12月22日(土)

第一試合
慶應義塾大学 19-20 早稲田大学

わずかひと月前の関東大学対抗戦において激闘を終えたばかりの対抗戦3位慶應義塾大学と2位早稲田大学が、秩父宮ラグビー場で再び激突となった。前回は1トライ1ゴール差で敗れた慶大だが、入学当時から期待を浴びてきた4年生が9人先発となり、古田京主将を中心に気迫のこもった表情でグラウンドに登場する。

秩父宮の曇り空からは小雨が降り始め、何かを予感させるキックオフ。
早大SO岸岡智樹が慶大陣左奥にキックを蹴り込むと、ボールが滑るのか慶大BKがキャッチミス。ファーストスクラムをしっかりと組めた早大は、ブラインド側からWTB長田智希が攻撃参加してアタックの起点となった。SH齋藤直人は素早い球さばきで順目にボールを送り、慶大DFを集める。早大ハーフ陣は相手DFをコーナーに寄せたことを見極めると、一気にボールを逆サイドへ展開。SO岸岡からBKライン2人を飛ばすパスがWTB佐々木尚に送られ、先制のトライ。(0-5)

しかし慶大も直後の8分、SO古田が中盤での攻撃が停滞すると、思い切って早大DFの背後にロングキック。カバーに戻った早大岸岡の蹴り返しを、着実にチェイスした慶大WTB宮本瑛介がチャージ。そのボールがすっぽりと胸に収まり、早大岸岡は天を仰ぐ。逆転トライ。(7-5)

この日の慶大はSH江嵜真悟、SO古田が起点となってアタックに冴えを見せた。FWを走らせると、次は裏側のBKへのランプレー。早大DFが内側に寄ったところをSO古田のキックパス。ボールを動かすスピードが早大DFのリムーブを上回り、少しずつギャップを生み出す。さらに、狭いサイドでもBKのクイックハンズからタッチライン際を狙い通りに突破して、ゴールに迫った。

慶大の猛攻に早大は耐え続ける。DFのフロントラインで頑張るが、外側を突破されての背走が続く。最後の一人がもし遅れればもう届かない。そんなフェイズが繰り返される。
勝負のプレーがここで起こった。慶大は、SO古田の的確なコントロールで早大DFを崩し切って、WTB宮本が左タッチ際を独走。しかし、ゴール直前ダイブする宮本に早大WTB佐々木が逆サイドからのバッキング。身を挺してタッチに押し出すビッグタックル。早大の4年生として、わずか3人の先発組が粘り強いプレーで輝きを見せた。

ピンチを脱した早大は38分、ラインアウトモールを起点に攻撃を開始。CTB中野将伍のタテの突破とSO岸岡の変幻自在のランプレーで慶大DFラインを破ると、最後はPR小林賢太がトライ。わずか5点リードで前半を終えた。(7-15)

後半に入ると、慶大は勝利を手繰り寄せるために、トライだけを求め続けた。
15分、グラウンド中央でペナルティを得ると、キックを想定して目を離した早大DFの隙をSO古田がクイックアタックから外に展開。切り札FB丹治辰碩がタックルを振り切ってビッグゲイン。逆サイドにボールを繋ぐとNO8山中侃がインゴールに飛び込む。慶大が激しい気迫を見せた。(12-12)

この日の主将古田の判断は強気。得点差以上に早大への勝利にはトライのインパクトが絶対必要なことをチームに求めて奮い立たせる。その後も、早大インゴールに迫り、正面5mでのビッグチャンス。このペナルティでもスクラムを選択。必死でタックルの早大。この位置での2度目のスクラムが左に廻る。SH江嵜は、判断良くそのスペースを突くとタックルを引き付けてSO古田にパス。主将古田が求めていたゴールポスト中央へのトライで19対15とリード。
慶大に流れが来た。早大の気持ちは折れたか。

残り15分を使って、早大のアタックは力を振り絞る。

SH齋藤のコントロールでFW陣が突破を図る。LO下川甲嗣、NO8丸尾崇真の前へのドライブ、BKのランプレーとテンポが上がる。しかし、SO岸岡のハンドリングエラー、SH齋藤のパスが乱れる。コントロールが効かない。焦りなのか、雨のいたずらか。

わずか4点差での激闘に、慶大は執念を見せその気迫に早大は押された。

攻めきれない早大に観衆も結果を確信した後半40分にビッグプレーが起こった。後半から投入された4年生FWがチームを救う。慶大スクラムにかけた早大最後のプレッシャーがコラプシングの反則を誘発。

ここで試合時間終了のホーンが鳴らされる。早大最後のプレーは、トライでしか終われない。

早大はSO岸岡のタッチキックからラインアウトを選択。ミスをすればそこで終わる。クリーンキャッチからモール。そしてサイドを攻める。5mライン上のボールが、何度も慶大の気迫のタックルで押し返される。前に出られなくてもアタックを繰り返す。何度でも。

早大の最後の強みはFWとBKのバランスの良さと、グラウンド全体を俯瞰したアタックにあった。慶大DFがわずかに中央に寄った一瞬をSO岸岡が外にランプレー。ループでDFをかわすと繋いだボールは外で待つWTB佐々木に渡る。早大、執念のトライは佐々木だった。

なんと47分、激戦が終わりを告げた。(19-20)

慶大、早大、それぞれの4年生が学生としての意地をかけて躍動した一戦。これぞライバル対決。秩父宮にすがすがしい空気が流れていた。

(照沼 康彦)

<記者会見>

慶應義塾大学

〇金沢篤監督
「大学選手権になってからメディアの方に取材をお断りしたことについて、お詫び申し上げます。選手にプレッシャーをかけたくなかったのでこういうことをしました。
試合のほうは残念ながら負けてしまいましたけれども、選手のパフォーマンスは素晴らしかったと思います。お互いに早稲田と慶応はいつもこういう試合になりますけれども、その中でベストを尽くした選手を誇りに思います」


ー早稲田のディフェンスをどう切り崩そうとして、それができたのか、あるいはできなかったのか?
「前回やった時もそうだったんですが、かなりタイトなディフェンスなので、自分たちのフォワードは逃げないと言う事だったんですけれども、今日は外側のスペースをしっかり使おうと言うプランで、選手はそれをしっかり実行してくれたことで大きなゲインを外側でだいぶできたのかなと。自分たちのやろうとしたことができていたかと思います。そういう意味では、最初から最後までスクラムがキーだったのかなと自分としては思っています」


ースクラムについて?
「自分としてはプレッシャーをかけていたと思いますし、そこでのレフリーの判定の事は自分たちとしてはいろいろありますけれども、そういうふうに判定されたということで、自分たちの強いところあまり出し切れなかったところはありました。特に勝負どころですね。
最初も、ゴール前も、前回の試合もそうでしたけれども、ゴール前のスクラムがペナルティになり、そういういちばんキーになるところで相手側に判定が降りたので、ウチとしてはそういう意味では厳しいことになったのかなと思っています」


ー1点差の違いは?
「自分は正直、選手の力の差はなかったと思います。どっちに転ぶかは勝負事なので、1点差で負けたからどうとか、5点差で負けたからどうということはなくて、単純にお互いに素晴らしいパフォーマンスで、たまたま今回は早稲田さんに傾いたのかなと思います。それが、スポーツの残酷なところでもあるし、厳しいところでもあると思います。そこまで導けなかった自分の責任は感じています」


ー今年の4年生の4年間を見てきて?
「慶應には珍しく、才能のある子が何人かいる代で、最初の方はあまりまとまりがありませんでしたが、特にこの最後の2、3カ月間は、自分たちでプレーヤーのミーティングをしたりするなど大きな成長があって、それはラグビー選手としてもそうですし、人間としても大きく成長したなと感じています」

〇古田京キャプテン
「結果を求めて自分たちは4年間やってきました。チームの中には地道に裏の仕事をやってくださる方がたくさんいらっしゃって、そういう人が報われるのは結果だけなので、それができなかったことが全てであり悔しいと思います。
本当に多くの方が慶応ラグビー部での僕の4年間を支えてくださったので、そういう方々の為にも勝ちかったですけれども、はい、悔しいです」


ー最後の我慢したディフェンスは?
「4年間やって来た自分たちのディフェンスが、しっかり前に出たり苦労するというのができていたと思います。それが、僕たちのやってきたことだったと思います」


ー最後の場面のスクラムについて?
「はい、明確に自信を持っていました。判定の内容は僕にはわかりませんが」


ー早稲田のディフェンスをどう切り崩そうとして、それができたのか、あるいはできなかったのか?
「外のスペースをしっかり使ってアタックをしようというところで、それができたので得点ができたと思っています。裏のスペースもあるということを確認していたので。ただ、いくつかゴール前に入って取りきれなかったことがあったので、そこも敗因かと思います」


ー早稲田との差があるとすれば?
「僕はあるとは思わなくて、勝負事は色々な要素があるのかなと思います」


ー4年間を振り返って?
「本当に充実した楽しいラグビーのシーズンを過ごさせてもらって、本当に楽しい時間だったと思います。ただ、勝ちは付かないので、悔しいですね」


早稲田大学

〇相良南海夫監督
「まあ、とにかく一言だけ、勝ち切れたと言うか、最後、勝ったことが全てだと思います。ありがとうございました」

ービハインドの時の心境は?
「僕の方は、最後、ホーンが鳴るまで勝つことを信じて、選手を信じて見ていました。キャプテンが、今、怖かったと言いましたけれども、今週、選手の方から、場面ごとのシチュエーションを作った練習をしてほしいという話もありました。今週、残り数分という中で4点ビハインドというようなシチュエーション、想定でのチームアタック・ディフェンスとか、そういう練習をしていたので。まあ、それが良かったかどうかは分かりませんが、そういうところで最後は取り切るという意識だとか、選手がやはり絶対に勝つという信念を持って戦ってくれたので、結果が、今日、こういう風になったのかなと思います。ただ、やはり、慶應さんが4年間(うちに)勝っていないとか、この前も対抗戦で悔しい負け方をしているというところで、相当な気持ちの入れようで来ること、それから彼らは花園に慶應高校で出たメンバーが揃っていること、そういった意味ではしぶとさとか執念とかがあるという、そういう怖さはあったので、本当に今日は厳しいゲームになるなと思っている中で、本当に厳しいゲームになっちゃったので。まあ、でも、そんな中で本当に勝った選手たちは凄いなと思います」

ー佐々木選手の先発起用は?
「練習でのパフォーマンスが上がっていたこともありますし、今回は彼を頭からと。
それから、彼は高校時代、慶應高校との試合で終わっていますから、そういう思いに懸けたいなというところはありましたね」

ー反省点は?
「我々が何を強みにしているかと言うと、ディフェンスだと思いますが、ゲームの入りが大事だというところで、前半20分くらいまでは、何となくフワッと、アグレッシブさが足りなかったせいか前へ出られていなかったのですが。
何はさておき、簡単なミスがあまりにも多すぎたと思います。確かに、プレッシャーも強かったですけれども、ここを取ればという大事な局面でのミスが多かったので。
懸念していたのは、早明戦から3週間空いてゲームライクな練習がなかなかできなかったので、非常に心配していたのですが、それがゲームの中でちょっと出ちゃったかなと思っています」

ースクラムの連携は?
「スクラムは許容範囲じゃないでしょうかね。前半、ちょっと押し込まれる場面もありましたが、それなりに選手も修正して対応したと思うので、まあ及第点だと」

ー最後の相手スクラムの場面では?
「まあ、ちょっと万事休すかという思いもあったのですが、やはり、これはまだ(うちに)風があるなと言うか、正直そんな思いもしました」


ー準決勝は明治大学と当たるが?
「1月2日まで間がありますし、相手がどうのこうのと言うより、今日、一度死んだ身と言うか、もうそういう立場なので、とにかく自分たちのできることというか、これから一日一日成長してどれだけ明治さんにぶつかれるか、もう、それに尽きると思います。明治さんだからどうかと言うよりも、久しぶりに越える正月なので、自分たちの力をしっかり出し切りぶつけたいと思います」

〇佐藤真吾キャプテン
「内容としては、早稲田は正直、あまり良くなかったのですが、今、相良さんも仰ったように、勝ち切れたところが良かったかなあと。まだまだ、課題は沢山見つかったので、これからしっかりやって行かなくてはと思いましたし、気持ちとしては、とてもホッとしました。嬉しさよりもホッとした気持ちの方が強いです」

ービハインドの時の心境は?
「僕が入った時はビハインドを背負っていたんですけれど、その時は、皆も口にしていたのですが、非常に怖かったと。ゴール前であのような練習もあまりして来なかったですし、そこに関してはちょっと怖かったという選手がチラホラいました。まあ、でも、最後、粘り強く勝てたというのは、今年のチームの強みでもあるのかなというふうにも思いました」

ー佐々木選手の活躍は?
「佐々木の久しぶりの先発は、前の試合で途中から出場してとても良いパフォーマンスを発揮したので、そこの部分で身体を張ってくれるだろうという信頼はありましたし、今日もしっかり80分間しっかり前へ出続けてくれたので、非常に誇りに思います。尚は多分、部内一、ストイックな選手だと思います」

ー準決勝の相手は明治大学だが?
「自分たちのやって来たことをしっかりぶつけたいということと、最近、ずっと試合の入りが悪いというところを、もっと意識していかないと。選手権は何があるかわからないので、次の明治戦も、そこで喰われちゃうんじゃないかというところを意識したいです。
また明治さんはセットプレーが強いので、うちのスクラムは今日は安定しないところもあったし、まだまだこだわり続けられる部分はあると思うので、さらにここからこだわり続けていきたいと思います」

 

第二試合
帝京大学 45-0 流通経済大学

帝京大学にとって大学選手権10連覇がかかる今年のシーズン。関東大学対抗戦グループでは1位となったものの、明治大学には対抗戦での対戦だけでなく春・夏も含めると今年は3回とも敗戦と、今年は容易にはいかないと思われるシーズンになっている。
この帝京大10連覇がかかる大学選手権での初戦の相手は流通経済大となった。流通経済大は関東大学リーグ戦グループでは3位だったが、1位の東海大とは引き分けており、「帝京大を倒して大学日本一」を春からの目標にしているこのチームは帝京大としても決して侮れない相手である。

帝京大は対抗戦の最終戦を終えてから大学選手権までに3週間の準備期間があったが「けが人などもあり決して充実した準備はできなかった」(岩出雅之監督)という。このためか、この日のスターターにはこれまで先発の少なかったPR當眞琢、FL中野光基、CTB本郷泰司、WTB奥村翔らを起用してきた。

試合は、ロスタイムの逆転トライで勝負がついた第1試合早大対慶大の興奮が覚めやらない中で始まった。細かな雨が降り続く中、両チームの好タックルが続くが、雨のせいかノックオンが目立つ。9分、流経大陣内で帝京大がノックオンし、流経大がスクラムを得たが、そのスクラムで流経大FWがコラプシングの反則をとられた。すると帝京大はその中央35mくらいのPKからショットを狙わず、ラインアウトからトライを取りに行った。
マイボールのラインアウトをLO秋山大地がいいジャンプで獲得すると帝京大はLOジョセファ・ロガヴァトゥ、PR岡本慎太郎らがポイントをつくる。3回、4回とラックを作りSH小畑健太郎からSO北村将大にボールが渡ると、北村は流経大バックスのディフェンスラインが少ないのを見逃さずに右ラインへ。CTBニコラス・マクカラン、WTB木村朋也と素早く回し、木村がインゴール右隅に飛び込んだ(5ー0)。帝京大はいかにもあっさりとトライを取ることができた。

流経大も敵陣でのセットプレーを再三獲得するが、雨のせいかボールのハンドリングミスが目立ち得点チャンスにまではつながらない。18分、帝京大が敵陣に攻め込みスクラムを獲得すると、流経大FWがそのスクラムでコラプシングの反則を犯し、PR藤田紘輔がシン・ビンとなった。流経大はシン・ビンの時間、14人で戦うためPRを一時的入替えしてWTB中根稜登を下げざるを得なかった。すると帝京大SH小畑は敵陣ゴール前でのスクラムから、敵のディフェンスが薄くなったブラインドサイドを狙って走り込んできたFB竹山晃暉にパス。この日初スタメンのWTB奥村が竹山からボールをもらうとインゴールに飛び込んだ。流経大のシン・ビンで数的優位のある時間帯を有効に使った二つ目のトライだった。

帝京大が12-0とリードを広げたが、まだ前半22分。この点差では、流経大がすぐにトライを返せば勝負は最後までもつれるかもしれない。流経大は、27分に帝京大陣内に攻め込み、ラックでの帝京大のノットロールアウェイの反則を誘う。ゴールポスト正面のPKにも関わらずショットを狙わず、流経大はラインアウトからのトライを取りに行った。その直後の帝京大のノックオンでのスクラムから、流経大は敵陣ゴール前でCTB平井継之助、FLタマ・カペネ、FL坂本侑翼とつぎつぎにポイントを作りゴールラインを狙う。最後はPR小川寛大がインゴールに持ち込んだが、グラウンディングは認められずにノートライ。しかし、流経大はPR藤田がシン・ビンから戻り15人になり、さらにゴール前でのアタックを続ける。
31分、流経大はゴール前スクラムからのサイドアタックでラックから出たボールをLO山川遼人がもらいインゴールに飛び込んだ。今度こそトライかを思われたが、最後のプレーでの味方プレーヤーとの接触をアクシデンタルオフサイドととられ、再びノートライ。12-0のスコアのままハーフタイムとなった。この前半25分頃からの約15分間、帝京大の集中力が切れないディフェンスで流経大の何度にもわたるゴール前へのアタックを止めきったことがこの試合の勝負を決めた大きなカギだっただろう。

後半に入り、流経大が反則を犯すとそのチャンスを帝京大が生かすといったトライが続いた。後半7分、敵陣ゴール前のラインアウトでLO秋山がナイスキャッチ。LOロガヴァトゥが核になってモールとするとそのまま押し込んでトライ。(19-0) 12分には自陣から帝京大WTB木村がいいステップで抜け、グラバーキックで敵陣深くに入る。流経大もよく戻りマイボールとするが、流経大バックスが蹴ったキックが帝京大のエースのFB竹山の胸に収まると、竹山は流経大ディフェンスの中央を2人、3人、4人とステップでかわしそのまま中央を抜けゴールポスト下にトライ。竹山のゴールも決まり26-0と試合を決定づけた。

しかし、後半は雨の中、両チームともハンドリングミスが多く、なかなかいいプレーが続かない。流経大は10分に右タッチ際でWTB中根、FLカペネとよくつないだパスからコーナーフラッグ直前まで攻め込むナイスプレーもあったが、帝京大SH小畑、WTB奥村の好タックルによりノートライのまま。
一方、帝京大はハンドリングミスも多かったものの、その後も20分にWTB奥村、23分NO8マクカラン、38分WTB木村とトライを追加して計7トライ、45点を獲得。流経大を零封して大学選手権ベスト4進出を決めた。

帝京大は正月2日の準決勝では天理大との対戦となったが、今年の天理大はチームのバランスのとれたいい仕上がりとなっている。帝京大のチーム力は大学トップクラスなのは明らかだが、ベスト4に進んだ他チームはどこも強敵である。この日多かったハンドリングミスをしっかり修正しない限り、帝京大にとって10連覇への道は容易くはないだろう。

(正野雄一郎)         

 

<記者会見>

流通経済大学

〇内山達二監督
「最後のゲームですごく残念な結果でした。4年生中心に厳しいリーグ戦から一試合、一試合チーム力を上げて大学選手権でここまで来くることができました。去年、この大学選手権の舞台に立ったことがあるのは僅か一人しかいない中で、選手たちが成長してくれたことに満足していますが、結果を出せなかったのは残念です」

〇山川遼人キャプテン
「リーグ戦3位が決まった時点で、帝京大学にあたることはわかっていましたので、帝京大学に勝って大学日本一になることが目標でした。今日、力を出し切っていない選手はいない上での試合結果であり、また選手たちが一番まとまった試合でしたので、悔いは残っていません。負けは負けとして結果を受け容れたいと思います」

――実際プレーして帝京大学に通じなかったと感じたところは?
「前半の印象ではいけるかなという雰囲気でしたが、帝京大学は最後まで気を緩めず、ディフェンスをしてきました。後一本というところがすごかったです」

 

帝京大学

〇岩出雅之監督
「結果として、ベスト4に進出できて良かったと思います。次に天理戦がありますし、今日の試合の細かな反省もしっかり行い、うちの厳しさが出るように頑張りたいと思います。本日の試合内容としては、良いところや悪いところ、のんびりしたところや少し気合が入っているところがありましたが、今日の試合コンディションの中で、選手たちは精一杯やったと思います」

――選手たちに厳しさが少し出てきたところは?
「対抗戦が終わって3週間ありましたが、その間フルに練習ができたわけではありません。対抗戦後にけが人が出て、コンディションを崩した選手が多く、今日やっと集まった感じがありました。コンディションが悪い中で、学生も無難に終わったなという感じがありました。ディフェンスがすごく良かったからシャットアウトできたとは思っていません。大学選手権に学生たちが臨む気持ちが一つ一つ高まっていることが、グラウンドだけではなくロッカールームや選手のミーティングの様子で感じます。これからスイッチが入ってくることへの期待を込めて、少し甘めに言いました」

――準決勝・決勝に向けてのプランニングは?
「秘密です(笑)。まだ10日ほどありますし、この時期は我々の作戦だけではなく、学生がどのようにゲームの中でアジャストできるかが大事なので、今日の試合と天理大学をじっくり見て決めたいと思います」

――今日のスクラムについては進歩した印象があるが?
「3週間しっかり準備できた訳ではありませんでした。次戦にはけがしていたフッカーが復帰するので面白い試合になると思います。しっかりアジャストして臨みたい」

――直前に行われた、劇的な形で終わった早慶戦についての感想は?
「最後は取りきる早稲田さんの素晴らしさを感じましたし、最後の最後までのふんばりというものを、選手たちに伝えたいと思います」

〇竹山晃暉バイスキャプテン
「準決勝に進出できることを、個人およびチームとしても次へのステップにつながることで、喜びを共有したいと思います。自分およびバイスキャプテンとして、上手くいくことといかなかったことがはっきり出たので、自分たちが次にどう戦っていくのかを考えながら天理戦に向けて準備していきたい。10連覇して今年も大学日本一になることを年間の目標に掲げてきたので、その目標に向けてしっかりとプロセスを歩んでいきたい」

――どのような気持ちでプレーしたか?
「対抗戦と違い、ノックアウトゲームですので、『ここで負けてしまうと…』ということを意識して試合に臨みました。対抗戦と違う大学選手権の空気感をチームが味わうことができたため、今日の経験を次の天理戦に向けてしっかり活かしていきたい」

――相手を無得点におさえたことについては?
「ディフェンスの部分では、一対一のタックル、個々のタックルの精度を選手一人ひとりがチームの代表としての意識を持って臨みました。チームのディフェンスとしてもコミュニケーションが取れていましたし、一次のタックルがすごく良かった部分もありました」

――本日、ヘッドキャップをしていた理由と天理大学に対する印象は?
「脳しんとう防止と、リーダーとして決勝の舞台で有言実行をしたいので、ここでけがをしてチームに迷惑をかけないために、練習からヘッドギアをして試合に臨みました。天理大学については、中学・高校と一緒に戦ったライバルもいますので、リーダーシップをしっかり発揮して後輩をしっかり後押しできるよう準備していきたい」

――次戦相手の天理大学には、夏に2点差で勝利しているが?
「夏と次戦の試合とは違うものなので、今日行われた天理大学対大東文化大学の試合と照らし合わせながら、自分たちがやっていくことを明確に準備していきたい」

――前の試合の早慶戦への感想は?
「個人的には見ていませんでした。自分たちの試合に向けて集中していましたので、帰ってからビデオをみるつもりですし、チームとしてもそわそわする気持ちはありませんでした」