去る2008年7月13日、2008年度のトップコーチ会議が開催されました。 このトップコーチ会議は、JRFUトップチームコーチ資格(*)を保有する約60名を対象に年に1回開催されるもので、同資格の更新講習に位置づけられていると同時に、日本のトップコーチが一同に会し、日本ラグビー共通のテーマについてディスカッションし、自らのスキルアップ、ひいては日本ラグビー全体の強化を図る貴重な機会です。 上田副部門長のファシリテートで会議開始 勝田競技力向上担当理事より挨拶 今回は、本年5月にIRBにより試験的導入が決定された試験的実施ルール(ELV)が日本ラグビーに及ぼす影響について、グループディスカッションを交え意見交換を行いました。まずは、IRBより提供されたDVDによるELVの解説を全体で確認した後、レフリー部門より、河野レフリーコーチが同ルールの解釈について追加説明を行いました。その後、3名の参加者から、ELV導入の影響についての考察について発言があり、さらに日本協会競技力向上委員会情報科学部門の佐々木部門長より、ELV実施後の傾向について、データといくつかの映像を使い、客観的な観点での情報提供が行われました。休憩をはさみ、参加者を4グループに別け、いくつかの切り口からディスカッションを行いグループごとの意見をまとめ、午前の部門を終了しました。 昼食をはさみ、午前中のディスカッションの内容の発表を行った後、全体でのディスカッションで議論を深め、また、今回の参加者でもある、ATQコーチングディレクターの薫田氏より日本ラグビー強化の視点から、トップレフリーの戸田氏からレフリーの視点からの発言があり長時間にわたるセッションは終了しました。各参加者から、それぞれの視点からの意見が出されましたが、共通認識としては、(1)スクラムの重要性がますます高まること、(2)キックのカウンターアタック及びそれに対するディフェンスの重要性が増すこと、(3)キック、タックルなどの個人スキルの強化が更に重要となること、などが挙げられました。また、今回、フリーキックの適用範囲の拡大が見送られたこともあり、基本的にラグビーそのものが大きく変わるということはないのではないか、ということも共通認識として確認されました。 最後に、今回ゲストスピーカーとして招いた日本代表、フィットネス&コンディショニングコンサルタントのマーティン・ヒューメ氏から、「日本代表のフィットネステスト/プロトコル及び選手のマネジメントについて」と題したプレゼンテーションが行われ、日本代表及びワールドスタンダードについての説明、それらを日本全体の共通ベンチマークとしていくことの意義などについて語られました。 ELVの適用開始(8/1)を半月後に控え、このような場で様々な意見交換ができたことは、参加者にとって非常に有意義なものであったと思われます。日本協会競技力向上委員会コーチ部門では、今後も様々な視点で日本のコーチングの質の向上を目指し、各種活動を継続してまいります。 *JRFUコーチ資格制度の最上位に位置するコーチ資格で、トップリーグの指導者及び日本協会の各種代表活動のコーチングに関わる指導者に取得が求められるもの。IRBのLevel4資格とリンクしたものであり、総合的な知識とスキルが求められ、継続的な更新講習への参加等によるブラッシュアップが求められる。 トップコーチ会議2008スケジュール 開会: 10:00~10:10 勝田理事挨拶、会議趣旨説明 午前の研修: 10:10~12:30 (1)研修実施要領説明 (2)ELVの理解 IRB作成DVDの上映 (3)発言 「ELVはどのようにプレーを変化させるか」 参加者発言1 松尾勝博氏 参加者発言2 堀越正己氏 参加者発言3 川合レオ氏 (4)休憩 (5)映像とデータの提示 佐々木科学情報部門長 (6)グループ討議 昼食休憩: 12:30~13:15 午後の研修: 13:15~14:55 (1)グループ討議結果の発表 (2)全体討議 (3)休憩 (4)代表チームのフィットネス 日本代表F&Cコンサルタント:マーティン・ヒューメ 閉会: 15:00 まずはDVDでELVの内容を再確認 河野レフリーコーチより追加解説 立正大学・堀越氏 流通経済大学・松尾氏 玉川大学・川合氏 佐々木情報科学部門長よりデータの提供 グループディスカッション グループ発表 薫田コーチングディレクターより 戸田レフリーより 全体討議も行われた マーティン・ヒューメ氏のプレゼン