第1試合 京都産業大学30-52 明治大学 マッチレポート
この大会、両校はそれぞれシードで準々決勝からの出場となり、
東西対決。この日2試合目の準決勝対戦も帝京大学vs.
試合開始時の気温は7度。微風。
開始早々2分、京都産業大学が不運に見舞われる。
前半5分、京都産業大学陣内中央、
その後はやや明治大学ペースの展開が続く。
このあと明治大学11番海老澤選手が京都産業大学のタッチキック
京都産業大学にチャンスが巡ってきたのは27分。
このまま前半終了の流れかと思われたところ、
後半立ち上がりは京都産業大学がよくなかった。
京都産業大学の反撃は後半29分、
明治大のFW・
10回目の準決勝進出も今回もベスト4からの壁を越えられなかっ
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第1試合 記者会見レポート
▼京都産業大学共同記者会見
廣瀬佳司監督
「本日はありがとうございました。準決勝という事で、自信を持って送り出したのですが、テンポの速い明治さんに主導権を握られたなという感じでした。最後まで、本当に諦めずにトライを狙いに行ってくれた事を誇りに思います。今シーズンのチームは本当に三木くんがまとめてくれまして、正直、ここまで良く頑張ってくれたなあと。最後は明治さんに負けましたが、今シーズンの戦いぶりは誇りに思っていますし、この悔しさを糧に、後輩を育てて来年に向けて行きたいと思います。ありがとうございました」
―チャンスの所でのラインアウトの失敗は、今シーズンの高さとかを含めて、ちょっとやむを得ない部分もあったし、計算外の事もあったのか?
「そうですね。明治さんの高さは脅威だと思っていまして、前半は良くやってくれたと思います。スピードで相手をずらして、前の方でボールを取って、獲得優先でやってくれて。後半になって、そこに明治さんが合わせて来て、逆に高さに負けてしまいましたけれども、対策面で上手くやっていてくれたのではないかという点もありますので。ただ、ちょっと勝負所で取れなかったのが、2、3本ありましたけれども、あとは良かったんじゃないかと思います」
ーこれで10度目の準決勝敗退となるが、この壁を乗り越えるために何が必要になるのか?
「本当に、ここに来て、行けるのではないかと。今年は行ける、今年は行けるではね返されて、本当にベスト4の壁は厚いなと感じます。去年も言ったのですが、この場に立ち続けるしかないなと思いまして。そうしたらいつか、この壁が低く感じる時があるのではないかと思います」
ー試合早々、SOの吉本選手が負傷退場してが、その影響は?
「やはり、吉本で準備して来たものですから、立ち上がりに彼がいなくなったのは、非常に痛かったのですが、それを言い訳にせずに。まあ、那須も関西リーグではSOで何回も出ていますので、試合を良くリードしてくれたなと思っています。チームワークだと思います」
ー去年と比べて、目標に近づけたのか、それとも離れたのか?
「本当に、去年、一昨年の点差と比べると、どうだったのかなぁと思われるかもしれませんが、我々にとって、一年、一年がチーム作りですので。去年負けた瞬間に三木を中心にどういうチームを作るのかと。常に代も替わりますし、その時のメンバーによって変わって来ますし、本当に一年、一年、どう闘って行くかの積み重ねです。それで、毎年、毎年、今年はこういうやり方でチャンピオンシップを狙うぞという風にやって来ていまして、今年は今年の戦力を見てチャンピオンシップを狙うという結果がこれでした。また、来年は来年で考えて行くという事です」
ーポルテレ選手が後半20分位で交代した理由は?
「動きが落ちて来ていましたし、まあ、何かを変えたいと。まあ、テビタ選手も良いですし、彼の突破力を見せて欲しいなと」
ーヴェア選手の欠場は、試合に影響がありましたか?
「そうですね、早稲田戦は大活躍でしたので、居たら良いなと思いましたが、替わりに川口が80分間頑張って良いプレーをしてくれましたので」
三木皓正主将 (FL)
「本日はありがとうございました。とても良い準備ができて、必ず決勝進出を果たそうとチーム一丸となってやって来ました。試合が始まって、明治大学さんのアタックに、自分たちが想定していたよりも速いテンポで回されて、自分たちの強みであるタックルをできなかった事が今日の敗因だと思います。ですが、最後、自陣からモールを組んで、ペナルティをもらってトライをした事は、自分がこの4年間やって来た事は間違っていなかったと思えるものでした。ありがとうございました」
ー明治の伊藤耕太郎選手にギャップを突かれたが?
「フィジカルに徹しようという事で、一年間、鍛錬を積んできて。あそこのフィジカルでイーブンになってしまうと、やはり明治さんのテンポにやられてしまって、上手くディフェンスできなくなって。それに尽きると思います」
―試合前は高校生みたいな気持ちだと仰っていたが、率直に今の気持ちは?
「自分について来てくれた仲間に、本当に感謝しています。それだけです」
―後輩に向けては?
「やっぱり、なんとかこの壁を乗り越えてほしいと」
ーハーフタイム前に、明治がショットでなく、トライを狙って来た時はどう感じたか?
「まあ、バトルしようと。それだけです」
ー後半、三木キャプテンが何回もジャッカルなどでチャンスを作りながら、モノにできなかった時は?
「自分自身の実力が無かったというか、精一杯準備したつもりでしたが、それが明治さんのラインアウトとモールだと」
ー明治のアタックにどういう印象を受けたか?
「やはり、BKもFWもショートパスをつながれて、それで、どうしてもダブルタックルがしづらい状況になりました。僕たちも掲げていたのですが、パスとか平日の技術が自分たちのディフェンスとマッチしなかったかと思います」
ー予想していたより、明治のショートパスが多かったのか?
「そうですね。そうだったと思います」
ー春、自分たちは弱いと仰っていたが、1年間でチームはどのように変化したか?
「このチームを一人で背負う覚悟で春から始めて、まあ、彼らを頂上には連れて行けなかったですが、京産大の文化を継承する者としてチーム一丸となって、モールにこだわり続けた事が4年間のすべてだと思います」
ー後輩たちに引き継ぐ事があるとすれば?
「とてつもない努力でしょうか。僕は4年間、それをやり続けましたが、足りなかったので。もっと、彼らには僕以上の努力を。(その努力を続ければいつかこの壁を乗り越えられると)思います」
廣瀬佳司監督、三木皓正主将
▼明治大学共同会見
神鳥裕之監督
「今日はどうもありがとうございました。今日、地震で大変な中、試合ができた事を本当にありがたく思っています。試合においては京都産業大学さんの素晴らしいパフォーマンス、彼らの持ってる強みと、我々の持ってる強みがぶつかり合うような素晴らしい試合だったんじゃないかと思います。まあ、その中で、明治大学のラグビー部としてのプライドをしっかりと示してくれた選手たちを本当に誇りに思いますし、今週1週間、メンバーだけでなく、ノンメンバーも含めて全員が良い準備をした結果だと思います。いよいよ決勝ですので、良い準備をして向かって行きたいと思います。ありがとうございました」
―チームの成長とさらにもっとやりたいという事があれば?
「本当にこのチーム、一戦、一戦、試合を追うごとにまだまだ成長していると実感していますし、今日は自分たちの、明治のラグビーを同じ絵で見つつあるかなと。今,キャプテンが言ったとおり、トライを取りに行く姿勢であったりとか。本当に、皆が思う明治のラグビー、トライを取るラグビーを体現してくれたという部分であったりとか。あとは、自分たちの強みであるフィジカルの部分、相手の外国人含め、相手がやりたい所をしっかり止めて、自分たちの強みを出して行くという。本当に逃げる事なく自分たちの持っているものをしっかりぶつけ合う、そういうラグビーができている所がここ一番の成長かなと。そういう意味では、最後のトライを取った場面は非常に良かったのですが、取られた時間帯lも、最後は締めて終わりたかったという所があると思いますので。本当に長い80分間の中でしっかりと戦い続けるという事に関しては練習したいと思います」
―ショートパスは京産大対策だったのか?
「相手の特徴というのは、今日の試合に限らず、しっかりと準備しながら戦って行く訳ですけれども、パスを使ったり、オプションを使ったり、BKを組み合わせたりについては、この1年間を通してチームのアタックとして準備して来た事ですので、やって来た事をしっかり遂行できたというのが強いと思います」
―ライン攻撃に対し、非常に良いディフェンスだったのは?
「自分たちがボールを保持している時は非常に我慢強く、一気にビッグプレーを狙う事なく、フェイズを重ねて、チャンスに仕留めるという、本当に理想通りのアタックができたと思います。ラインアウトに関しても、モールのアタックの所はトライも取れましたし、自分たちの練習している成果が出ていたと思うので、やはり、ディフェンスの所ですね。相手もモールにBK全員が入って来るという捨身のモールだったので、ああいう状態を作る前にしっかりと止め切るという事が重要なんだなと感じた試合でした。こういう所はしっかり修正したいと思います」
―決勝に向けて?
「いつも、こういう質問に関しては同じ答えになるのですが、特別な準備というのは、このタイミングではないと思うので。当然、相手の分析というのはやりますので、特徴というのはしっかり把握した上でメッセージを出して行く事になると思いますが、軸足は自分たちのラグビーをしっかり遂行できるかという事が肝になって来ますので、ちょっと余裕のある日にちがありますので、しっかりとリカバリーをして自分たちが1年間やって来た事と、明治のラグビーをしっかりと集大成としてお見せできるようなクオリティで準備をしたいと思います」
廣瀬雄也主将 (CTB)
「今日はありがとうございました。昨日、日本海側を中心に地震があって、自分たちが今日試合ができる事は当たり前じゃないので、今日、試合をできた事にすごく感謝しています。京都産業大学さんはFWの所を強みにしていますし、僕たちも強みにしていまして、前半、最後のプレーの選択が象徴的だったのですが、そこでトライを続けて、後半につながって良い流れができました。次につなげて行きたいと思います」
―前半最後にモールを選択した所、その前のプレーで京産大に割られた場面があったと思うが、それでもモールを選択したのは?
「学生のノックアウトの戦いの中では、流れとか、選手の勢いというものがすごく大事になって来ると思いますが、トライを取りきれなかったけれども、そこでショットを選択する時点で僕たちの負けだと思っているので。明治の強みというのは、そこのFWとかBKとか関係なく前に出る精神だと思うので、そこで一度トライを取りきれなかったからといって、違う選択をするのは絶対明治のラグビーじゃない、そこでもう一回、モールを選択してトライを取りきったのが、後半の流れにつながったんじゃないかと思います」
ーそこでトライが取れなければ、流れが相手に行ってしまうというリスクは考えなかったのか?
「まあ、そこは考える必要はないかなと思います。そこで取り切るというのが明治のFWなので。そこで、もし取りきれなかったとしても,どこかでもう一回、明治のFWの強みやBKの強みの所でトライを取り切る自信があったので、そこを選択しました」
―今日は、前半は内に返し、後半は外に回して、京産大のラインを撹乱したが、意識してやったのか?
「自分たちは今年始まった時から、BKが色々なオプションを使うというのはずっとやって来たので。やはり、オプションが一つになってしまうと、相手もディフェンスの的を絞り易くなるので。先程、京都産業の三木さんが言っていたと思いますが、ショートパスのオプションをする事で、京都産業の強みであるタックルの所を、ディフェンスの所で負かす事ができたので。そこを、京都産業大学さんに限らず、BKのオプションで惑わすというのは昔からやって来た事なので」
―今日は久しぶりにゲームに出たと思うが、出る前の気持ちと、出た後の気持ちは?
「そうですね。まず、この準決勝に出たというのは仲間たちが準決勝まで進んでくれたという事と、復帰をサポートしてくれた方々のおかげだと思うので。何かしら、プレー面だったり、精神面だったりでチームに影響を与えられればなあと思っていたのですが、やはり、試合感というものが、前半、最初の部分では掴めずに、京都産業さんのディフェンスに自分がハマってしまった所があったのですが。結構、BKに対してのディフェンスがすごかったのですが、まあ、そこはしっかりと勝って反省できるのは良かったと思うし、次の帝京戦に向けて、あ、済みません、決勝に向けて新しい反省ができて良かったと思います」
―前半最後に、トライを狙うと言った時の他の14名はどんな顔をしていたのか?
「いや、FWからも行けると言っていたし、僕が選択するのもそうですが、FWの意見も聞きながら。そこでトライを取って終わろうと話していました。そこは明治だなと思いました」
―総じてかなりラインのギャップを突けたと思うが、分析の段階から手応えはあったのか?
「そうですね。相手どうこうと言うよりは、自分たちのBK、FWのアタックを遂行すれば、どこかしら必ず穴を突けると。そこにしっかりと伊藤、木戸を中心に、数少ない、できたスペースにちゃんとボールを運べたというのが、得点につながっているので、そこがすごく良かったと思います」
―NHKで日本代表監督のエディさんが、廣瀬キャプテンが素晴らしいパフォーマンスを見せてくれて感心したと話していたが、見られている事と、こうした大きい舞台で自分のパフォーマンスを出せたか、その先にそういう所が見えて来るのか?
「まあ、日本代表監督のエディさんに学生のラグビーを見てもらって、この前も花園に行ってましたけれども、そういった所を見てくれるというのは、すごく嬉しいですし。まあ、個人としては、明治が優勝するという事が何より最終目標ですので。その先のことは何も考えていないので。本当に明治に賭けているし、エディさんにそう言っていただけるのはすごく嬉しいですけれども、明治のラグビーを周知させる事に集中していますので」
―海老澤琥珀選手と一緒にプレーしてみて?
「僕も1年生で選手権を経験しましたが、あれだけ自分の強みを出せるというのはなかなかの大物だと。個人としては、最初、寮の部屋も一緒だったので、そういう面では個人的な思いもありましたし、一緒に鍛えたし。本当に1年生に助けられる部分もすごくあるので、次の決勝でもそのパフォーマンスを出して欲しいなと思います」
―部屋でアドバイスした事もあったのか?
「いや、もう。ちょっと抜けているんで(笑)、あいつ。もう自然なままで任せる事が一番良いと。僕個人として話すより、しっかり、琥珀の方ですごく考えているので。今日もスクラムの所で、結局、ボールは出なかったのですが、琥珀が自分が行きたいですと言うのも良かったですし、そこでしっかり、個人としての主張をしていました。琥珀が良いプレーができるようにするのが4年生の仕事だと思うし、そこをしっかりやって行きたいと思います」
神鳥裕之監督、廣瀬雄也主将
第2試合 帝京大学 22-12 天理大学 マッチレポート
曇天の国立競技場。日本代表のヘッドコーチに復帰したエディ・ジョーンズ氏が視察する中、準決勝第2試合は、大学選手権3連覇を狙う帝京大学(関東対抗戦A1位)と、3大会ぶりで2度目の優勝を目指す天理大学(関西大学Aリーグ2位)との注目の対戦となった。大学選手権での両者の対戦は、天理大が帝京大に29対7で勝利した第55回大会準決勝以来、5年ぶりである。
天理大のキックオフで開始された前半、序盤は互いのキックによるエリアの取り合いやラックからの素早い展開アッタクをみせるものの、共に相手の組織だった強固なディフェンスにより相手ゴール前に迫ることができず、拮抗状態が続く。均衡が破れたのは前半14分。帝京大が相手陣でアッタックのフェーズを重ね、最後は左に展開してCTB戒田慶都からパスを受けたWTB高本とむがタックラーを突き飛ばして勢いよくゴール左隅に飛び込み、先制のトライを奪う(ゴール成功7-0)。これでチームが活気づいた帝京大は前半17分、味方キックをチェイスし見事にキャッチしたWTB小村真也からパスを受けたWTB高本が、タッチライン際を約40m激走し連続トライ(ゴール成功14-0)。
帝京大が主導権を握るかと思われたが、天理大も負けてはいない。インパクトプレイヤーのNo.8パトリック・ヴァカタが迫力あるキャリーを見せる。そして前半21分、ペナルティから得た相手ゴール約20m前のラインアウトからCTBマナセ・ハビリが突進し、ラックからパスを受けたPR松野楓舞が、相手ディフェンスの密集を約10m豪快に突破してトライを返す(ゴール不成功14-5)。
この反撃のトライで天理大は勢いを戻し、再び序盤のような拮抗状態が続く前半35分、帝京大陣内約22m付近でのスクラムからのサインプレーで右に展開し、FB上ノ坊駿介から1年生のWTB弘田市道―WTB藤原竜之丞と繋いで2つ目のトライ(ゴール成功14-12)。2点差に迫る。その後、天理大のNo.8ヴァカタが帝京大ディフェンス陣をものともしない豪快な単独突進を見せ、前半終了間際にはセンターライン中央付近からPGのチャンスを得るが、距離が足らず逆転には至らない。
後半も接戦が予感される中、最初に得点を挙げたのは帝京大。後半開始早々の3分、ペナルティから得たラインアウトを右に大きく展開し、ギャップを突いたSO井上陽公からパスを受けたWTB小村がゴール右にトライ(ゴール不成功19-12)。更に後半7分、帝京大がPGを決め、点差を広げる(22-12)。前半同様の反撃が期待された天理大であるが、その後は強さを増した帝京大のディフェンスに抑えられ、自陣内でプレーする時間が増え、攻め入るチャンスがつかめない。逆に帝京大によって再三にわたり自陣ゴール前に迫られるが、チーム一体となった懸命のディフェンスで帝京大の追加点を許さずに守り切る。特に自陣ゴール前で相手が自信を持つスクラムを耐えしのいだFWの頑張りは見事であった。後半残り10分頃には天理大は相手陣内へと攻め入るが、帝京の執念のタックルを受け、相手ゴールに近づけない。結局、両チーム共に得点を加えることができずにノーサイドの笛が鳴り、22-12のまま試合終了。
試合後の共同記者会見で帝京大HO江良颯主将は、「ハーフタイムで首脳陣から『何故、体を張らないのか』と、心に火をつける言葉を発せられた」とコメント。まさにその通りを実行し、相手を後半零封した帝京大は、1月13日の決勝戦に進む。対戦相手は準決勝で京都産業大学に勝利した明治大学であり、帝京大学は大学選手権3連覇達成を目指す。
小林 吉文(関東ラグビーフットボール協会 広報委員)
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第2試合 記者会見レポート
▼天理大学共同記者会見
小松節夫監督
「今日はありがとうございました。今年のダントツと言われている帝京大学さんに対して勝負を挑んでチャレンジしようと準備をして臨みました。やはりいろいろな部分で帝京大学さんのほうが一枚上手だったと感じます。ウチは常々日本一を目指しておりますが、この2年ほど停滞しており、目標が遠のいたかと思っていました。(今日の試合を終えて)もう一度日本一が見えてきたと思いますので、ウチが届かなかった、足らなかったところをもう一度しっかり後輩たちが作り上げて、来年こそ日本一になるべく、いいチームを作ってここに戻ってきたいと思います」
―帝京大は関東でもスクラムやブレイクダウンが非常に強いチームですが、試合テンポは理想のテンポにはあげられなかったかもしれませんが、このエリアでのファイトに期待感は持っていましたか?
「夏合宿でも帝京大学と試合をして、帝京大の強さはわかっていましたが、それを考えると、自分たちも伸びましたし、帝京大も伸びてきていると思いますが、今日の試合では予想以上に頑張ってくれました。スクラムで押されることはありましたが、ブレイクダウン、コリジョンなどでは本当に頑張ってくれたと思います」
―これまでの2シーズンは思うような結果が残せなかったシーズンでしたが、今シーズンは国立競技場に帰ってきました。今年の4年生の頑張りについてどのように評価しますか?
「(今年の)4年生は1年生の時に全国優勝を経験しています。今年もしここ国立競技場に帰ってこなければ、下級生は何も(大学選手権での国立競技場での試合を)知らずに来年を迎えることになったと思います。そういう意味で、今年の4年生たちが頑張って、今日ここに連れて来てくれたことはクラブにとって非常に大きなことだと思います。春もあまり調子よくなくどうなることかと思いましたが、そこから夏合宿で伸びて、今日(国立競技場に)連れて来てくれました。4年生にはよく頑張ってくれたと感謝しています」
―『帝京大は今年ダントツ』と言われましたが、一番力の差を感じたところは?また、通用したところは?
「アタックの迫力は感じましたが、それに対してウチの子たちが体を張っていました。その面では、強さを感じつつもよく止めてくれたと感じました。一番の違いはキックゲームのところやエリア取りのあたりで、帝京大の方が一枚上手だと感じました。ウチにとってはそこがうまく行かなかった部分だったと思います。もう少し敵陣でのアタック時間を増やすようなゲーム展開になれば、もう少し展開が変わったかもしれないと思います」
北條拓郎主将 (SH)
「本日はありがとうございました。前半はいいフィジカル勝負ができて本当にいいゲームで、一瞬『勝ち』もイメージできた試合でしたが、後半はずっと自陣にいて、帝京大学さんのアタックのプレッシャーを受けてしまいました。若いチームですが、我慢してディフェンスしてくれたことは、本当に良かったと思います。4回生は今日で終わりですが、いい課題も出ましたので、若いチームなので来年、再来年とこの試合がいい糧になってさらにいいチームになることができると思えるゲームでした」
―トライを取ったシーンでは、セットプレーを起点にしてのプレーでしたが、あのプレーを振り返って。
「セットプレーを起点にするのはウチの強みでもありました。スクラムで少しプレッシャーを受けるところはありましたが、バックスでうまく外に繋いでトライできたところ(前半35分)は良かったですし、一つ目の松野(③PR)のトライ(前半21分)も我慢して継続してトライできたもので、本当にいいトライだと思いました」
―ブレイクダウンなどで強い帝京大学に対して、今日のチームとして選手たちのパフォーマンスについて、ピッチ上でどのように見ていましたか?
「帝京大がそこで絶対にプレッシャーをかけてくるのはわかっていたので、(主将である)僕がプレッシャーを受けていたら天理のラグビーはできないので、そこは落ち着いてコントロールできたと思います。今日はそのようにできた部分もありましたが、やはりプレッシャーを受けてしまったところもあり、そこは帝京大学の強みかと思います。終盤の規律の部分で少しペナルティを重ねてしまい、敵陣に入れなかったところは今日の敗因かと思います」
―この4年間を振り返って、また、『この経験を繋ぐことができたところ』『後輩たちに期待すること』をお願いします。
「僕も2年の時から試合に出させてもらっていますが、国立に来るという経験はありませんでした。僕も試合の最初は緊張しましたが、いつも通り普段のプレーができて良かったと思います。今年はチームが若く、両フランカーは1年生なのに体を張っていましたし、バックスにも若い選手がいます。来年、再来年とこれからのチームだなとシーズン通して思ってきました。僕の(主将としての)仕事は今日で終わりですが、後輩たちには来年、再来年には日本一を目指してほしいと思います」
―今日の試合では前半、特に帝京大が高くないハイパントを多く使ってきて、そこから崩されたところがありましたが?
「低いキックを蹴ってくるとは思っていませんでしたが、ミーティングでは『蹴ってきたら全員で返ろう』と皆でずっと言っていました。しかし、2つめのトライのところではリアクションできずにトライに繋げられてしまいました。考えていないところに相手がボールを運んできたというところはありました」
小松節夫監督、北條拓郎主将
▼帝京大学共同会見
相馬朋和監督
「はじめに、能登半島地震で被災されて皆様には一日でも早く安定した生活を取り戻されることをお祈り申し上げます。今日は協会関係者の皆様、天理大学の皆様、本当にありがとうございました。本当に天理大学さんのパフォーマンスが素晴らしく、終始プレッシャーを受けて80分間過ごした試合だったと思います。ただ、江良主将はじめ選手たちがそれにキチンと立ち向かえたので、最後勝利でゲームを終えることができ、決勝に進むことができること、本当に心から嬉しく思います。本日はどうもありがとうございました」
―後半への切り替えに関して、前半のパフォーマンスはどのように見ていましたか?また、後半修正できた部分については?
「つくづく『ラグビーはメンタルなスポーツだ』と思う80分間でした。立ち上がり、彼等が本当にハードワークしながら取った素晴らしい2トライ。しかし、その影響で急に皆が人任せになる。きっと決勝戦が見えたのかなと思います。突然、タックルに踏み込まなくなる選手たちがバタバタと出てきて、そのような中、天理大学さんは2トライを取りました。2年前の準決勝も確か、立ち上がりにポンポンと取って、そのような展開の試合をしたなあと試合を見ながら岩出先生と話をしながら前半を過ごしました。そんな中でもキャプテンとバイスキャプテンはすごく質のいいプレーをし続けていたので、ゲームが崩れることはないだろうと思いながら、前半を見ていました。ハーフタイムにどのように話をしようかと岩出先生と試合を見ながら話をしていました。やはり彼等の心に火をつけてチームをきちんと作り直してハーフタイムを過ごせたので、後半は落ち着いて試合を見ることができました」
―今日はキッキングゲームのところでの9番、10番、15番でのゲームコントロールについてどのように見ていましたか?また、後半、リザーブ選手をもっと使いたかったのではと思いますが、あまりリザーブを使えなかった点について?
「先ほどもお話ありましたが、後半ゴール前でのスクラムがありました。あそこでもう1トライ取れていたら、もう少し(リザーブ選手に交代に)動けていたかと思いますが、最後はああいった展開の中で動くことで逆にバランスを崩すことにもなると思い、やはり動けませんでした。ベンチの選手がどうこうのということでなく、動くことでバランスを崩したくなかったという思いが強かったと思います。キッキングゲームについては、私はそんなに良かったとは思っていません。もう少しボールを持って走る方が良かったのではないかと思っています。決勝戦に向けて、このあたりについていいバランスを取りながらエリアマネジメントをできて行けたらと思います」
―主将が先ほど言った『レフリーにリスペクトを持ってゲームを運んでいこう』という言葉について?
「本当に素晴らしいなと思っています。プレーしていて判定が明らかに間違っていることをオーロラビジョンで見てしまうと心がざわつくものです。そこでキャプテンはじめ学生たちがそんな素振りを少しも見せずにゲームに集中している姿を見て、本当に誇らしかったです」
―決勝戦は対明治大ですが、どのような準備をして臨みますか?
「これからあらためて準備をし直そうと思います。準決勝での対京都産業大のスコアを見ますと、我々が想像していなかった明治大が決勝に来ると思います。時間はあまりありませんが、できるだけいい準備をして決勝戦に臨みたいと思います」
江良颯主将 (HO)
「まず、この度の震災に対して心よりお見舞い申し上げます。本当に天理大学の圧力を受け続けたことが強く印象にあります。僕たちの思っているプレーができませんでしたし、僕たちも引いてしまったところがあったと思います。課題が多く見つかった試合でした。決勝前にこのような試合ができたことを天理大学さんに感謝します。決勝に向けてまた選手一丸となって日本一を取りに行きたいと思います」
―後半は完璧なディフェンスで1点も取られなかったのですが、アタックでは後半5回くらい敵陣ゴール前でスクラムチャンスがありました。あそこで1本も取れなかったのは非常に悔しいのではなかったでしょうか?
「本当にあと一つのところで、僕たちのスクラムのセットアップなどのところで崩れてしまいました。天理大学さんのプライドをすごく感じました。決勝に向けて、80分間、質のいいスクラムを組んでいけるように頑張っていきたいと思います」
―前半は苦しいところもありましたが、後半は立て直したと見えました。チームにかけた言葉や修正点としてチームに伝えたことはありましたか?
「相馬監督、岩出先生はじめとして、ハーフタイムに『なぜ、体を張らない?』『誰のために戦っているのか?仲間のために体を張り続けるプレーヤーになろう』という話をしていただき、もう一度その原点にしっかり戻れました。僕たちの1年間やってきたプロセスを思い出して仲間の分も体を張ろうと考えをまとめることができました。それで、後半、常に全員が体を張り続けて天理大学さんを無失点に抑えることができたと思います」
―後半、相手のハイタックルについて、カードが出てもおかしくないといったプレーがあったと思います。また、青木選手のプレーがノートライになった場面では、微妙な判定でトライが消えたりと、見ている側からはストレスがたまるような場面が続きましたが、プレーヤーとしてはレフリーとコミュニケーションを取ったり、気持ちを切り替えたりできていましたか?
「1年間、レフリングに対してはレフリーの言っていることが正解なので、そこにはフラストレーションをためずに自分たちのラグビーをやり続けようと話していました。皆の顔を見ても焦っていませんでした。大学選手権では決勝以外ではTMOはないですし、そこ(レフリングに関して)は1年間考えながら練習してきたので、そこに関しては僕自身もフラストレーションをためることなくできたと思います。(あの場面では)レフリーもミスジャッジをやろうと思っているわけではないですし、ミスはあるものですし、僕たちは常にレフリーに対してリスペクトを持ってゲームを運んでいこうということが選手としてやるべきことなので、その点についてフラストレーションはたまりませんでした」
―ハーフタイムに江良主将がレフリーと少し話をしていたようですが?
「スクラムに関して僕たちが疑問に思っていることを質問して答をいただきました」
―決勝戦は対明治大ですが、どのような準備をして臨みますか?
「しっかり準備して、今までやってきたことを全て出すだけだと思います。明治に対して1週間近くしっかり準備して、決勝に臨みたいと思います」
相馬朋和監督、江良颯主将