公益財団法人日本ラグビーフットボール協会(会長・土田雅人、東京都港区)は、2022年3月に始動した「ラグビー競技における脊髄損傷への再生医療適応プロジェクト」として、昨年度に続き、今年度も各専門家(慶應義塾大学医学部、札幌医科大学)による研究機関の取り組みへ協力することとなりましたので、お知らせいたします。

(ご参考: 2022年度の取り組みはこちら

 

■プロジェクト概要

ラグビー競技における脊髄損傷への再生医療の適応を推進することを目的としたプロジェクトチームを構成し、以下の研究機関①②の取り組みに協力いたします。本プロジェクトはラグビーワールドカップ2019日本大会のレガシーを持続させるための取り組みとして、RWC2019 レガシー実行特別委員会資金管理等規程に基づき運用しております。

 

①脊髄損傷へのiPS細胞による脊髄再生医療適応条件に関する研究費として

寄付先:慶應義塾大学医学部 整形外科学教室 中村雅也教授

寄付金額:7,500,000円

入金日:2023年3月31日

 

➁ラグビー等スポーツ選手における脊髄損傷に対する骨髄間葉系幹細胞を用いた再生医療の最適化の研究並びに教育研究等の奨励として

寄付先:札幌医科大学 山下敏彦学長

寄付金額:7,500,000円

入金日:2023年3月31日

 

■プロジェクト構成メンバー

メンバー

河野一郎(リーダー)、中村明彦(サブリリーダー)、山本巧(サブリーダー)

赤間高雄、田島卓也、坂根正孝、髙澤祐治

 

■土田雅人 公益財団法人日本ラグビーフットボール協会会長コメント

「ラグビー競技における脊髄損傷への対応は国際的な社会問題であり、当協会でも『安全なラグビーの普及・徹底』を掲げ、様々な取り組みを行っております。昨年度に続き、今年度もこの再生医療適応プロジェクトを通して、脊髄損傷の再生医療の適応への可能性、システムの確立へより一層の寄与ができればと考えております。ラグビー競技や日本国内に限らず、将来的には様々なスポーツや各国ユニオンとの国際連携、共有を視野にプロジェクトを進めてまいります」

 

■玉塚元一  一般社団法人ジャパンラグビーリーグワン理事長コメント

「日本ラグビーフットボール協会が推進する『重傷事故撲滅』と『安全なラグビーの普及・徹底』は、リーグワンの運営や取り組みにおいても非常に重要なことです。ラグビープレーヤーが安心して競技ができる環境の確保のために、今年度も日本ラグビーフットボール協会と一丸となって取り組んでまいります。本プロジェクトは、リーグワン参加チームのみならず、日本各地でプレーするラグビー選手のプレーヤーウェルフェアの更なる向上へとつながる大切なものです。リーグワンは、全国の様々なカテゴリーのラグビーチーム、プレーヤーへの手本となるよう、より一層、ラグビーの安全と安心への意識を高めて活動してまいります」

 

■中村雅也 慶應義塾大学医学部 整形外科学教室 教授コメント

「日本ラクビーフットボール協会から昨年度に引き続き、今年度も私たちの研究にご支援を頂けますことに、心より感謝申し上げます。スポーツ外傷において脊髄損傷は最も重篤な外傷の一つであり、麻痺のため著しく日常生活動作が障害されます。私たちはこれまで有効な治療法のなかった脊髄損傷に対するiPS細胞を用いた脊髄再生医療の実現に向けて、長年にわたり研究を継続して参りました。本プロジェクトを通して、受傷後早い時期から慢性期まで多くの患者さんに一日も早くiPS細胞を用いた脊髄再生医療を届けるために、チーム一丸となって研究に邁進していきたいと思います」

 

■山下敏彦 札幌医科大学 理事長・学長コメント 

「札幌医科大学では、2019年より脊髄損傷患者さんに対する自己骨髄間葉系幹細胞製剤(製品名:ステミラック®注)の静脈内投与による治療を開始しています。これは、厚生労働省の条件・期限付き承認に基づくもので、すでに100例以上の脊髄損傷症例に対しステミラック投与を行い、比較的良好な機能回復が得られています。投与症例の中には、スポーツに起因した脊髄損傷も含まれています。昨年度より、日本ラグビーフットボール協会のプロジェクトのご支援を頂いており、ラグビーによる脊髄損傷患者さんの救済に一層貢献できるものと考えております。また、今後さらに有効な治療法の開発にも取り組んでいく所存です」

 

以上