JRFUレフリーアカデミー海外研修報告

去る6月20日から30日の10日間にわたり、JRFUレフリーアカデミーの研修の一貫として、オーストラリア、ブリスベンで研修が行われました。オーストラリア協会所属のレフリーコーチ、テリー・オコナー氏の指導の下、アカデミー所属の小堀・橋元両レフリーが、現地でのレフリングの他、各種ミーティング、セミナーなど中身の濃い研修を行いました。

左が小堀レフリー・右が橋元レフリー Scott Young (National ARU Referee coach)とAndrew Cole (National ARU Referee selector)
左が小堀レフリー・右が橋元レフリー Scott Young (National ARU Referee coach)とAndrew Cole (National ARU Referee selector)

 

●スケジュール

6月20日(金)
オーストラリア、ブリスベン到着
テリー・オコナー氏と合流。宿泊施設にて翌日の予定の確認とオーストラリアU19の国内ルールの詳細を確認。
6月21日(土)
現地クラブU19ゲームのレフリング
Premier gradeの試合を観戦しながらテリー氏のコーチングフィードバックを1人ずつ受ける。
6月22日(日)
現地クラブU15ゲームのレフリング
小堀の試合をブリスベンの若手プレミアレフリー(Steven Lesczynski)がフィードバック。橋元の試合をテリー氏がフィードバック。
6月23日(月)
Off フリー
6月24日(火)
クイーンズランドレフリーのトレーニングセッションへ参加。クイーンズランドレフリーのミーティングに参加(メンタルタフネスセッション)。協会からネクタイ、キャップ、トレーニング着を頂く。
6月25日(水)
レフリー交流会
6月26日(木)
U19試合選抜大会 タッチジャッジ
6月27日(金)
U19試合選抜大会 タッチジャッジ
6月28日(土)
現地クラブU19ゲームのレフリング
6月29日(日)
クイーンズランド州U19のセレクションマッチ2試合観戦。IRBパシフィックネーションズカップ オーストラリアA vs フィージーの試合を観戦。テリー氏より前日の試合のフィードバックとコーチングを1人90分ずつ行う。
6月30日(月)
帰国

 

24日 メンタルタフネスセッション 29日 宿泊施設で1対1のコーチング
24日 メンタルタフネスセッション 29日 宿泊施設で1対1のコーチング

●参加者のコメント

小堀レフリー
「今回の研修に際しまして、Queensland協会、また日本協会レフリー部門の皆様のご支援を受け、このような機会に恵まれたことを感謝しております。お蔭様で有意義な10日間を過ごすことができました。海外の地で様々な刺激を受け、貴重な経験を積むことができました。
研修を通して一番印象に残った点は、やはり国も違うとプレーヤー1人1人が持っている常識や感覚も違ってくるということでした。日本国内の一般的な感覚と比べて、プレーヤーの規範意識や個々の持っている常識が多種多様で、日本社会の常識を備えた日本人のプレーヤーを相手にレフリーする感覚で、オーストラリア社会に生きているプレーヤーを相手にしてもマッチしないと感じました。おそらく、日本のプレーヤーが海外でプレーをした時などに現地のレフリーが示す基準に違和感を抱いたりするのと近い感覚かもしれません。
ゲーム中のマネジメントの仕方が甘かったりした時、ゲームがすぐに乱れてしまいました。日本であればプレーヤー側がある程度の我慢を受け入れて、レフリングとミスマッチしている部分とのバランスを微妙に保った状態でゲームの継続を期待できそうな状況も、個人の主張が強くてストレスの表現がストレートなオーストラリアでは、Yes or Noの判断を早く行い、適切なアクションをとらないとゲーム全体のマネジメントがより難しくなると実感しました。
個人的にも、反則の繰り返しやファウルプレーなどに対するマネジメント能力が弱いので、今シーズン意識的に取り組んでいきたいと思います。テリー氏の助言もあって、どのようなレベルでも自分のレフリングのスタンダードを保ち、現象に対してしっかりとプロセスのあるマネジメントが行えるようになることを今シーズンのゴールにしました。
シニカルなプレーに対する妥協無きアクション( Zero tolerance for something cynical )を意識して今後の活動に取り組んでいきたいと思います」

28日 Norths-QUT vs University of Qld Premier Colts 小堀 28日 Norths-QUT vs University of Qld Premier Colts 小堀
28日 Norths-QUT vs University of Qld Premier Colts 小堀 28日 Norths-QUT vs University of Qld Premier Colts 小堀

橋元レフリー
「今回の10日間のオーストラリア研修にあたり、日本協会、Queensland協会をはじめ多くの皆様にご支援を受け、このような機会を与えていただきましてありがとうございました。とても充実し、多くのことを学ばせていただいた10日間でした。
初めは習慣、環境、選手の違いに戸惑うこともありました。一番強く感じたことは、オーストラリアの選手は1人1人、個性や主張、気も強いので、白黒ハッキリ示さなくてはいけないということです。国も違えば、選手も違うので、レフリーもオーストラリアの基準に合わせてゲームをマネジメントしていかないといけないと感じました。少しでも妥協してしまうと(ファウルプレーなど)すぐ試合が荒れたりしてしまうので、コミュニケーション、カードの使い方、それまでのプロセスを大切にしてゲームをマネジメントすることが大切であると感じました。今回一番学んだことはこのマネジメントの部分でした。
サニックス大会でお世話になったサイモン・ムーアレフリーのゲームを見せていただいたのですがレッドカード2枚、イエローカード1枚が使われた試合でした。しかし、カードを使うまでにはしっかりとしたプロセスがありました。どの試合においても、ただカードを使うだけでなく、使うまでの『プロセス』が大切であると改めて感じました。
このような数々の貴重な経験を通して、今まで私が持っていたラグビー観や視野がさらに広がりました。今後は、この経験を活かしてゲームマネジメントの部分で反則の繰り返しやファウルプレーに対して、しっかりとマネジメントしていきたいと思います。
今シーズンはこの『プロセス』を目標に加え頑張ってまいります」

クラブチームGPS vs Logan U19試合 橋元レフリー クラブチーム Norths-QUT vs University of QLD U19 橋元レフリー
クラブチームGPS vs Logan U19試合 橋元レフリー クラブチーム Norths-QUT vs University of QLD U19 橋元レフリー