10月19日、日本ラグビーフットボール協会において、「リポビタンDチャレンジ2009」カナダ代表来日シリーズに向けての、日本代表スコッド発表会見が行われました。以下、その概要をご紹介します。

太田GM(右)、ジョン・カーワンヘッドコーチ
太田GM(右)、ジョン・カーワンヘッドコーチ

◎太田 治・日本代表GM
「日本でのテストマッチは、5月の試合以来、半年振りになります。また、7月に決定した2019年ワールドカップ日本開催、7人制ラグビーの夏季オリンピックの採用決定後、初めての日本代表戦となります。国際競技力の向上が求められている中での、日本代表の持つ役割は非常に大きくなりますので、そういった部分をしっかり認識してテストマッチに臨みたいと思っています。

春シーズンを振り返ると、パシフィックネーションズカップの最終戦のフィジー戦で勝ちきれなかったことは非常に残念ではありましたが、強化の積み上げという点では、十分に成長できたシーズンだと私は評価しています。しかし、日本代表として戦う以上、勝利は絶対条件ですので、接戦を物にする精神力、さらなるゲームマネジメントの理解をカーワンヘッドコーチ以下、コーチングスタッフには指示しています。

今年度は新たに、日本代表スタッフによる出張指導を行っています。これまで東芝やサントリー、NEC等のトップリーグ、三菱重工相模原、早稲田大学など、各カテゴリーへの指導を実施してきました。日本代表の取り組みの理解と各チームのコーチ陣とのコミュニケーションを図ることができました。さらに選手の発掘という部分でも一定の成果が得られました。

今回は44名のスコッドを選出しましたが、春シーズンのメンバーをベースにトップリーグのパフォーマンスを見ながら選考しました。大学生も含まれていますが、今後の強化を見据えて選出しています。この中から11月7日のセレクションマッチを経て、翌日には、カナダ戦に臨む26名の日本代表を発表させて頂きたいと思います。

このセレクションマッチに関しては、埼玉県協会、埼玉県高体連ラグビー専門部、熊谷ラグビー場の協力を得まして、全国高校大会の埼玉県予選準決勝の終了後に実施させていただけることになりました。この場を借りて御礼申し上げます。近い将来、日本ラグビーを担う高校生の前で試合ができることを大変嬉しく思うとともに、我々の試合を見て、高校生が日本代表になりたいと思うような試合をしたいと思います。

また、今回のカナダ戦は「リポビタンDチャレンジ2009」として開催させていただくことになりました。日頃より日本代表のオフィシャルスポンサーとしてご支援いただいております大正製薬株式会社様、そして、ご協力いただいております関係者の皆様に御礼申し上げます」


◎ジョン・カーワンヘッドコーチ

「今回に関してのセレクションポリシーを説明いたします。
まず、セレクションゲームに向けて、2チームに分けます。一つがチャレンジチーム、もう1チームが現在カナダ戦に向けて想定できているチームでわけています。

今回選んだメンバーは今までの中で非常に魅力的な選手が集まっていると思います。11月のテストマッチですが、カナダは、13位、日本は14位というランキング。私どものターゲットとしてはトップ10入りが目標です。まずはカナダに勝って、ランキングを上げていくには非常にベストなチームが組めました。

私の中でうれしく思っているのは、前回日本代表に選ばれた選手たちが、トップリーグでしっかりプレーをして、伸びていること。また、今シーズントップリーグに入った新しい選手が成長していること。日本国内のレベルが上がり、日本代表のレベルがあがった中でカナダ代表と対戦することができます。
今回選んだ選手の中には、これから成長していかなくてはいけない選手もいます。そのようなプレーヤーに関しては、将来を考えた育成期間としています。その結果、一番いい選手が残って、共にカナダ戦に臨んでいきたいです」

記者の方からの質問に答えて

ジョン・カーワンヘッドコーチ
ジョン・カーワンヘッドコーチ

Q.セレクションマッチの2チームはそれぞれ思惑は違うが、期待する部分は?
A.形としてA対Bという言い方はしたくないが、現段階では、カナダ代表と対戦する、想定しているチームとチャレンジチーム。代表というものの格付けをしていきたい。

Q.スコッド中のノンキャップの大学生、この3人を選んだ理由、魅力を。
A.木津選手は、プロフィールにあるとおり、身長、体重、そして、NO8からHOに転向した選手です。彼のような選手は、HOとしては現状いない選手。見ている限り、スローイングに関しては、天性のものを持っています。もっと彼の中身を濃く見ていきたいです。中田選手も同じく、サイズが大きい選手です。彼を何回か見ていて、将来いい選手になるのでは、もっと中身を濃く見ていきたいです。
皆さんもご存知のとおり、現在、日本に不足しているスタンドオフ。山中選手はこの場で成長できるのか、このまま成長させていくのか見極めたい。
若い選手をしっかり見ていきたい。彼らは特別なサイズを持っている選手たちです。将来を考えて、継続して伸ばしていきたい選手たちです。これは過去にも選出した、三洋電機の北川勇次選手などは、ここ2年間で非常に成長しています。
今後、どう成長していくか見ていきたいです。

Q.怪我などで選べなかった選手は?
A.トンプソン(近鉄ライナーズ)選手は、足首を骨折してしまったと聞いています。あとは、足首の怪我をしてしまった豊田選手(コーラ)、と東芝の豊田選手。

Q.カナダはどんなチーム?
A.カナダ代表のコーチは1年前に変わっています。急成長しているチーム。彼は、オールブラックスのチームメイトでした。彼は早く寝て、早く起きる(笑)。
彼らはすごくフィジカルなチーム。きっちり組み立てるチームです。

まずはチームを戻すこと。まだ集合していないので、集合次第、しっかり見ていきます。日本スタイルであるキッキングゲーム、ボールをまわす、しっかりディフェンスしていくことをやっていきます。

Q.カナダ戦の位置づけは?
A.今、ジャパンは大変重要な時期。チームは今までの中で一番いいチームと思って、選んでいます。誰が出場できるかわからない。
私自身、このチームは、トップ10に入ることができる実力を持っていると思っています。
この2試合、日本がどのランクにいるか計れるいいチャンスです。この何年かの中でも一番大切な試合です。

Q.箕内、大畑、相馬などのベテラン選手が外れた理由は。
A.次のワールドカップまでと考えると年齢的に難しい。決して彼らが悪いというわけではなく、若い選手が伸びてきています。トップリーグというものがすごく成長してきている。若いプレーヤーがそこで成長してきています。
この先のワールドカップを見据えた選考です。

Q.アレジ選手は、どういう理由で入っているのか?
A.彼はドラゴンズ(ウェールズ)で成長している選手。現在、スタメンで出場しています。前回の日本代表のときに、彼に成長しなければいけない部分の話をしました。
それが成長しています。
また、海外での激しい試合でスタメンで出場しています。
皆さんもご存じのとおり、スタンドオフは、日本人では不足している。
しかし、入江選手は、チームメイトであるトニー・ブラウンから学んで、良いプレーヤーになっています。
これからテストマッチを戦っていく中で、「選ぶ」ということはできない。ベストチームで戦うこと。現段階では、ショーン・ウェブ、ジェームズ・アレジが戦うメンバーとなるでしょう。
2007年に話は戻るが、ワールドカップが終わった後、様々な選手を選んで見てきました。しかし、今年からのチームは2011年に向けたチームを作る。今までは、2011年に向けての「ドアが開いていく」ところだった。これからは世界に通用する若い選手を見ていくことがポイントになっていく。
とにかく、カナダを倒したい、ワールドカップ予選を突破しなくてはいけない。
ワールドカップに向けてしっかり準備をしていかなくてはいけません。

太田GM(右)、ジョン・カーワンヘッドコーチ
太田GM(右)、ジョン・カーワンヘッドコーチ