アジア五カ国対抗(A5N)、そしてフィジー入りする前の豪州合宿での対レッズ戦を経て、若いチームは確かな成長の実感を持っていた。 開始10分には、SOショーン・ウェブがパスダミーから大きくゲイン。自ら敵陣深くに蹴り込んだボールはサモアDFにキープされたものの、そのままキャリーバックに追い込んだ。直後のゴール前スクラムから、再びウェブがチップキックを転がすが、一瞬早くサモアDFに戻られてドロップアウト。15分には、またもウェブが転がしたチップキックをCTBライアン・ニコラスが押さえたが、オフサイドの判定でまたもトライならず。 間違いなくテリトリーでもボールキープ率でも上回っていた日本だったが、チャンスはつくるもののトライを奪うことはできず、逆にサモアに先制を許してしまう。 前半24分。自陣から攻め始めたサモアBKが、日本のDFラインのギャップをついて大きくゲイン。何とか日本ゴール前で食い止めたものの、密集で反則。ここで、何とサモアはスクラムを選択する。 まさしくワンチャンスをものにされて、先制トライを許したジャパンだったが、試合自体はその後も日本ペースで推移する。
「前半だけで、4、5回はトライチャンスがあった」そんなJKの感想は、この試合を見た人すべてに共通するものだっただろう。ジャパンの先発メンバーのうち6人は、この日、初めてパシフィック・ネーションズカップでプレーする選手だった。あるいは、前半、攻め込みながら取り切れなかったあたりにも、経験値の少なさは影響していたのかもしれない。 それでも、ハーフタイムで「自信を持っていこう」(カーワンHC)と送り出された後半、ようやく日本がサモアゴールのトライラインを越えるシーンが立て続けに見られることになる。後半8分。FKからの素早い仕掛けからNO.8菊谷主将、CTB平浩二がタテをついてチャンスを広げた後、ラックから左展開。ニコラス、WTB小野澤宏時とつないだ後、FBジャック・タラントが左隅に飛び込み(ニコラスのゴール成功)、10-12と追い上げた。 「60分間は意図した戦術で戦うことができた」試合後、菊谷主将がそう振り返ったとおり、この連続トライで逆転した日本は、1999年以来となるサモア戦勝利に大きく近づいたかに思われた。ところが、試合はこの後、一気にサモアぺースになってしまう。 自陣からでもどんどん攻め始めたサモアに対して、日本はワン・オン・ワンタックルを外され、カバーDFも追いつかないシーンが目立つようになり、最後の23分間で失4トライ。最終的には昨年、一昨年を大きく上回る19点差をつけられて、15-34で敗れた。 最終的に点差は開いたものの、テリトリーでも、ボールキープでも、日本が上回っていた時間帯は多かった。実際、昨年までのジャパンを知るシニアメンバーも、若いチームの成長に手応えを感じている。「インパクトプレーヤーが少ないのに、チームとしていい形で攻めることができるようになってきている」(LO北川俊澄) 残念ながら、PNC初戦のサモア戦では、経験の少なさゆえの、ゲームコントロールの稚拙さが出たのは紛れもない事実だろう。この先、ジュニア・オールブラックス、トンガ、フィジーと続く厳しい戦いを経験しながら、ゲームコントロール能力をいかに高めていくかが、この大会自体はもちろん、2年後に控える11年W杯に向けての成長の鍵になる。
◎日本代表 ジョン・カーワン ヘッドコーチ ◎日本代表 菊谷崇キャプテン
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2025.4.25 (金)
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