7月21日(日)北海道・札幌ドームでイタリア代表と対戦する。2024年のシックスネーションズでは順位こそ5位だったもののスコットランド代表とウェールズ代表を撃破し、多くの人たちがイタリア代表のパフォーマンスに魅了された。ワールドランクでもイタリア代表史上最高位の8位につけている。イタリア代表のこれまでの戦績や特徴、日本代表の前に立ちはだかる注目選手を元ラグマガ編集長田村一博が紐解く。


日本代表とイタリア代表のテストマッチの通算成績は、日本の2勝に対してイタリアは7勝
前回対戦2023年8月27日 リポビタンDツアー2023(21-42⚫) 

2024年シックスネーションズでは強豪撃破。多くの人たちが惹かれる魅力のあるチーム

順位こそ5位だったものの、2024年のシックスネーションズで2勝2敗1引き分けという成績を残した。イタリア代表がいま注目されているのは、その成績だけが理由ではない。パフォーマンスが魅力だから、多くの人たちが惹かれている。


「アズーリ」の愛称で知られるイタリア代表は今回、サモア、トンガと敵地で戦ったバシフィックツアーの最後に来日する。初戦のサモア戦には25-33と敗れるも、トンガには36-14。調子を上げて札幌に乗り込む。


トンガ戦のメンバーを見てもワクワクする。SOはRWC2023での全4戦に出場したパオロ・ガルビシ。大舞台では10番、12番を務めた。自らで走り、周囲も使う。チームにモメンタムを与える手をいくつも持っている。


FBでは、いまや世界的エンターテイナーと言っていいアンジェ・カプオッツォがプレーした。カプオッツォはRWC2023でも2トライを奪う活躍を見せたが、いっきに名前を知られたのは、2022年のシックスネーションズだった。


2キャップ目のウェールズ戦の最終局面で、チームを勝利に導くトライを挙げた。そのカウンターアタックからの快走は「ありえない」11秒と話題になり、動画がSNS上で爆発的に拡散された。177センチ、72キロ。サイズ的にも、日本の愛好家たちから支持されそうな存在だ。


CTBトンマーゾ・メノンチェッロは、怪我でRWC2023の出場こそ逃すも、2024年のシックスネーションズでは全5戦に出場し、躍進したチームのエナジーになった。ファン投票の約33パーセントを集め、大会最優秀選手にも選出された。決定力のあるWTBモンティー・イオアネもいるアタックラインは魅力的だ。


キャプテンのFLミケーレ・ラマロはハードタックラーで鳴らす人だ。 RWC2023でも輝いたが、今年のシックスネーションズの全5試合で計103タックル。これは、今季の最多タックルどころか、2018年のジョニー・グレイ(スコットランド)を超える1大会最多となった。


イタリアのFWには伝統的に、武骨で屈強なフロントローと、体を張り続けるバックローが常にいる。青ジャージーのパックが安定すれば、進化中のBKがさらに力を発揮することになるだろう。

RWCには第1回大会からすべてに出場、ワールドランキングはイタリア史上最高位の8位

RWC2023ではフランスに7-60、ニュージーランドに17-96と大敗し、ノックアウトステージ進出はならなかった。その得点差に期待外れと感じたファンもいただろう。しかし、それは強国が本気で叩き潰しにくる実力があるからと考えた方がいい。事実、ウルグアイとナミビアには、38-17、52-8と完勝できる力を見せた。


7月15日現在のワールドランキングは12位の日本に対し8位(2007年8月と同じ史上最高位)。好調だったシックスネーションズの結果が如実に反映されている。RWC2023後に就任したゴンサロ・ケサダ ヘッドコーチの手腕もチーム力を引き上げているもののひとつだ。


RWC1999にアルゼンチン代表の10番として出場し、得点王となった同HC。現役引退後はフランスのクラブや、同国代表のアシスタントコーチなどを務め、実績を残してきた。技術だけでなく、チームのアイデンティティーを大事にする指導者だ。選手たちとともにそれを考え、自らイタリア語を話すことで、チームの一体感を高めている。


RWCには第1回大会からすべてに出場も、まだ8強以上の成績は残していない。2000年から参加したシックスネーションズでは4位が2回、5位が5回だけで、残りはすべて最下位という結果に終わっている。下部大会で勝ち続けるジョージアと入替戦をやるべきと声高に叫ぶ層もいるが、その構造が変わる気配はない。


浮き沈みはあるものの、今年のシックスネーションズからも伝わってくるように、着実に進化を続けていることが伝わってくるからだ。シックスネーションズへの参加が遅かったこともあり、ラグビー新興国と思われがちなイタリアだが、同国内の楕円球の歴史は長い。世界的なプロ化が認められた1995年より前から、南半球のトップ選手たちがシーズンオフになると、プレーの場を求めてイタリアを目指すことがあった。


国内シーンの充実は、同国の名門クラブ、トレヴィーゾが2020-21シーズンの「レインボーカップ」(アイルランド、ウェールズ、スコットランド、イタリアのクラブが集うプロ14+南アフリカ勢4チーム)で優勝したことからも伝わる。イタリアのクラブの国際タイトル獲得は、それが初めてのことだった。


日本代表とイタリア代表のテストマッチの通算成績は、日本の2勝に対してイタリアは7勝。日本が初めて勝ったのは、前エディー・ジョーンズ体制時の2014年だった。(その試合も含めた)それ以降は2勝2敗。現状のワールドランキングこそ少し差がついているが、競る内容になるだろう。より濃く自分たちのカラーを出した方が勝利をつかむ。



【リポビタンDチャレンジカップ2024 日本代表 vs イタリア代表】

日程:7/21(日)14:05キックオフ

会場:北海道・札幌ドーム

主催:公益財団法人 日本ラグビーフットボール協会

主管:関東ラグビーフットボール協会、(一財)北海道ラグビーフットボール協会

特別協賛:大正製薬株式会社

後援:札幌市

チケット情報・試合情報はラグビー日本代表応援サイト「WE ARE BRAVE BLOSSOMS」をご覧ください。

https://www.rugby-japan.jp/braveblossoms/match/20240721/