変えました。しかし、足元が緩かったり、ハーフからのパスが良くなかったりして、あまり彼の良さを発揮できずに終わってしまいました」

──3連覇できなかったが?
「3連覇は最初から意識していませんでしたが、早田早稲田が取れなかったことは、私にとっても重く、責任を感じています。2回戦まで、選手たちは本当にがんばって来たので、指導者としての責任を感じています」

──出られなかったメンバーもいるが?
「今日は、早稲田はベストメンバーで戦ったと思っています」

──どういうところが足りなかったのか?
「今日に関して言えば、ディフェンスにこだわってきたチームがディフェンスで獲られたのが大きな敗因です。チーム作りとして、ここまでやってきたので、指導者としての反省は大きいです」

○早田健二キャプテン
「早稲田としてするべきことを出し尽くしたかったのですが、特に4年生は不完全燃焼で終わってしまったと感じています。ペナルティで相手につけこまれて、得点を許してしまいました。後輩たちには、堂々と胸張って、この悔しさを忘れず、1年、1年がんばってほしいと思います」

──後半、自陣から出られなくなってしまったが?
「チームとしても敵陣で戦いたかったのですが、キックの精度が良くないのと、その前のプレーでのミスが出て、プレッシャーがかかって反則してしまったと思います」

──後半、すべてペナルティから得点されたが?
「自分たちの持っていったときのオーバー・ザ・トップで、ブレイクダウンで普通に出せば良かったのに、倒れこんでしまったと思います」

──モールでも獲られ返されたが?
「ボンド選手、ツイ選手が核になって、たまたま帝京さんが良いモールを組んだということで、FWが負けたということではありません」

──出られなかったメンバーもいるが?
「いつの時点でも悔いはありません。でも、もう、あいつらとラグビーができないのは申し訳ないと思います。出られなかったメンバーの分までやると言っていたので、モールなど、今年、やってきたディフェンスで獲られたことだけは悔いが残ります」

帝京大学 31-20 早稲田大学 帝京大学 31-20 早稲田大学 帝京大学 31-20 早稲田大学
 

帝京大学の岩出監督(右)と野口キャプテン
帝京大学の岩出監督(右)と野口キャプテン

帝京大学

○岩出雅之監督
「前半、後半と早稲田さんの素晴らしい動きに、やや受けぎみになったが、学生が良くがんばったと思います。前半、立ち上がりから、上と横への攻撃に、我々はどう耐えられるかということがテーマでしたが、15人のつながりで修正できました。そのため、後半はゆっくり見ることができました。トライ数は上回ったが、早稲田さんの果敢なプレーに今日も良い勉強をさせてもらったゲームでした」

──徳永選手がすぐ退いたが?
「徳永がもう少し長くいてくれれば、もう少しボールを動かせたと思います。9月にチーム状態が良くなかったが、10月から上がってきて、早稲田さんとの対抗戦はディフェンス主体のゲームになったが、今日はもう少し積極的に行こうとしました。今日もボール争奪戦が厳しいと予想していましたが、早稲田さんも外へ回してきて、ゲームプランもシンプルなものに戻して、10月と違い、攻防とも厚みがあったと思います」

──厳しい試合が続いているが?
「今日も、前回も、慶應戦も関東戦も僕の心理は同じです。後半の部分は穏やかに見せてもらっています。ハーフタイムで送り出すとき、必ず逆転するだろうと思います。昨日も、今日のハーフタイムでうまく落ち着かせる仕込みをしておいたので、うまくいきました。学生の成長も感じます。良い意味での勝ち運も感じていますので、関東さん、早稲田さんの分もしっかり勝ち上がって行きたいと思います」

──次は前回、大差で勝った明治戦だが?
「ラグビーはスコアほどの中身の差はありません。一歩間違えれば、違う結果になるので、しっかり気持ちを持って、我々のラグビーをしようと思います」

──自信の部分は?
「最後はカンめいたもので恐縮ですが、学生を見ていて不安に思わないんです。前半は正直、少し不安な面を感じることもありますが、ハーフタイムから出て行くところを見ると、不安がなくなる。これは、彼らとのつながりの中で感じるんです」

○野口真寛キャプテン
「今日の試合は、去年の決勝で敗れた悔しさをしっかり胸に置いて、今まで練習でやってきたことを出し切ろうと、一人ひとりが集中しようと臨みました。トライ数は5対2だが、厳しい戦いで、ゴール前、獲り切りたいところで得点できたのがこの結果になったと感じています。早稲田さんという素晴らしい相手と戦えて、成長できました。早稲田さんの分もしっかり戦いたいと思います」

──前回と比べて?
「やはり、最後の試合で負ければ終わりの戦いなので、少しFWも前に出られたかなと思います。ブレイクダウンに関しては自分たちのほうが上という意識はありません。今までの試合を通して、序盤に比べてチームとしての力が付いてきたと感じます」

──徳永選手の途中退場は?
「まったく、動揺はありませんでした。徳永が抜けても次のプレーヤーを信頼していますから、大丈夫です」

──途中交代したのは?
「足がつっただけです」