同志社大学 31-78 東海大学 同志社大学 31-78 東海大学 同志社大学 31-78 東海大学 同志社大学 31-78 東海大学
マッチリポート

同志社大学 31-78 東海大学

(2回戦/2008年12月28日 at東京・秩父宮ラグビー場)

東海大、初の四強。国立へ
関東大学リーグ戦1部を全勝で突破した東海大がこの日も安定した強さを見せた。自陣、中盤からはSO市原のロングキックで前進し、組織されたDF網が相手ボールを奪うと、CTB吉田を中心とするBKの切れのあるアタックにFWが次々とサポート。相手陣に入るとPR三上、HO岸を中心にスクラムで圧力をかけ、No8マウのサイドアタックからFLリーチの突進で確実な得点を重ねていく。決して攻撃に派手さは無いが、しっかりコーチングされた基本スキルの高さと一人ひとりのコンタクトの強さが、今年の東海大の選手権への充分な準備を感じさせた。

前半終了間際の41分、自陣ゴール前でのピンチにもゲームを切ることを選ばず攻撃へのこだわりをみせ、FW・BK一体となった継続プレーからNo8マウがゴールに飛び込み早くも勝負を決めた。
スタンドの印象に残った東海大の強さは、継続のスキルと攻撃へのこだわり。ボールキャリアが相手タックルの芯を少しずつ外して、タックラーの背後にドライブ。その両面にトップスピードでレシーバーが走りこんでボールをつなぐオフロードパスからの連続プレー。近年、継続のために相手足元へのラックを多用するチームが多い中、コンタクトの場面においてもボールを動かす継続への強い意思が今年の東海大の得点力の源となっている。

一方、この選手権に35年連続44回目出場の古豪同志社は力を発揮できずにシーズンを終えた。CTB釜池を中心にかつて花園を沸かせたプレーヤーが時折その才能を見せるが、チームとしてボールを動かせない。コンタクトの局面でも圧倒され、かつて外国人プレーヤーをものともせず執念のタックルと激しい突進でスタンドを沸かせた同志社FWのイメージが過去のものに思えた。
大学ラグビーファンにとっては、四強対決となる新年の国立での準決勝は最も楽しみな一日と言える。特に関西でも多くのファンを持つ同志社の四強復活を、来年こそはと願わずにはいられない。(照沼康彦)

会見リポート

同志社大学の中尾監督(右)と、太田キャプテン
同志社大学の中尾監督(右)と、太田キャプテン

同志社大学

○中尾晃監督
「前半はFW、特に外国人二人にプレッシャーをかけたかったのですが、軽量FWというところでトライを獲られて受けに回ってしまいました。ボールを散らして得点しようと意図しましたが、ブレイクダウンで取られて、向こうに継続攻撃されたのがこの結果になりました」

──小さいFWがよく戦ったが?
「かなりの進歩があったと思います。しかし、継続はできませんでした。(体格のハンディを)克服するためにはやるしかありません」

──花園経験者の数では劣らないが?
「花園に出ているから力があるとは限りません。チームの強化として、意図した選手が獲れているかも見ていただきたいです。関東は強豪のチーム同士でもまれて伸びている印象があります」

○太田春樹キャプテン
「東海さんの大きいFWとスピードのあるBKにブレイクダウン中心に圧倒されました。前半からボールを回したかったがブレイクダウンで後手を踏んだのがこの結果になったと思います」

同志社大学 31-78 東海大学 同志社大学 31-78 東海大学 同志社大学 31-78 東海大学 同志社大学 31-78 東海大学
 

東海大学の木村監督(右)と、岸キャプテン
東海大学の木村監督(右)と、岸キャプテン

東海大学

○木村季由監督
「本日はありがとうございます。とにかく、自分たちのアタックもディフェンスもやってきたことを出し切ろうと、攻める姿勢を出そうと臨みました。同志社さんの攻撃力は素晴らしかったですが、受けに回ることなく積極的によい試合ができたと思います。守りの部分で大きな課題ができましたので、時間は少ないが早稲田戦に向けて準備したいと思います」

──ミスは?
「あわてているのか、無理に行っているのか、コンタクトで優位に立っているのだからもう少し攻撃のつなぎを確実にしていきたいと思います。良いトライが獲れているときは、ラインのスピードも上がっていて良かったのですが」

──前半、最後のペナルティで回したのは?
「狙ったんだよな(と岸キャプテンに確認)。無理やりな部分もあったが、攻めるという判断でやりきったのは良かったと思います」

──国立の壁を突破したが?
「あんまり、過剰に意識しないでやっています。今日もあくまでも2試合目。学生もこのメンバーでまだずっとやりたいと言っていますし、変な意識をせずに来ました。結果的に国立は初めてですが、経験がないからこそできることもあります。我々には守るものは何もありませんから」

──間が短いが?
「まず、疲れを残さないこと。また、コンディションも大切ですが、休んで次の試合に臨んで勝てるほど甘い相手ではないので、普段どおりの練習をやって臨みます。早稲田さんは去年のチャンピオンチームで、場数を踏んでいてゲーム巧者という印象です」

○岸直弥キャプテン
「本日はありがとうございます。結果的にスコアは開きましたが、ちょっと獲られすぎというのが正直な感想です。アタックも、もうちょっとミスを減らして最後のトライまで、スコアにつなげられるようにしたいです。同志社さんの速い展開を、もう少しきっちり止めなくてはいけませんでした。この課題を次の早稲田戦に向けて修正します」

──前半、最後のペナルティで回したのは?
「セーフティより、強気の姿勢を見せたほうが良いと判断したためです。敵陣に入ってしっかり自分たちのアタックがやれれば、ブレイクダウンも有利でしたし、後半は相手の足も止まり、一気に離せると感じていました」

──キャプテンも3トライしたが?
「最初のトライもモールで練習してきたとおりでした。後半もしっかり早い時間に獲れたのが良かったと思います」

──いよいよ国立だが?
「東海として初めてというのは、すごく嬉しいです。ここからは経験したことのない世界ですが、特別なことをやるのは無理なので、練習どおり、自分たちのラグビーを出せれば良いと思います」

──良くなったのは?
「一人ひとりの状況判断です。技術的なものはそう伸びるものではありません。一人ひとりの判断が良くなったのがチーム全体が伸びたことにつながったと思います」